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ワンダーワールドⅡー2   作者: 白龍
33/57

巨大アンドロイド パープルG 巨大海老モンスター ロブン

現在テクニカルシティでは多くのアンドロイドの製造が予定されているらしい。

前々から新しいアンドロイドの製造計画は何度も繰り返されてきたのだが、今回は特に大掛かりな計画なのか、町の人々は部品入りの鉄の箱をトロッコ型ロボットに持たせ、慌ただしく動き回ってる。

これだけ町の人々に影響を与えるとは、一体どんな凄いアンドロイドができるのだろう…。

れなと葵は、彼らとすれ違う度に期待と興味が湧いていた。



そんなある日、事件が起きる。

テクニカルシティの南部…港の地点にて、あるモンスターが出現した。

海面を押し破るように現れたのは、巨大な海老のモンスター。

「ロブンが出たぞー!」

そいつの名はロブン。テクニカルシティの周辺の海域に生息している海老モンスター。

ごく稀に地上に出ようとするが、その時は被害を出す前に海猟隊かいりょうたいによって撃退され、海へ帰っていくのだが、今回は海猟隊の対応が遅れ、ロブンは地上にその足を踏み出してきたのである。

建物にも匹敵、もしくはそれより少し上くらいの巨体で町を練り歩き、両手のハサミを振りながら暴れている。

人々は逃げ惑い、振りかかる瓦礫から逃げ回る。

「これ以上好きには…!」

れなはロブンに向かって飛び出そうとした!


いつもならこうして戦闘が始まるが、この日は違った。





「ちょっと待て!ここは任せな!!」




何やら威勢の良い声が響き、同時に地上には激しい地響きが巻き起こる。

…何か巨大なものが走ってきているかのような、足音に近い地響きだった。


直後、れなは何かの影に呑まれる。

ふと上を見上げると…。



そこには、巨大な人影があった!


それは、ロブンの頭部に蹴りを炸裂させ、吹っ飛ばしてみせた!

ロブンは飛ばされるが、周囲の建物にはぶつからなかった。



…ロブンを蹴飛ばしたのは、少女だった。

勿論ただの少女ではない。

建物並みに巨大な少女だった。

薄紫のツインテール髪に黒いスクール水着のような服、服にはGと書かれた緑の丸いマーク。

顔はどこか無気力な無表情の少女だった。


「ま、まさかあれが…」

ポカンと口を開けるれな。そうだ。あれこそがテクニカルシティの科学者達が力を尽くして作り上げたアンドロイドだ。

どうりであれほどの労力を費やしていた訳だ。あんなでかいなど…。


「行け、パープルG!」

何者かの声がビルの上から発せられている。

よく見ると、近くのビルの上に赤いメガホンを持って少女に指示を出している白衣と眼鏡、赤髪の女性がいる。

彼女が指導者だ。

パープルGと呼ばれた鋼鉄の巨大少女は町を揺るがしながら走っていき、ロブンの両手のハサミを掴み、そのまま持ち上げる。

凄い力だ。ロブンは抵抗するが、暴れてるのは下半身だけ。完全に封じられている。

パープルGは相変わらず退屈そうな顔でロブンを地面に叩きつける。

地響きが起き、周りにいた住民たちが一瞬宙に浮く。

「こらー!!もう少し周りの被害考えろ!!」

赤髪女性が怒鳴ってる。パープルGはふてくされたような表情でロブンの頭を蹴りつける。

「こらー!!もっと相手への敬意を持つ!!」

もはや何をしてほしいのか。

パープルGの顔色が変化し、ロブンを一気に持ち上げる。

そして、遠くの海目掛けて思い切りぶん投げたのだ。

海へ真っ逆さまに落ちていくロブン。

巨大な体が海面に直撃した瞬間、凄まじい波が流れ、その重さを物語っていた。


「やった!!やったぞおおお!」

赤髪女性が一人で万歳して喜んでいる。どうやら町の人々の大半はパープルGの事は行き渡っていなかったらしく、皆喜びよりも驚きが勝ったリアクションだ。

…勝利を収めたパープルGは科学者の方へ振り向く。

怒ったような顔で科学者に手を伸ばし、そして掴む。

「うるさい」

「えっ」

科学者が青ざめた。


パープルGは科学者を掴むと、そのまま野球のピッチャーのごとく見事なフォームで科学者をぶん投げてしまった。

遥か先の青空に飛んでいった科学者。飛んだ先には、白い光が輝いていた…。

…れな姉妹が博士に聞いたところ、パープルGを指示していた科学者はルミ博士。博士と同じくアンドロイド学に長けた研究者であり、その名は町でそこそこ知れ渡っているとのこと。


「にしてもパープルGは強かったなー」

れなはドクロと町を散歩中、つい昨日パープルGが立っていた辺りに並んでいるビルを見つめていた。

あんな巨大な子が一体どこに隠されているのだろう。

そもそもあんなものを極秘でどうやって作ったのか?

謎は深まるばかりだと思われたが…。





「あ、君達、この前地上から我が娘の戦いを観戦していた子達じゃないか」



目の前に、黄色いフードを身に羽織ったルミが立っていた。

顔にもマスクをしており、一見すると誰なのか分かりにくいが、太陽光を輝く眼鏡のおかげで分かりやすい…。

「私は有名人だからね。こうでもしないと私のファン達が集ってうるさいのさ。にしてもあっちーな」

左手で顔を扇ぐルミを見て、ドクロは早速こいつの変人ぶりに気づいていた。

れなは気にせず、ルミに気になっていた事を聞いてみる。

「あの、パープルGに会いたいんですけど、どこにいるんですか」

「よく聞いてくれた!君も確かこの町のアンドロイドだろう?先輩の戦い方を学びたいとは素晴らしい心構えだ!」

実質自分の方が千歳以上年上なんだけどなぁと顔を掻くれな。ドクロはルミのあからさまな上から目線に少々苛立っているようだ。

それでもドクロも気になっていたのは確か。今はこちらを手招きするルミについていって良さそうだ。

「さあ、秘密倉庫へ案内しよう!」




ルミが向かった先は…今まで通った事のない無数のビルが並ぶ通路を進んでいった先にある非常に小さな小屋だった。

中に入ると、左右に無数の資料が詰め込まれた本棚、古いドアがあるくらいで、パープルGが入るスペースなどない。

「ちょっとぉ、場所間違えてんじゃないわよ」

「早とちりは良くないよ、白髪赤目」

勝手に地味なあだ名をつけられて怒るドクロ。

ルミは、部屋にあるドアをゆっくりと開く…。


「!?」


そのドアの先に広がっていた光景を見て、れなたちは驚きを隠せなかった。




その先にあったのは部屋などではなく、緑の草が無数に植えられた空間だったのだ。

「こここそ、空間力学の科学者の協力を得て我々が作り上げた空間、秘密倉庫だ!」


まさか、空間そのものを作り上げたというのだろうか?

はじめは信じられなかったが、目の前にある光景は確かに本物だ。

ドクロは、根を張る草の真下の地面から、人工物の魔力も感じていた。

ここは確かに、人工の空間だ。

「良い光景だろう。ほら、あっちをよく見てみなさい」

ルミが指差す先には…無数の木々が並ぶなか、頬杖をついて寝そべる巨大な人影が。

パープルGだ。


「おーいパープルG。またそんな所で寝て。腐るぞ」

ルミに声をかけられ、寝返りをうってこちらの振り替えるパープルGの目は眠そうだった。

自分と同じ、はっきりとした感情を持つアンドロイドだ。ただ体の大きさが違うだけで…。

「すごい…」

これにはさすがのれなも、彼女の科学力に打ちのめされるような感情を覚えていた。

これほどの科学力。…かつての主達にさえ匹敵するかもしれない。

(…まだまだ地球もすごいんだな)

れなは、どこまでも広がるような秘密倉庫の青空を見上げ、ため息をつくのだった。




…秘密倉庫の入り口の小屋を見つめる二つの影にも気づかずに…。

「ふふふ…」

二人の欲張り悪魔…デサイアとキュバスが、パープルGを狙っていた。

何だかんだで秘密倉庫を楽しめたれなとドクロは、ルミに手を振って秘密倉庫から去っていった。

ルミも秘密倉庫から去っていき、残るは倉庫をかげから見つめていたデサイアとキュバスのみになる。

デサイアが赤色、キュバスが紫のスクール水着のような服。まあいつもの普段着だ。

ただし、いつも生えてる翼は引っ込めている。恐らく身を隠す為に少しでも体を小さくしたいのだろう。

「…いくわよ」

キュバスの一声と共に、二人は物凄い速度で秘密倉庫へと繋がる小屋へ突っ込んでいった…。



小屋の中にある質素なドアを開くと、もうその先が秘密倉庫だ。

青空が広がり、緑の草達が続いている、どう見ても自然物にしか見えないような人工空間。

新鮮な空気まで自然そのものだ。二人は本当にここが秘密倉庫なのかと少し顔をしかめた。


「あ!キュバス!」

デサイアが指差す。その先には、地面に埋まった何かがある…。


それは、まさかの銃だった。

「すごい!他にもナイフとかも落ちてるよ!」

火薬に斧、鎌にレーザー銃。様々な武器が、平和な草原に埋まっていた。

とんでもない量の武器達に、二人は歓喜した。

…しかし、それと同時にある疑問が浮かぶ。

「それにしても…こんな兵器が沢山あるのに、こんなに簡単に侵入できるなんて…」

「あっ、キュバス!あれ!」

キュバスの疑問も、今のデサイアは微塵も気にしてないようだ。

遥か先にある本来の目的を発見し、二人はそこへ駆けていく。



…それは、紫色のツインテールに黒いスクール水着のような服、Gと書かれた緑のエンブレムの、巨大な少女…ルミ博士の傑作、パープルGだ。

こちらに背を向けて座るパープルGは全く気づいておらず、真下の花を見つめてぼーっとしている。

「よし!あれを使うわよ!」

キュバスが胸元から凄まじく長いロープを取り出す。

どうやって収納していたのかと思うくらいに長いロープだった。西部劇で見るようなカウボーイの如くロープを振り回し、そのままパープルGに投げつける!

ロープはパープルGの体を締め上げ、キュバスがそのまま引っ張り、怪力でパープルGを仰向けに転ばせる。

衝撃で周囲に草が飛び散る。パープルGは草原の草にまみれ、汚れてしまった。

「よーし!このまま引っ張って…」


…こんなロープはパープルGの前では何て事なかった。

パープルGが少し力を入れると、すぐにロープは引きちぎれてしまう。

二人は一瞬戸惑いつつも、これくらいは予測の範囲内。デサイアは緑、キュバスは青の翼を広げ、パープルGへ向かっていく!

背後から忍び寄った際は気づいていなかった事もあり、二人はパープルGをでかいだけのポンコツと思っていた。

だがそうもいかない。

パープルGはその大きさで、二人の飛行速度を遥かに上回る拳を振り下ろしてくる!

「うわ!?」

思わず声をあげる。草原に叩き込まれた拳から、凄まじい土砂が飛び散る。

その風圧は、デサイアとキュバスの翼も逆らえず、宙に浮かんで自由を失う。

その隙を狙い、パープルGは浮かぶ二人に強烈な蹴りをぶちかます!

二人は勢いよく秘密倉庫の入口の小屋目掛けて飛んでいき、そのまま強制退場…秘密倉庫から叩き出される。

そして、町のビルを突き抜け、コンクリートの地面に体を擦り付けられながらようやく停止した…。

白目を剥く二人…。周りの人々はこんな所でこんな格好で何をやってるんだと見下していた。


「全く…」

身のほど知らずな二人に、パープルGは軽くため息をついて、再び草原に座り込んだ。

真下で飛び回る蝶達を見つめながら、のんびりと過ごしていた。






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