3 「ノックバックうけてみない?」
「ノックバックって受けたことある?」
空は今日も雨。
放課後の教室。
私達二人だけの空間で、彼女、クラスメイトの斎岡はそう口にした。
「ねえよ」
「猫路地、ノックバックしてみない?」
私の名前は猫路地。
「してみない。それダメージ負ってるじゃん私」
「斎岡と猫路地の二人きりなんだから大丈夫だよ」
「何を持ってして二人なら大丈夫だと思ったの?」
「いったん、いったんシールドかバリア張ってみてよ。あたし、そこの崖下に叩き落とすからさ」
「シールドもバリアも張れねえよ。そもそも崖下ってどこだよ。教室だよここ。1階だよここ。見えてる?飾りなのその目玉?」
「斎岡にはさ、未来と希望と夢と明日しか見えてないんだ」
「だいぶ見えてね?いや逆に見えないものばかりで手探り感マシマシだなそれ」
「猫路地さん深ぁい」
「斎岡さんウザぁい」
「おっ!これがノックバックか!やるぅ〜」
「何勝手にダメージ受けてんだよ」
「これが愛の鞭かぁ。痛いもんだね。斎岡全身亜脱臼しちゃった」
「亜脱臼させてくる友達って何?」
「友達?おいおい、斎岡と猫路地は親友ですわよ!斎岡と猫路地は永遠の愛を誓った一生の親友です!」
「斎岡さん重〜い。」
「親の友と書いて親友。うぅん、コレはなんだか、そこはかとない気まずさを感じるね」
「背景も重〜い」
「そして実は、斎岡と猫路地は友は友でも親同士がチョメチョメフレンドな仲でそこから生まれた腹違いの美人姉妹でした」
「設定には狼狽と怒りしか感じない。」
「Knock backだけにね。」
「うるさいわ。」
「でもさ猫路地さんや。本当に斎岡が姉妹だったらどうする?」
「家出する。」
「ひでえ妹だぜ」
「私が妹かい」
「じゃあ、斎岡が猫路地の妹だったら?」
「家出する」
「ひでえ姉だぜ」
「私は斎岡と姉妹なんてゴメンじゃい」
「じゃあ何だったらいいの?斎岡が猫路地のママになろうか!!」
「家出する」
「斎岡パパ!」
「家出する」
「斎岡ブラザー!」
「家出する」
「斎岡おばあちゃん!」
「出棺する」
「斎岡犬!」
「山においてくる」
「斎岡おじいちゃん!」
「山にうめてくる」
「猫路地さんマジ血も涙もないっすね、パねーっす」
「ありがとう」
「猫路地さんは、斎岡が家族じゃ納得できない、ってわけね。だったら」
「何その怪しい目は」
「斎岡が猫路地の恋人だったら?」
「は?ちょ、何、斎岡近いよ」
「......。」
「......。」
ドスン
「わっ!何ビックリ!?」
「...斎岡のバッグが机から落ちたんだよ」
「わ〜、斎岡ビックリシタヨ!斎岡オドロキカクセナイヨ!」
「カタコトになるほどビックリせんじゃろ」
「みてみて聞いてよ猫路地さんや。心臓めっちゃバックバックいってる。斎岡の胸爆破秒読み段階やで。見てよこれ」
「外見じゃわかんねーよ。もうほら、さっさとバッグ戻せ」
「あ、」
「なに?」
「斎岡はまた閃いたよ。バッグ落ちた音にビックリ、これがホントの Knock bagなんちって」
「しょーもな」
こうして今日も、斎岡との放課後は過ぎていった。
3わ おしまい
またきてね




