バリバライデン襲来!
「…闇姫があのアンドロイドにFとクラナの正体を明かしたか…。しかし、さすがはリューガの息子。ライデンももう限界か…」
バリバは再びスタレタウンに戻り、黒ずんだ体で倒れるライデンを回収しに戻っていた。
Fは明らかに以前よりも力を増していた。このまま力をつけていけば、やつはリューガにも勝る力を得るかもしれない。
バリバの危機感が、次第に大きくなっていた。
「…こうなれば、何としてもやつらを倒さねばならないな。そのついでに、やつらに正体を明かしてやる」
やつらはリューガの子孫。ルークワースの未来の為、何としても生かしておく訳にはいかない存在。
バリバには、やつらを確実に倒す秘策があった。
「…醜くなるのは嫌だが、致し方あるまい。ライデン、いくぞ」
ライデンはゆっくりと立ち上がり、バリバの方に振り替える。
無機質な笑顔が、バリバを見つめていた。
「…」
ポケットから、青い液体が入った注射器を取り出すバリバ…。
(…)
れなは、心の中でも沈黙していた。
事務所の庭で、れみと無邪気に遊ぶクラナ…バリバらルークワースの事で頭を悩ませるF。
…彼らは、自分達か何者かのかも分からず、何となく生きてきた。
ルークワースと戦う新たな味方ができて、家もできて、彼らは恐らく以前よりも幸せだろう。
そんな状況下で、父親があのリューガ…かつてない程の悪行を犯した男である事を知らせれば、良い反応はないだろう。
…伝えるべきではない。
れなは、彼らの為を思ってそう判断した。
「なあれな」
Fに話しかけられ、れなは思わず声をあげた。
らしくない姿に心配そうな顔をするFもまた、彼らしくなかった。
「…なぜあのジジイたちは、俺たちを狙うんだろうか。落ち着いて考えてもまだ分からん」
「さ、さあ。イライラしてるから八つ当たり感覚なんじゃ」
Fは俯く。
まさか真に受けてしまったのだろうか…。
「い、いや。別に多分恐らく確実に50%違うとは思うのだが」
必死に誤魔化そうとするれなのもとへ、悩みの種であるクラナが歩いてくる。
そして、兎のぬいぐるみを差し出してくる。
これは…前にれなが買ってあげた物だ。よく見るとお腹のあたりにとても小さな穴が空いている。
「治してあげて」
頭を掻くれな。
れなは不器用どころか、縫い針を料理道具だと勘違いしているようなやつだ。
こう言う事は粉砕男か葵に頼むのが一番…。だが、あいにく二人は不在。
(こりゃー弱った…)
れなは困り果てながら、とりあえずぬいぐるみを受け取ろうとした。
「…っ!」
息を呑む音がした。
Fだ。突然右腕を押さえて苦しみだした。
彼の腕が、青く光っているのだ。彼の入れ墨、導狼の証だ。
Fは不思議な事に、導狼の証が何か危機を察知してそれを伝えようとしているのが分かった。
「…やばいのが来るぞ!!」
南方向からだ。
れなたちは、南方向…庭を囲む石の塀を見た。
…Fの言った通りだ。
塀は一瞬にして粉々に粉砕され、一同は風圧で吹き飛ばされる。
事務所内に吹っ飛ばされたれなとクラナが、顔をあげる。
「見つけたぞ、F、クラナ…」
目の前に立っていたのは、紫色に染まったライデン…。
いや、それ以外にもいつもと明らかに違う。
本来なら左腕のみの鋸が、右腕にまで形成されている。しかしその新たな鋸は、血のように真っ赤だ。
右肩から背中にかけて赤い管が無数に張り巡らされており、背中には白い目を持つ真っ黒な物体が、寄生しているかのように食い込んでいた。
「もう逃げられん。お前は死ぬべき運命なのだ。宿命からは逃れられん!!」
バリバの声だ。
声は、黒い物体から聞こえてくる。まさか、この物体がバリバだというのか。
「ちくしょう、ついに人としての形さえ捨てたか腰抜けが!!」
Fが言うと同時にライデンは両手の鋸でFを挟み込むように狙ってくる!
Fは跳び跳ねてかわし、黒い物体を踏みつける。
「俺達は死ぬ運命…?宿命だと?どういう事だ?まるで俺達の何かを知っているような口振りじゃねえか」
「…そうだ、お前らは…」
バリバが言いかけたところで、ライデンに強い衝撃が走る!
事務所の塀の外へと飛ばされるライデン。通行人の騒ぐ声が聞こえてくる。
れなの蹴りだった。
何としても、やつにF達の正体を喋らせてはならない。
「Fとクラナは逃げて!!こいつは何とかする!」
早口のれな。
当然Fは逃げようとしない。今まで散々自分達を散らしてくれたバリバとライデンが一つとなった今、ぶっ倒すには一石二鳥なのだ。
だがそんな事をすれば、バリバは必ず二人の正体を語るに違いない。
とにかくバリバを近づけなければ良い。逃げようとしないFを見て、れなは吹っ飛ばされたライデンへ向かっていく。
ライデンは、近くの民家の庭に叩きつけられていた。
「おのれ邪魔をするな!」
鋸を再稼働させつつ、ゆっくりと浮かび上がるライデン。
れなも空中に浮かび上がる。空中戦で決着をつけるのだ。
「F!絶対手出しすんなよ!!」
れなは声を荒げながら、地上のFをじっと睨み付けた…。




