- promised tragedy -
《 - 約束された悲劇 - 》
人の死を前提にした狂ったゲーム――デスゲーム。
私たちは、そんな常軌を逸したゲームに閉じ込められた。
仲間の死の謎を解き明かす冷たい推理ゲーム。
魔王が開催するデスゲーム。
狂った殺人鬼だけが何かを得るチャンスを与えられる。
人を殺す気概のない哀れな参加者は、何も得ず、ただ奪われる。
鼻を突く煙の臭い。耳を塞ぐ誰かの悲鳴、怒号。瞼が遮る悲劇的光景。
誰がこんなことをしたのだろう。どうやってこんな恐ろしいことをしでかしたのだろう。どうしてこれは起こってしまったのだろう。
わからない。けれど知らなくてはならない。
私たちはもう、後戻りのできない状況に放り込まれてしまった。
私たちはもう、逃れられない環境に囚われてしまった。
私たちはもう、悲劇のショーの出演者にされてしまった。
眼前、広がる光景は正視に耐えない。
床は焼け焦げ、部屋中が煤に黒く染まっている。何かが焼け焦げた匂いが精神を蝕む。目に映る『赤』には――血には、まるで現実味がない。
悲劇を前に、集まった多くの人が嘆き、嘔吐き、泣き叫ぶ。
彼女との最後の会話からまだ五分かそこらだ。先ほどまで、あれほど嬉しそうな顔をしていたのに。
昨夜の邂逅を思い出す。食べるのが好きな彼女は、こっそり冷蔵庫を漁ってお腹を満たしていた。きっとここが、彼女にとって一番お気に入りの場所だっただろう。
ここが悲劇の現場になるなんて、誰も予期していなかった。
そう、誰も。――これを仕組んだ、【犯人】以外は。
「い、嫌……」
死体は、力を失って横倒しになっていた。
死因は、爆死。
体の前面は焼け、顔があったはずの場所は煤で黒く染まっている。
誰かが消火したのか、死体は水を被っている。どこかから流血しているようで、衣服がだんだん赤へと染まっていく。
「嫌ああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
ジクジクと目が痛む。
ガンガンと頭の奥で何かが響く。
――それが、私が最初に目にした、魔法少女の亡骸だった。