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6 信用

「この錬金術師の腕は確かだ。粗悪品ということはまずないだろうよ」


 どうしたものかと頭を悩ませていると入口からまた見知らぬ冒険者と思われる男が入ってきた。


「どういうことだ?」


「お前らは外から来たから知らないだろうが、アムレーの街の冒険者はここ最近、この工房には世話になっている。品質が高いのは折り紙付きだ」


 どうやら最初に来た冒険者たちは遠くの街を拠点にしている冒険者で今来たのはアムレーを拠点にしている冒険者のようだ。


 最近うちの商品は『ブラン工房』の商品として売り出しているからアムレーではそこそこ認知されているのだろう。


「しかし、治らなかったのは事実だ」


「そもそも馬車による酔いではないんじゃないか? うちのメンバーもこれまで馬車で酔ったことがないのにこの村に着いて気分が悪いと訴えている。何か心当たりはなないか?」


「ひょっとして皆さんもこれまで馬車で酔われてはなかったですか?」


 俺は最初に来た冒険者グループの人たちにそう話し掛けた。


「あっ、ああ、これまで馬車での移動は数えきれないくらいしてきたが馬車で酔ったことはなかった。だから薬を飲んでいなかったし用意もしていなかったんだ」


 ふむ、馬車の酔いに近い状態異常か。


 ちょっと前にも同じような光景を見たような……。


「!? ちょっとお待ちいただけますか」


 俺はある可能性に気付き、店のカウンターから工房に引っ込んだ。


 そしてこの村では特に需要がなかったので店頭には置いていなかったある魔法薬を持って戻ってきた。


「この薬を試してもらえますか? 効果がなければ御代は結構ですから」


「では試させてもらおう」


 そう言って男は二人に薬を渡して飲ませた。


「おっ、気分がスッキリしたぞ」

「俺もだ、立っているのもやっとだったんだが」


 効果は劇的だった。


 やはり俺が思った通りだったようだ。


「店主、これは何の薬だ?」


「これですか? これは魔力酔いの薬です」


「「「「魔力酔い?」」」」



 魔力酔いとは魔力の濃い場所で陥ることがある一種の状態異常だ。


 基本的に自身の保有する魔力が少ない人ほど起こりやすいと言われている。


 とはいえ、普通、街や村で起こることはほとんどない。


 というか聞いたことがない。


 通常、人里離れた山や森の奥地、もしくは魔力スポットと呼ばれる特別魔力の濃い場所で起こると言われている。この前、ガオンが山で同じ様な症状を訴えたこともあり直ぐにピンときた。


「恐らく俺たちもそれだろう。すまないがうちにもその魔力酔いの薬を2つくれ」


 アムレーの冒険者たちも同じ症状を訴えていたようだ。


 俺はお金をもらって魔力酔いの薬を2つ渡した。


 魔力酔いになったアムレーの冒険者二人は宿で休んでいるそうで直ぐに薬を持って帰ると言って出ていってしまった。


「店主、疑ってすまなかった」


「いえ、まあ、仕方がないことですので」


 錬金術師に限らず、商売は最後は信用が物を言う。


 まだ開業してわずか、知名度も低いうちの工房では仕方がないことだろう。


 しかし、アムレーの冒険者さんがいたのは助かった。


 あそこまで言ってくれたということはうちの工房はアムレーではそこそこ信用を得ることができているということだろう。


 この冒険者の皆さんには予備の魔力酔いの薬に加えて明日に備えてポーションを大量に買ってもらえた。


 この後、アムレーの冒険者さんが宿で休んでいた他の二人を連れて来てお礼を言いに来てくれた。勿論明日に備えてポーションを買っていってもらった。

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