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第一部 プロローグ
プロローグ
昔々、とある国の王様の弟は不思議な力を持っていました。
重いものをなんなく持ち上げたり、人の考えを読んだりする事が出来ました。
それを『神の力』だと言う人もいましたが、王様にはないものです。
神に限りなく近い王様が持っていないのに、その弟が持っているのはとても困った事でした。
王様の弟を王様にしようという人達が現れて、王様は血の繋がった弟を処分しなければなりませんでした。
二人はとても仲の良かった兄弟でしたが、王様の弟は反逆者として処刑されてしまいました。
でも、王様の弟が持っていた不思議な力は、それでこの世から消えてしまったのでしょうか?
いいえ、王家にも貴族にもそれこそ平民にも、時折不思議な力を持つ者が現れていました。
人々は王様の弟の事もあり、そのような不思議な力を持つ者を恐れ・忌み嫌い・排除しようとしました。
自分にはない力を持つ者を恐れた為です。
やがて、不思議な力を持つ者は『魔物』と呼ばれ、人々の輪の中から消えていくことになりました。
その考えは、その国だけではなく、大陸全体に渡って広がっていきました。