とある村の戦い 邪悪な巨影
ある村が、燃えていた。
そこに駆けつけたのは二人の旅人。赤い着物に赤い髪の女、鬼子と、オレンジの髪に炎の紋章の服を着た青年、火竜。
悪鬼を狩りながら旅をする彼らは、次々に村人達が逃げていく村を発見した。
炎に崩れていく民家から一人の老人を救出し、二人は彼に何が起きたのか聞き出す。
「…やつが来たんだ…クラムアが…」
「クラムア…?」
聞き覚えのない名前に、二人の声は小さくなる。その言葉を呟くと、老人は気絶してしまった。
その炎から吹き上がる煙を、空中で発見した者達もいた。
鬼子よりも濃い赤の髪と赤いスクール水着のような服を着ており、黄緑の翼を生やした悪魔デサイア、同じような格好だが、髪も服も紫色で背中の翼は青、黒い二本角の悪魔キュバス。
常に新しい物を求める二人は、また何か起きたのかとその光景を見世物のように見下ろしている。
「燃えてるわねー、デサイア、今回の件はどう睨む!?」
「闇姫軍の仕業にしては目的が見えない犯行と見えるわね。また別の組織が動いてるのかしら」
ただ燃える炎を見ているだけでは情報が足りなすぎる。
ここは悪鬼狩人二人の行動に任すしかないようだ。
鬼子は目の前で民家が屋根から崩れる様子を見て、いち早く調査を始めるべきだと考えた。
「おい鬼子!これは何だ?」
早速火竜が何かを発見したようだ。
鬼子は彼のもとに駆け寄る。
「…これは?宝石?」
それは、民家の近くに生えている何の変哲もない草の集まりに紛れるように落ちていた。
真っ黒で、一片の光も通さないような、闇のような黒色だ。
まだ燃えていない草は、その宝石を守るように覆い被さっている。
鬼子はそれを摘まむように拾う。
何か奇妙な力があった。
指先から伝わってくるその力は、今までに感じた事のない、言葉では言い表せないような嫌悪感を感じる…。その黒色は無限に続く宇宙のようで、ずっと見ていると自然と不安になってくる。
要調査が必要なようだ。鬼子はそれを懐に入れ、この村から出る事にした。
「さあ、生き残りがいないか探してからここから出るわよ!」
「…また厄介事にならないと良いんだがな」
…それから二人が村から出ていったのを、デサイアとキュバスはしっかりと確認していた。
燃え広がる炎の中に降下する二人。先程鬼子達が宝石を取り出した辺りをウロウロしだす。
「あんな綺麗な宝石を独り占めするなんて許さない!」
二人は悪魔だからだろうか。あの宝石の嫌なオーラは、二人にとっては心地よいものに感じられるらしい。二人は悪魔だからだろうか?
あの宝石を探して朽ち果てていく村を彷徨く。おかしな好奇心を持たなければ良いものを…。
「デサイア!あったわ!!」
キュバスが先に発見した。
今度は村の井戸の前にポツンと置かれてあった。まるで誰かがここに置いていったかのように。
「まだあるはずよ!!それを使ってペンダントでも作って売ろう!」
「よーーし!!」
まだペンダントにする為の穴を空けられるかも分からないというのに、二人はすっかり億万長者の未来を夢見て村荒らしを始めた。
壺をひっくり返したり家を殴って破壊したり穴を掘る…というよりも地面を蹴って地割れを起こしたりとまさしくやりたい放題。
だが一向に宝石は見つからない。どうやら鬼子達が持っていった物と、今手元にある物だけのようだ。
「何よ!!これじゃ作れないじゃん!!」
激しく憤慨する二人。特にキュバスの怒りは酷く、宝石を地面に叩きつけて踏み潰そうと足を振りかぶる!
「ちくしょー!!こんなもんんん!!」
勢いよく足を振り下ろしたその時!
突然宝石が黒い光を放つ!
同時に何か嫌なオーラが漂いだし、二人は突然の吐き気に襲われる。
先程とは段違いの禍々しい力だ。これには悪魔の二人でさえ耐えられない。
更に宝石は段々と形を変えていく。まるで液体
のようにうねりながら…。
そして…次第にそれは丸い頭、骨や筋肉が見受けられないぐにゃぐにゃの手足を持つ、黒一色の体、白く光る目を持つ怪物へと変化した。民家など比べ物にならない程の大きさだ。
怪物は両手を振り回し、燃える民家にとどめを刺すかのごとく腕を叩きつけて破壊しながらデサイアとキュバスに襲いかかる!
二人は一目散に逃げ出すが、怪物は図体にあまりにも似合わない速さで向かってくる!
さすがの二人も、この知性を感じさせない怪物相手では死を覚悟した!
だが、二人の危機に、何かが駆けつける!
怪物の顔面に鋼鉄のような硬さの何かが命中し、地面に叩きつけられた!
「…!」
二人を助けに来た者がいた。
薄紫のツインテール髪に黒いスクール水着のような服、アルファベットのGと書かれた緑の紋章を持つ巨大な少女…。
テクニカルシティの科学の集結作、パープルGだった!




