03話 正義と能力
キックボクシングで良い成績を収め、俺は再びAクラスに上がることができた。
それでも派閥に入っていない俺にはこれ以上の成績を収める力はない。
そう思っていた。
が、
学校が言う正義(権力)ではなく、俺の正義(正しい心)が現状を良しとしなかった。
だが、どうすることもできない。
力(権力)がないからだ。
悩んだ末、俺がほかの生徒よりも優れている点、力(暴力)があることに気づいた。
中学校に入った頃、もはや使い物にならなくなった力。
それでも権力に対抗する手段としては力(暴力)が意味をなした。
俺は、勉強を捨てとにかくキックボクシングに打ち込んだ。
そして気づけばZクラスに落ちていた。
クラスのみんなは絶望した表情で、特に女子生徒は壊れかけていた。
これこそがこの学校が言う正義(権力)なのだろう。
権力を持つものが持たないものを虐げる。
日常生活で俺が気づいた事実を明瞭化しているだけ……
それを良しとすれば弟が報われない。
Zクラスに落とされたあとすぐに男子生徒たちが権力(暴力)を振るってきた。
が、俺は力(暴力)で対抗した。
反撃をされると思っていなかった生徒はすぐさま泣き叫び逃げていった。
そう、最初は反抗する生徒もいたのだ。
しかし、反抗した事実を先生に伝えられれば男女問わず裸で木に吊るされ、晒し者にされる。
更には晒し者にされたいる生徒はZクラスだから何をしても良いのだ。
俺も、例外なく先生に言いつけられた。
中学校の時、俺は正義(権力)の前になすすべがなかった。
しかし、それが間違いだったのだ。
体罰を行うため、俺のとこに来た先生(権力)を力(暴力)でひれ伏せた。
そして、その先生を裸で木に吊るす。
退学になるかもと思っていた俺だが退学にはならなかった。
どうやら力(暴力)が正義(暴力)として認められたのだ。
それからの俺は従わないものは正義(暴力)でねじ伏せる。
これを繰り返すうちに学年、いや学校で一番になった。
権力ポイントが1位のものには全生徒に命令権を得られる。
そこで下した俺の命令はZクラス相手に犯罪行為をするなというものではない。
以外にもこの仕組みは生徒たちの成長に良かったのだ。
俺の下した命令は民衆の正義システム。
誰に対しても喧嘩を売ることができる。
もちろん、喧嘩とは言え暴力ではない。
権力が上の者にも反抗ができるというものだ。
反抗方法は自分の得意分野での反抗。
国、社、数、理、英、そしてスポーツ。
それ以外にもこちらが認めればそのジャンルで戦うことができる。
自分の得意分野で反抗する。
これが俺の考える正義だ。
そうすることで学校では誰にも負けない能力身につける生徒が増えた。
そして、生徒たちの考え方も変わっていった。
相手に自分が勝てないとこが一つでもあれば、理解できれば人間、相手を認められるのだ。
この世界は弱肉強食。
その事実は変わらない。
しかし、俺が力(暴力)を持っていたように他の生徒も力(得意)を持っているのだ。
そして権力を持つものも相手の正義(得意)を認めることができれば正義(権力)は得意(権力)だと気づける。
相手の正義(得意)を認めることこそが、世界が上手く回る唯一のコツだと俺は思う。