表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

10「スダチ降ル日ノ木ノ隙間」



昨日からの雨は上がったけれど、今朝の雨が降り始めた。

青い葉から落ちるのは雫ばかりで、息継ぎする間も見つからない。


珍しく昨日、友達が学校を休んだ。

そして今日も学校を休んだ。


いつもより少し静かな午後だった。

普段うるさいはずの誰かがいないだけで、こうも教室は広く感じるのかと思った。

いつもと同じお昼ご飯が少しだけ塩っぱく感じた。


放課後になった。

クラスメイトのが帰る声がして、私は意味もなく教室に残った。

なぜか無意味に窓の外なんか見たりした。

灰色の雲が広がって、まるで食べられない不味そうなものに見えてしょうがない。

一昨日食べたアイスクリームは、もっと綺麗な空の色をしていた。


りんと、電話がなった。


全く急ぎもしないで、私は平然と電話を取った。


「8900」


電話口の彼女は、もしもしの後に少し笑って、それだけ言った。


「私も古い写真の風景に見える」


そういったら彼女は笑った。


彼女は明日は学校に来るらしい。


鞄を手に取って、教室を出る。

上履きを履き替えると、木の隙間からほんの少しだけ日差しが差し込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ