表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
分身の影  作者: 柳 凪央
14/17

第十四章 客船の夜

夜が最も深く沈み、豪華客船の狭い廊下に響くのは自分たちの足音だけだった。

青木蓮は美咲の手をしっかり握りしめ、ふたりはこれまでの調査で得た断片的な真実を再び胸に刻む。


「松井隆司の“分身”——あの多重人格は偽りじゃない」

蓮の声には確信と焦りが入り混じっていた。


「でも、犯人はその“分身”だけじゃないかもしれない」

美咲が小声で言った。


蓮はその言葉にハッとし、振り返った。

「つまり、操る者がいる……」



その時、船内に突然非常ベルが鳴り響いた。

赤い非常灯が点滅し、乗客や乗組員は動揺しながらも避難指示に従い始める。


「何が起こった?」

蓮は美咲とともに急ぎ足で非常階段へ向かった。


そこには、混乱の中で身動きが取れなくなった松井が立っていた。

目は虚ろで、まるで別人のようだった。


「逃げるな! 今こそ真実を語れ!」

蓮は叫びながら彼に詰め寄った。


松井の口から吐き出された言葉は、これまでの推理を覆す衝撃の告白だった。

「僕は操られているんじゃない……僕が操っているんだ」



その瞬間、美咲が蓮に囁いた。

「これは、真の“分身”の罠よ……」


二人の目の前で、松井はゆっくりと微笑み、真の黒幕の影が船内に広がった。

彼が仕組んだ複雑なトリックと、二重人格を利用した巧妙な心理戦——。


だが、蓮はもう一つの秘密を握っていた。

「僕たちも騙されていた……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ