【SS】まさか二分で【コメディ】
再掲です
私、このまえ小人を拾ったんです。十センチほどの雰囲気イケメンです。
ええ、なんせ顔が小さくてよく見えないものですから。まあ、言動からイケメンなのかなって。
それで、私そいつ殺して埋めちゃったんです。枯らしたばかりのサボテンの鉢植えがあったからちょうどいいかなって。
そしたらそいつ、生えてきたんです。それで言うんです。実は私は王子なのです。誰かが殺して埋めない限り決して解けない呪いにかかっていたのです。あなたは恩人です結婚してくださいって。
意味わかんないですよね。
だから私、もういっぺん殺して埋めました。
そしたらね、増えちゃって。
なんでもプロポーズした相手に殺されちゃうと増える体質だそうで。
気持ち悪いでしょう。そう思いますよね。私もそうだったから、つい繰り返しちゃって。
ええ、増えました。そりゃもうたっぷり。それで相談なんですが、少し引き取ってもらえませんか。
嫌なら全部引き取ってください。袋ごと差し上げます。少し引き取るか、全部持ってくかですよ。
大丈夫。見ず知らずの私の話を聞く余裕があるんですから、あなたはコレを養うゆとりもあるんですよ。ね。お願いします。
お金は取りません。むしろここの支払い私が持ちますから。
そうして押し付けられたのが十人の小人だったってわけ。
ちょっと美人だからって、うかうかついて行った俺が悪いんだけど。まさかたった二分でそんな厄介ごと引き受けることになるなんて思わないだろ?
ああ、厄介ごとは言いすぎか。
とにかくもらったものを放り出すのも悪いから、米粒与えて育てたよ。
王子たちは俺のこと彼女の従者とでも思ったのか、姫はどこにおいでですか。最近お顔を拝見しませんが。なんて聞くんだよ。
捨てられたって気づいていないんだなって思ったらかわいそうになって。ささみの切れ端とかあげちゃった。
喜ぶんだよね、彼ら。
それがさ、もういないんだ。なんでも優しくされたら消えてしまうらしくて。俺それ聞いたら悲しくて、ついつい優しくしちゃったんだよね。全滅だよ。かわいそうなことしちゃったな。
あんたちょっと似てるよ。その王子さまたちに。だから声をかけたんだ。まあ小さくて顔は見えなかったから、雰囲気だけだけど。
しかしあんなんでもいなくなったら寂しくなるもんなんだなあ。
おっとそろそろ時間かな。じゃあな、もう行くわ。話聞いてくれてありがとう。
二分間の姫さまの真似をして、俺の話も誰かに聞いて欲しかったんだよね。変な話聞かせて悪かったな。忘れていいよ。
どうしたの、なんで付いてくんの?
恩返しがなんだって?
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