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ワンダーワールドⅡー2   作者: 白龍
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明かされる残酷な真実

「闇姫は私の専門だ!Fはクラナを連れて逃げて!!」

今回ばかりは、Fはれなに従い、森の道を辿って逃げていった。

れなと闇姫は向かい合う。




「…お前は千年前から変わらないな」

「闇姫は変わってるね。また身長と胸が縮んだんじゃないの?」





れなの煽りだ。闇姫は冷静に振る舞いつつも明らかに不快そうな表情。

珍しく闇姫の方かられなに突っ込んでくる!

「人を不快にする天才だなお前は」


れなは、右手の平で闇姫の拳を受け止める!

だが衝撃はれなを押し飛ばし、足を地面にめり込ませながら森の中を滑っていく。

途中、闇姫の更なる追撃の突きをれなは右手で受け、闇姫の左手に手刀を打ち込もうとしたが、それを察した闇姫はれなの手から離れ、背中から灰色の翼を射出、さらに素早く飛び始める。

「空でやるぞ」

無駄な破壊をしない闇姫なりの配慮だ。

れなと闇姫は森の上空に飛んで行き、互いに目をあわせあう。


そこからは打撃の祭りだった。拳に蹴り、裏拳にかかと落とし。あらゆる攻撃を混合させながら打ちまくりあう。

れなと闇姫の戦いならではの光景だ。正確にはれなの戦闘スタイルに闇姫が合わせてるだけだが。

だがやはり闇姫の拳が上回っていた。

拳を黒く光らせ、れなの顔面に炸裂させる!

れなの周囲に黒いオーラが飛び散り、そのオーラはまだ森を逃げている途中のFの頭上の振りかかろうとしていた!

咄嗟にれなは、右手で顔を抑えつつも左手から青いエネルギー波を放ってオーラを消し去る。

「いい加減にどけ。今はお前を殴っても無意味だ」

「何でFとクラナを…」

闇姫は一時休戦の姿勢をとる。

ゆっくり顔をあげるれなの顔を見て、実に滑稽そうに笑っていた。

「お前は本当に何も考えないな。正体も知らない奴らに肩を貸すなど」

まだ戦いは終わってないと、れなは闇姫に空中で殴りかかる。



すると闇姫の全身が黒いオーラに包まれ、瞬時に姿を消したかと思うと、れなの背後に現れた。

今度はそっちかと、裏拳を食らわせようと腕を振るが、闇姫はれなの脇の下に腕を通し、羽交い締めに近い姿勢をとる。

動きを止め、完全に戦いは停止した。


「…教えてやろうか。やつらの正体を」

「だからそれを早く言え!」

掴まれてもれなは強気だ。

闇姫は、れなの耳元に囁くように話しだす。




「…リューガ、覚えてるか」

「忘れもしない」

れなは、視界に移ってない背後の闇姫を睨もうと、必死に目をつり上げた。


リューガ。今聞けば懐かしい名前だ。だが当時は飽きるほどに聞いた。

れなたちがかつて撃破した、狂気の道化師。

やつのせいで多くの人間が、別世界の仲間達でさえも命を落とした。

れなにとってはまさに因縁の相手。戦うべき敵と言える存在だったが、今ではもうやつはこの世にいない。


人工の生唾を飲むれな。

…やつの名前があがったという事は、それなりの事をこれから語られるだろう。



「Fとクラナは」

一方で、闇姫は微塵も恐れていないようだった。



れなの目が、見開く。


















「リューガの子だ」



















「…ご冗談を…」

「冗談を言うような状況かと思うのか。どこまでありがたいアホだお前は」

れなの背中を突き飛ばす闇姫。空中で見事にターンを決め、闇姫の方に向き直るれな。




…今なんと言った?


まあ恐らく、聞き間違いだ。


理由は単純。リューガは極悪非道…なんて言葉では済まされない程の存在。


一方でFは素直になれないところはあれど、妹を思い、自分達の事も考え、他人のために命をかけられる、熱い正義の魂を持つ男。



クラナはただただ純粋で、人を疑う事を知らぬ、まさに一片の穢れもない、黄金のような心を持つ…幼い子供。




真逆だ。何もかも違う。



…同じなのは、きっと、赤い血を流す事くらいだ。


そう、赤い血を…。




「やはり信じたくないか。だが事実だ。実際に調べたところ、やつらの血とリューガの血の魔力は一致してる。体組織も全身の魔力の質も、何もかも同じだ。…精密な調査で出た結果は揺るがないぞ。お前の大好きな、『この世界は不思議理論』でもな」

いつの間にか戦いは終わっていた。殺伐とした雰囲気が、付近に漂う。

もう既にFは逃げきったようだ。


「リューガは死んだ。だが悪意のみで形成されたやつの肉体はただでは消えなかった。死ぬ間際、やつから分離した魔力がそのままFとクラナになった」

通常、魔力が人の形になるなどあり得ない。






…だがこの世界は不思議だ。実際に悪という概念が具現化したリューガという存在もいたのだ。何が起きても…不思議ではない。


…先程遠回しに皮肉を言われつつも、またもやこの世界は不思議理論に走るれな。

もはやまともな判断力など、無くなっていた。



「クラナの目覚めの時はもう近い」

「そ、そんなのおかしい!」



認めようとしないれなに、闇姫はそろそろ苛ついてきた。

どんなに否定しても、その事実は揺るがないというのに。

「元はと言えば完全な悪だった。だが運悪くやつらは人間や動物と関わる事で、善良な心も覚えたのだ」

「…完全な悪の心から、善の心が生まれるなんて、そんな不思議な事…」

ハッ、と気づくれな。





…この世界は不思議だ。何が起きても、おかしくないのだ。







彼女を見つめる闇姫の目は、何とも言えない、嫌な目だった。


「バリバがFとクラナを殺そうとしているのも、いつ悪の心が目覚めてしまうか分からないからだとよ。もし悪に目覚めれば、手がつけられなくなる。だがクラナはFよりも善の心が強く、その不安定な心ゆえに肉体も弱い。兵器作りの研究とする為に、クラナを捕らえていたという訳だ」

バリバの計画を暴露する闇姫。ここまで話されれば、もはやれなも認めざるを得なかった。

…あの二人が、あの外道の血を引いている事を。


幸い、二人は自分達の正体について興味を持った事もないし、リューガの事もよく知らないだろう。

…それでも、リューガの子供と言うのはあまりに荷が重い。


「…何としてでも、やつらにやつらの正体を知られない事だな。…それと、Fとクラナがスタレタウンで破ったバリバとライデンだが、今怪しい動きを見せている。せいぜい気を付ける事だな」

…そう言われても、れなは顔をあげない。


そんな彼女の姿が滑稽だったが、恐らく今クラナを殺せば、れなは怒り、かなり厄介な力を出すかもしれない。

仮にも千年前に、自分と戦い、相討ちにまで持ち込んだ相手。


闇姫は潔く、体を黒い闇の霧に覆い、姿を消した。



「…」

れなは、何も言わずに、ただただ森の木々を見渡すのだった。

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