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3 目的の地はなお遠く

 移動回です

 これだけでとんでもなく遠くに行くんだなと感じていただければ(言い訳)


「失礼、学生さんですか?」



 俺がテキストを置いて小休憩を挟んだところで隣に座っていた行商人風の男から声を掛けられた。


「いえ、先日卒業したばかりでして。もう学生ではないですね」


「そうでしたか。ではどちらへ?」


「赴任地への移動とでも言うのでしょうか。地方で錬金術師として仕事をすることになりまして」


「おお、錬金術師の方でしたか。これは将来安泰ですな」


 錬金術師はいわゆるエリート職と言われている。


 錬金術師はそう名乗って活動するためには資格が必要となる資格職だ。


 この国では無資格で錬金術を使用することは禁じられている。


 俺は恥ずかしさを誤魔化すため逆に質問することにした。


「そちらはご商売ですよね? どういったものを扱われているのですか?」


 男は背負子に大きな鞄を荷物として持ち込んでいて、いかにも商品を仕入れたばかりといった様子だ。


「王都で流行りの物を地方で売ろうと思ってましてね。これでも軽くて価値のありそうなものを厳選したつもりなのですがなかなか……」


「そうなんですか。私はここ数年、ずっと王都にいたので地方と王都での流行りの違いとかはよくわからないんですよね」


 俺は王都と地方の流行や生活の違いを商人の男からいろいろ聞くことができた。


 王都では一般的に見た目の華やかさが重視されるのに対し、地方では見た目よりも中身、性能の方が求められるという。


 その一方で、地方でも王都で流行りの華やかなものを求める根強い層が存在するらしく、この行商人さんは今回そういった層を対象にした仕入れをしたとのことだった。


 この行商人さんは基本生活必需品を扱うのだそうだ。


 生活必需品は競争相手は多いかもしれないがリスクが少ない。


 ある場所では引き合いがなくても他の場所でそれなりの値段で処分することができるので、大成功しない代わりに大失敗になりにくいとのことだ。


 今回はどちらかといえば富裕層みえっぱりを相手にするということで、生活必需品ではない物を扱おうとしたらしいがやはり踏ん切りがつかなかったとか。


 そういった品物は当たると大きいが外すと一気に穴が開くため零細商人にとってはなかなか手が出せないらしい。


 ときおり、博打狙いで勝負を掛ける商人もいるそうで、そんな人がすってんてんになる話は酒の席でのいい話題になるとか。


 そんなたわいもない話をしながら時間を潰す。


 こうして見ず知らずの人と知り合うことができるのが乗合馬車の旅の醍醐味だろう。


 この後、4人組の冒険者グループの人たちとも話をして和気あいあいと時間を過ごした。


 そして3日が経って隣の公爵領の領都に着いた。


 せっかく知り合った人たちともここでお別れだ。


 旅は一期一会。


 だからこそ面白いのかもしれない。




 馬車から降りた俺は旅に慣れていなくて流石に疲れたのでこの街の宿に1泊することにした。

 

 翌日今度は男爵領の領都に向けて出発し2日掛けて到着した。


 そして間髪入れず、辺境伯領の領都行きの馬車に乗り換え、さらに2日掛けて到着した。


 辺境伯領の領都の宿で1泊すると翌日、ユミル村の最寄りの街行きの馬車に乗り2日掛けて到着した。





「……ようやくここまで来れたか」


 予定よりも多少遅れてはいるが別にいつまでに着かなければいけないということもない。


 ユミル村まで馬車で半日という場所にあるこの街で情報収集も兼ねて1泊することにした。


 ユミル村で売っていない物なんかはこの街に買いに来ることもあるかもしれないので街の様子や店なんかを確認しておこう。


 俺はこの街をグルっと歩いてみた。


 王都と比べるのは申し訳ないが、そこまで大きな街ではない。


 それでも日用品や身の周りの物は一通り揃う感じだ。


 あと、錬金術師である俺としては、素材の仕入先になるかもしれない冒険者ギルドと師匠への送金をする窓口となる商業ギルドの場所も確認しておいた。


 商業ギルドで口座を作っておけば遠隔地間で資金を送金することができる。


 少なくない手数料を取られるがそれは仕方がないことだろう。


 馬車の便を確認したところ、明日の昼にユミル行きの馬車が出るようなのでその便を予約してから宿へと向かった。

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