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ワンダーワールドⅡー2   作者: 白龍
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クラナのウサギ探し

「…二人がリューガの…」



れなは、二人には二人の正体を隠していた。



…きっと、教える事で得られるものは、良くないものなのだから。




クラナはいつも兎のぬいぐるみを大切そうに持ち歩いている。

これは、れなと初めて出掛けた時に買ってもらった大切な一品だ。人から物をもらうという事自体ほとんど無かったらしく、どんな時も持ち歩くほど大切にしていた。

大切であるが故に、まだ名前はつけてない。ずっと迷ってるのだ。

こんなに大切にしてくれるとは、買ってあげた身としてれなも嬉しかった。

「…いやー、れみとかにあげなくて良かった~」

事務所の庭にて、れなはこちらに向かってくるクラナを優しい目で見守っていた。

このまま自分の正体を知らないまま育ってほしいのだが…。


「れな…」

クラナはれなに近寄るなり、れなのスカートを引っ張りながらこちらを見上げていた。

その目は涙目だ。


「兎が…」





何と、クラナの兎が何者かに引ったくられたというのだ。

公園のブランコに座っていたところ、物凄い速さの人影が横切り、気づくと手元から兎のぬいぐるみが消えていたのだという…。


その犯人は、テクニカルシティから森へ続く歩道を駆け抜けていた。

黒いフードを着こなし、風に吹かれながら失踪しながら、その手には兎のぬいぐるみ。

…シュールだった。


町を抜け、森へ近づくにつれて段々と草むらが広がっていく。


「待てー!!」

そこへ駆けつける、小さい子供の味方、れな。

低空飛行する事で凄まじい速度で相手を殴り、遥か先へとぶっとばす。

犯人は森に続く道に生えた緑の草にまみれながら三回ほどバウンドする。


れなは直ぐ様犯人の顔を見た。


「こいつらは!」

そう、相手は一人ではなかった。

ドクロ型の一頭身の体に丸い手足を生やした小型のモンスター…闇姫軍の兵士三匹が肩車し、黒いローブを羽織っていたのである。

その手に兎はなかった。

「お前ら!!兎はどこじゃあああああ!!!」

鬼の形相で兵士達に怒鳴るれなだが、三匹は両手を振って彼女に言う。

「知らねーよ!お前が急にぶっとばすから落としたじゃねえか!」

れなは振り替える。

兎は落ちてない…どうやらかなり遠くの方に投げ落としてしまったようだ。

これは責任重大だ。クラナのぬいぐるみを無くしたなどFに言えば何をされるか。

れなはアンドロイドなのに青ざめながら必死にそこら中の茂みを漁りだす。兵士のリーダーと思われる個体がそれを見て他の二匹を仕切りだす。

「お、お前ら!俺らも探すぞ、あれを闇姫様に献上するんだ!」

全ては闇姫の為らしい。れなはそれを聞いてそうはさせるかとますます必死になる。

それから四人は森への道を探し、道よりも少し前のテクニカルシティの門を探し、道の先の森も探し、森の先の山や隣町、北にある氷の国に火山、広大な砂漠に知らない王国と、物凄い速度で動き回り、一日の内に数えきれない場所を探し回った。

高い段差は飛んで乗り越え、海は水面を気合いで走れば解決だ。それほど四人のぬいぐるみへの意欲はすごかった。


そして日は暮れ…世界を回った四人は始まりの地である森への道に戻り、ヘトヘトな体を休めようと横たわる。

こんなにも世界を回ってるのに見つからないなんて…。頭が悪すぎる四人組の無駄な努力だった。


「…ん?」

その時、れなが何かを見つけた。


それは…近くの木に引っ掛かってる兎のぬいぐるみ。

ただ見てなかっただけで、ずっとここにあったのだ!


「あーーーっ!!」

一気に立ち上がるれな。三人の兵士もぬいぐるみを見つけ、一気に走っていく。

れなと兵士達は同時に木の前に辿り着き、何も言わずに戦闘を開始した!

闇姫軍兵士の中では中々強い。短い手足に似合わず、その力は並みの人間より遥かに上だった。

だが、やはりれなの方が上だ。

三人の連携を見きり、まず飛びかかってきた兵士に蹴りを浴びせ、次にれなの背後から迫ってきた兵士には片足立ちのまま振り返り、またもや蹴りを決める。


「ぐおらあああ死ねええええ!!」

最後にリーダー兵士が魔力で白い光の槍を召喚、振り下ろしてくる!

れなは白羽取りでそれを受け止め、夕日の光で黄色い髪を輝かせた。

槍を掴んだ手を突きだす事で兵士を空中に吹っ飛ばし…。

「オメガキャノン!」

右手の平から青い破壊光線を発射、オレンジの光は青く染まり、兵士は遥か先へと吹っ飛んでいった…。




こうして、れなは無事クラナのぬいぐるみを取り返し、彼女に返す事ができたのだ。

「おまたせークラナ…」

クラナは公園で待っていてくれていた。遅いのでこれから様子を見にいこうとしていたらしい。

「ありがとーれな!夕方になったから心配したんだよ!相手はどんなやつだったの?」

れなは明後日の方向に目を向けた。あんな兵士にこんなに時間をかけたとは言いづらい…。


「と、とんでもない暗黒の王者だったよ!だからこんなにかかってしまって…」

「え…嘘だよね?」


流石のクラナも、こんな嘘には騙されなかった。


「ごめんなさい嘘です」


クラナも、小さい子として油断できないようだった…。





「…やっぱり違う…いや…」




一件が済んでも、れなは現実を受け入れられなかった。

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