第一章 冴えない男
筆者自身の生い立ちも含めて、シニカル(冷笑的)に人生を描き出す。
第一章 冴えない男
私は冴えない男だ。名前は佐々木一郎。年齢は四十一歳。職業はフリーランスのウェブデザイナー。趣味は特になし。恋人もなし。友人もほとんどなし。家族は母親だけだが、彼女ともあまり仲が良くない。私は自分の人生に満足していないが、変える気力もない。私はただ、毎日を淡々と過ごしている。
私は今日もパソコンに向かって仕事をしていた。仕事と言っても、安い報酬で雑な仕事を請け負っているだけだが。私はウェブデザインに興味があるわけではないし、才能もない。私はただ、何かをする必要があると思ってやっているだけだ。
私はパソコンの画面に飽きて、時計を見た。午後三時だった。私は休憩にしようと思って、パソコンを閉じた。私は一人暮らしをしているが、部屋は狭くて汚い。私は掃除や片付けをする気になれないし、家具や雑貨もほとんど持っていない。私は部屋から出て、キッチンに行った。
キッチンには冷蔵庫と電子レンジとコーヒーメーカーしかなかった。冷蔵庫を開けてみると、中にはビールとインスタント食品と半分腐った野菜しかなかった。私はビールを取り出して開けた。私はアルコールに弱いが、飲まないと気が済まない。私はビールを一口飲んで、電子レンジでインスタントラーメンを温めた。
インスタントラーメンができるまでの間、私は窓から外を眺めた。私の部屋は街中にあるが、景色は良くなかった。高層ビルや看板や電線が目に入るだけだった。私は空を見上げたが、空も曇っていて暗かった。
「こんな人生でいいのか」
私はつぶやいたが、答えは出なかった。
電子レンジがピッと鳴った。私はインスタントラーメンを取り出してテーブルに置いた。テーブルには箸とスプーンしかなかった。私は箸を持って、インスタントラーメンに手を伸ばした。
そのとき、インターホンが鳴った。
私は驚いて、箸を落とした。私は滅多に来客がないので、インターホンが鳴ると慌てる。私は誰かと思って、インターホンのモニターを見た。
そこには、私の母親が映っていた。
私はさらに驚いて、声を上げた。
「なんでお前が!」
私は思わず叫んだ。私は母親とは疎遠だった。私は母親のことを嫌っていた。私は母親に会いたくなかった。
母親はモニター越しに私の顔を見て、笑った。
「久しぶりね、一郎。元気?」
母親の声は明るくて軽やかだった。母親は私よりも若く見えた。母親は美人だった。母親は私に似ていなかった。
「何で来たんだよ。用事でもあるのか」
私は不機嫌に言った。私は母親に話したくなかった。
「ええ、用事があるのよ。ちょっと話があるの」
母親は嬉しそうに言った。母親は何かを隠しているようだった。
「話なら電話でいいだろ。面倒くさいんだよ」
私は拒否した。私は母親に会わないで済むなら、そうしたかった。
「電話じゃダメなのよ。直接会って話さなきゃ」
母親は頑固に言った。母親は譲らない様子だった。
「何がそんなに大事なんだよ」
私はイライラした。私は母親の話に興味がなかった。
「それはね、実は……」
「父方にまつわる相続のお話なの」
荒唐無稽ではありますが、ひとまず、読んでくださり。
誠にありがとうございます。