「奇妙な女の子」 都市伝説ネタ14 「溺れている女の子」より
長崎県、某所。
ここは日本でも有名な川が流れている。それは単に綺麗だけが理由ではなく、由緒ある長い歴史を持つ川だった。
地元の人たちは特にこの川を大切にしている。都会から離れた田舎では昔から伝わる言い伝えや由緒などを重んじる傾向があるが
この川もそんな伝統を守っている地元の人たちの手によって管理され、美しい姿を残していた。
右京と腎太はこの川に良く釣りに来る。釣りと言っても釣った魚は持ち帰らずキャッチ&リリースの決まりを守っての釣りだった。
特に天気の良い日の釣りは最高だった。山間部に位置するこの川は周囲を山々に囲まれており小鳥の鳴き声が美しく響く。
緑豊かで水も綺麗だ。川を流れている水も透き通っており申し分なかった。
その日も右京と腎太は釣りに来ていた。だが今日に限って掛かりが悪く、何度も上流から下流へと場所を移動した。
「この辺で良いだろう」そんな言葉を何度も繰り返しては下流に下がる。
これでもう4度目だった。
最初は右京と腎太と別行動で釣りをしていたのだが、二人とも掛かりが悪かったため、5度目の移動で行動を共にするようになった。
二人とも川を右側にし更に下流を目指した。
下流も終わりに差し掛かり、これ以上移動のしようが無いと言う場所まで来たとき、右京が立ち止まって前方をじっと見ている。
「どうしたんだ?」腎太が聞いた。
「おい、見ろよ!あそこ、女の子が溺れてるぞ!!」
「な、なにっ!!」
見ると明らかに誰かが溺れているようだった。どうやら女の子のようだ。
「俺、助けに行く!」
右京はそう言うと上着を脱いで靴を脱いだ。
「ちょ、ちょっと待て!!」
しかし右京が飛び込もうとすると、腎太は両手でそれを静止した。
「なんで止めるんだよ!!死んじゃうだろ!!」
「バカヤロー!!良く見ろ、あの子を!」
「えっ・・・」
右京は足を止めて溺れている女の子を見た。
「あっ!!」
そして気付いてしまった。
溺れている女の子は何故か笑っていたのだ。不気味とも不敵とも取れる表情で・・・。
「助けに行ったら間違いなく連れて行かれるぞ」
「連れて行かれるって・・・?」
「あの世だよ」
END