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ワンダーワールドⅡー2   作者: 白龍
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蝙蝠姫のアディーラ

闇姫の拠点である闇の城がある闇の世界は、今日も赤い不気味な空が広がっている。


闇姫は新たな計画を実行しようとしていた。

今回の目的は…。


「勇者エメラルドだ」

玉座に座る闇姫に、赤い逞しい体に二本の角、黄色く輝く目と紫の結晶体のみがついた顔の悪魔、アースデストロイアー、略してアスデスが闇姫の声に耳を傾ける。

「勇者エメラルドというと…あの伝説の?」

「そうだ。れみたちが戦った名無しの魔王が、勇者アメジストへ戻ったろう。エメラルドはやつの兄だ」

エメラルド関連の件は、闇姫もよく印象に残ってる。

エメラルドはかつて魂を無数の欠片へと分散させられてしまい、世界に散らばった。

れなたちがその欠片を集め、彼を復活させようとしたのだが、結局復活は叶わぬまま後の事はアメジストに任された。

アメジストは現在、自分の星で兄を復活させようとしているようだ。

闇姫軍が出した宇宙偵察隊が、エメラルド色に輝く美しい惑星を発見し、そこでエメラルド色の宝石に魔力を込めるアメジストを目撃したのだという。

「私達闇姫軍の進軍の為、勇者様には力になってもらうのだ」


「お呼びですか」

闇姫の話の合間に入るように、何者かが入ってくる。

闇姫の目の前で膝をつく少女…。黒いマントを羽織り、黒い羽毛でできたような服、赤い蝙蝠を模したような紋章を胸につけている。

黒く、左目が隠れるほど長い髪に、血のように赤い目を持つ少女だ。

「お前の出番だ。蝙蝠姫のアディーラ」

少女は顔をあげる。

口内に、鋭い牙がちらついていた。





…その頃、れなの妹のれみが、ある戦いを繰り広げていた。

テクニカルシティ近くにある乾いた荒野の上空にて、黄色の短いツインテールを激しく揺らしながらある相手と殴りあうれみが。

相手は紫の髪に蝙蝠を模した冠、青い宝石が嵌め込まれた鎧のような服を着た少年、ナスビ。

それを見守るのは、荒野にできた岩の上に、兎のぬいぐるみを片手に座るクラナが。

「土でも食ってろクソガキ!」

れみはナスビを蹴り落とそうと足を振りかぶるが…。

「お前がだクソガキ!」

ナスビの拳が先に直撃し、れみはヒビ割れた荒野に叩き落とされ、派手な瓦礫や土砂と共に地面に顔を突っ込んでしまった。

この勝負、ナスビの勝ちだ。

ゆっくりと降りてくるナスビ。れみは地面から顔を出し、口に入った土を吹き出した。

拍手するクラナ。ナスビは誇らしげだ。

「クラナ!応援するのはナスビじゃなくて私だっつーの!!」

「でもナスビの方が強いよー」

純粋なクラナの台詞に、れみは打ちのめされるような感情に…。


「ナスビめ、名無しの魔王の所にいた時よりも強くなりやがって!」

「魔王軍にいた時は正直一時怠慢してたからな。魔王様の正体がアメジストと知ったら、急に修行が必要だと思ったのだ」

空を見上げるナスビ。


彼が忠誠を誓っていた名無しの魔王。彼の正体が勇者アメジストと知った時のショックは大きかった。

「…」

ナスビは、元々はある組織にいたのだが、ある理由で魔王軍に転職したのだった。

その組織に所属していた時の記憶を思い出すナスビ。

「あの頃は皆強豪揃いの組織にいたんだ。その中でもオイラは超エリート中のエリートだった!」

「はいはい」

信用ならないれみは、適当に流していた。その横でクラナは目を輝かせていたのだが。



「で、おいらはその時敵の動きと弾の軌道を読んでだな」

それから帰路を三十分程歩いていく間、すっかり調子にのったナスビはずっとかつての自分の活躍を口ずさんでいる。歩道を歩いていくなか、周りにどんなに通行人が通ろうとも自慢話を大声で話して止まない。

クラナは真剣に聞いていたが、れみは完全にナスビを無き者として扱っていた。

「あーあ。今日のご飯何かなー…」

何となく空を見上げるれみ…。



すると、おかしな物を発見した。

「ん?」

水色の青空に光る、一つの紫の光を…。光は、流星の如く空を水平に飛んでいき、白い雲に紛れて消えてしまう。

…その光からは、僅かに魔力を感じられた。

「…」

嫌な予感がしたれみは、ナスビとクラナを見る。


…二人も歩みを止めていた。やはり、何かを感じ取ったようだった。


特にナスビは、何かに怯えているような、身構えるような…複雑な表情を浮かべていた。

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