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生存者

 翌朝、小型ボートでエミリー・フィッシャーほか併せて十七名が小型ボートで上陸し、我々と合流した。私は、エミリーと会い、ヘアラウスフォーダンド号がクラーケンに襲われた時の状況を聞いた。


 ヘアラウスフォーダンド号の乗員は、上空でのソフィア、アグネッタと翼竜の戦いを見ていたら、突然船に衝撃が走った。その後、すぐに海面から触手が現れ、それが何本も船体を捉えたという。乗員のほとんどが武装して甲板上にいたので、すぐに触手に対し攻撃を開始したが、触手はびくともしなかった。エミリーが海面を見るとクラーケンの頭が見えたので、矢を放ったが効果はほとんどなかったようだ、と。

 船は触手にどんどん押しつぶされ、船が崩壊するのは時間の問題だとみて、船長のエマ・ミュラーは脱出を指示した。小型ボートを出し乗り込む者、海にそのまま飛び込む者もいたが、甲板上で倒れてきたマストや帆などの下敷きになったものが多数。船長のエマ・ミュラーは船と共に沈んだそうだ。

 船が沈没後も海上でクラーケンに襲われ、海中に引きずり込まれたもの、小型ボートも何隻かは転覆させられ多数が犠牲になったという。エミリー自身は海に飛び込んで、漂っていたが、幸いクラーケンに襲われず、アグネッタに救出されたという。


 ともかく、私はエミリーと併せて生存者十七名の合流を歓迎し、クリーガー隊とホフマン隊に振り分けた。エミリーは私の隊に編入された。


 その後、しばらくして、クリーガー隊とホフマン隊は二手に分かれて島の調査を開始した。二日後、島の南側で合流する予定だ。我々の調査する東回りルートは最初、海近くの岩場を調査する。


 岩場は高さ二、三十メートルはある崖のようになっており、その麓の部分で海面に近いところには波で削られた、横穴が数多くあった。隊の一部は、それらを一つ残らず中に入り調査を行っている。残りの一部は、崖の上の岩場を捜索していた。横穴の深さはそれほど深いものはなく、一つの調査にかかる時間はさほどかからなかった。時間も夕方ごろに差し掛かり、岩場がそろそろ終わり、森に差し掛かろうとしたところ、一つの穴で隊員が何者かを発見したということで、報告に来た。どうやら、これまでの調査隊の生存者のようだという。

 私はその穴に向かった。すでに隊員達が救護にあたっていた。生存者の男は、上半身裸でかなりやせ細っている。かなり衰弱しているようだったが、話ができるようだったので、事情を聴いてみた。


 彼は魔術師で、最初の調査隊のメンバーだったという。ということは、ここで数か月生活していたことになる。話を聞くと、最初の調査隊は大型の巡洋艦一隻で、島に着く直前に翼竜に襲われた。翼竜の吹いた炎で船は火災となり沈没、小型ボートで脱出できたものは三十名程度で、何とか島にたどり着いたという。

 船がなくなったので、帰る手段がなく、さらに当面は救助隊の見込みも考えられなかったので、島での敵の調査よりまずは、生き延びようということで、ここで生活手段の確保を始めたという。森には実のなる木があり、岩場には貝など、最低限の食料は何とかなりそうだった。しかし、水の確保が十分ではなかったので、川などを探しに付近を捜索するも、この付近にはなかった。結局、水を求めて島を探索する羽目になったという。彼らは我々の様に隊を分けず、一団で行動していた。方々を探索して数日、島の中央部で大きな洞窟を見つけた。そこには巨大な地竜が住んでいて、近づいた者はほとんどやられてしまったという。生き残った数名も散り散りとなり島中に逃げたが、その後は知らないという。彼自身は魔術師だったこともあり、水操魔術で自分の一人分の水ぐらいは何とかできたそうだ。


 私は地竜について尋ねてみた。すると、地竜の大きさは翼竜の数倍。空を飛ぶことはできない。体は大きいが思いのほか動きが早かったという。皮膚は厚く矢は貫通することができず、魔術もほとんど効果なかったという。また、地竜は酸の霧を吐くため、兵士たちは近づくこともままならず、酸に焼かれたものが多数いたということだ。

 私は、兵士数名に、彼を連れてウンビジーバー号まで連れて行くように伝えた。クラーケンの不安はあるが、船の方が治療のための薬や道具もそろっている。島に残すよりいいだろう。本来ならその洞窟まで案内してもらいたいところだが、あの容体では難しそうだ。しかしながら、島の中央部の洞窟に地竜が居るということが知れただけでも大きな収穫だ。また、地竜の特徴が訊けたことも、作戦を立てやすい。


 我々は岩場を抜け、森に到達した。ここからは南側の合流地点まで深い森が続く。

 私は森の入り口付近で、ここを今日の野営地とすることを決めた。

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