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ワンダーワールドⅡー2   作者: 白龍
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クラナの戦い ぞっけん

「お願い!私も戦わせて!」

ある日突然、クラナはれなたちに志願した。

事務所に届いた、草のモンスターを何とかして欲しいという依頼に向かうため、れなとドクロが事務所で準備を進めていたところ、事務所に突如押し掛けたクラナが言ったのだった。

彼女のすぐ後ろでは、困り果てたFの姿が。

どうやら自分も皆の力になりたいのだそう。

確かに気持ちは分かるが、クラナはまだ子供だ。

いくらリューガの血を引いてるとはいえ、戦場へ送り出すのはいくらなんでも危険すぎる。

「クラナ、それはダメ、まだ早い!クラナはまだ子供だよ?うちの妹みたいなゴリラもびっくりパワーとかがあるならまだしもさぁ」

必死に説得し、れみに殴られるれな。頭を抱えるれなの前で、クラナは胸を張る。

Fはクラナの手をとり、連れ戻そうとするのだがクラナは断固としてその場を動かない。


「良いんじゃない?」

落ち着いた声が、その場に差し込んだ。

振り替えるとそこには葵が緑のサイドテールをいじりながら歩いてきていた。

「クラナはFの妹。もしかしたら彼女も秘めた才能を持っているかもしれないわ。それに今回のモンスターはそこまで大した奴らではないと聞いてるし」

確かに今までFにばかり見ていたが、クラナも全く力がないとは限らない。

これを機に、彼女の実力を見てみるのも良いかもしれない。

勿論、Fは黙らずついていく事にした。…結局クラナの要望通りに進む展開を否定しない辺り、やはり自分の意思よりクラナの意思を優先したいようだった。



…そして、事は早めに進めたい一同は早速草のモンスターがいるという森へと向かった。


「いた。あいつらだ」

茂みに隠れながら、れなは森の広場を指差した。

そこには、黄緑色のナメクジが、体に雑草のミノを纏ったような奇妙なモンスターが三匹集まっていた。

やつらはゾッケン。草原地帯に生息するモンスターだ。

森に迷い込んだ彼らをどうにかして森から出すのが今回の目的だ。勿論下手に干渉すれば戦闘になる可能性も十分にある。

「クラナ、まずは交渉を試みろ。で、無理だったらぶっ飛ばせ」

Fらしい荒れた考えだ…。

素直なクラナは早速飛び出し、ゾッケン達の前に躍り出た。

ゾッケン達の意識が一斉にクラナの方へ向き、緊張感が漂う。

「こんにちはーー。今日は良い天気だね!」

「何だ?こんな所で子供が一人…」

ゾッケン達は実に興味深そうに、身に纏う草の音を鳴らしながらクラナに顔を伸ばした。

今にもハンドガンを取り出しそうなFの腕を掴むれな…。

「昨日は何食べた?」

クラナは世間話を始めた。

まさか世間話で相手との交流を深め、そのまましれっと森から出ていってもらおうと言う戦法か?

れなとFは色々と考えた。


話題は盛り上がってるようで、ゾッケン達は笑いながらクラナの話題にのっている。

割と交渉の腕はあるのか…?これなら、戦う事なく事態を収束していけるかもしれない。

…そう思った矢先、クラナは予想外の発言をしてしまった。

「そうだよねー!あのゲーム面白いよねー!という訳で、この森から出ていってくれない?」

「んだとこのガキぃ!?」

ゾッケン達の雑草が逆立つ。突然のストレート発言にも動じない素早い切り替えだ。

これはまずい。Fとれなは飛び出し、ゾッケン達の前に降り立つ。

並ぶ三人を見て、ゾッケン達もウネウネと並ぶ。

「さては貴様ら、このゾッケン軍団の巣を奪う気か?この森は俺達のものになるのだ!」

「そうはさせるか!!」

Fが飛び出し、列の真ん中のゾッケンの顔面に青い靴をめり込ませるように蹴りをぶちかます。

その時、ゾッケン達の尖った雑草が伸びてくる!

そんなに速くない。れなは雑草を掴んで受け止め、ゾッケン一匹一匹に回し蹴りをお見舞いする!

「ちょっと!私も戦わせてよ!!」

クラナは両手を振り回しながらゾッケンへ向かう!

勿論こんな迫力のない動きでは敵わない。ゾッケンは草を伸ばし、クラナの頬を切りつけてみせた。

「ガキでも容赦はしねえぞおお!!」

ゾッケン達は一斉にクラナをリンチにかけ始める。

れなとFは拳を振りかぶり、ゾッケン達を止めようとしたのだが…。



突如、何か嫌なものが二人の背筋に走る。


直後、ゾッケン達の身を強力な力がすり抜け、彼らを吹っ飛ばし、周囲の木々に叩きつけた!

木はゆっくりと倒れていく…。凄まじい勢いだった。


つい今までゾッケン達に囲まれていたクラナが、彼らに何かを放って吹き飛ばしたのだ。

その力は…間違いない、魔力だ。

「まさかクラナ…魔力を使えるというの…か?」

Fに、不自然な沈黙が一瞬よぎる。


目の前のクラナは、両目が赤く発光していた。

ただ赤いだけではない。電球が揺れている時のように僅かな残像を残しており、生物のようによろめく異様な光だった。


ここからはとてつもない猛攻が始まった。

クラナはゾッケンが悲鳴を上げる間もない程の拳の嵐を決めまくる!

最後に蹴り飛ばし、空中に吹っ飛んだところへクラナも飛び上がり、踵落としを叩き込んだ!

地面に直撃するゾッケン。大量の草が散らされる。


他のゾッケン達も同じだ。

クラナは全く同じコンボをゾッケン達にぶちかまし、全員地に伏せさせた。

ここまで三十秒程だ…。



クラナの目の赤い光が消えていく…。

れなとFは目を合わせあう。



「…どうだった?」

クラナは、何食わぬ顔で二人に寄ってきた。思わず後ずさる二人。

一体何が起きたのか…そう考えてるのはFだけだ。


れなは、何が起きたのかハッキリ分かった。


あの光、あの目、あの魔力。間違いない…リューガのものだ。


「ク、クラナ。今の技は?」

「今の?何かどんな動きをすれば良いのか自然と頭に浮かんだんだ!意外と戦えるものだね!」

どうやら今のはクラナの意思らしい…。


なのに、その姿はクラナには見えなかった。

一体、彼女に何が起きていたのか。


れなは、この事態を事務所の皆に伝えにいく事にした。

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