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4 準備中

「代官様から譲渡証明書をもらってきたよ」


 あれから村長さんはダンジョンの管理権をこの村に移譲してもらうための書類を代官のところに持っていき無事に管理権の譲渡を受けることができた。


 元々この村に対応を任せると言っていたわけなので、そのことを書面上確認したいと伝えると特に何も言われなかったそうだ。


 これで晴れてこのダンジョンは正式にユミル村の管理下に入った。


 直ぐに計画通りに動くことになり最寄りであるアムレーの街の冒険者ギルドにだけでなく、少し離れた他の街の冒険者ギルドにもダンジョンについての情報を掲示してもらった。


 掲示板使用料がいくらかかかったが冒険者に依頼を出すことに比べればその費用は微々たるものだ。


 あとは冒険者たちが釣れるのを待つ。


 ダンジョンに潜ることを希望する冒険者たちにはアムレーの街を出発地とするダンジョンツアーを申し込んでもらうことになっている。


 アムレーの街からユミル村までの馬車代、ユミル村での一泊宿泊料(夕食と朝食付き、オプション別途)、ユミル村からダンジョンまでの馬車代、そしてダンジョンへの入場料のコミコミセットという商品構成だ。


 ダンジョンでは基本的には野営をしてもらうが、ダンジョンの傍にある村が持っている例の宿泊施設コテージも有料で開放することになっている。

 そこは当面、村のダンジョン監視施設を兼ねていて村人が常駐しているのだが、お客さんがいるときには臨時で宿の従業員として働いてもらうことになっている。




「俺は俺で忙しいんだよな~」


 俺は粘土をコネコネと丸めながらそう零した。


「お兄ちゃん、できたの!」


 ミリーがそう言ってその小さな手の平に俺の手の中にあるものと同じ物を乗せて見せた。


「おお、立派なのができたな」


「むっふ~」


 ミリーが得意気に胸を反らした。


 頭を撫でてやりたいが粘土で手が汚れているからそれは控える。


 ミリーはいつものことながらうちの庭に来てシロと一緒に遊んでいたので一緒に遊ばないかと誘ってみた。


 とはいえ俺たちは言葉通りに本当に遊んでいるわけではない。


 今作っているのは連絡用の閃光弾だ。


 内部に含まれている魔力で空に打ち上がると空中で光と煙を拡散させるだけという見た目は派手だがただそれだけのアイテムだ。


 ダンジョンからこの村への連絡方法になるものが何かないかと相談を受けたのだが、最初は狼煙のろしを考えた。錬金術で作る狼煙玉のろしだまのレシピも持っている。


 しかし、ダンジョンと村との距離から狼煙の煙がどれだけ見えるのかという問題、何よりも夜間は煙だけだと確認できないという問題があったので採用は見送った。


 そこで一歩進めて、空に打ち上げて光を出す閃光弾を提案してみたところ正式に採用されることになった。


 今俺が作っているのはちょっと改良して煙も出るようにした改良版だ。


 閃光弾の中身を俺が作ってしまえばあとは周りを粘土で固めるだけの作業なのでその作業はミリーの遊びとして一緒にやっているというわけだ。




 今回のことでいろいろと動くことになってしまったが俺の本業は錬金術師。


 まずはそちらでやらなければならないことを優先しなければならない。


 ダンジョンに潜るならポーションは必要不可欠だ。


 元々供給不足のアイテムなので、冒険者たちも他の街では十分に用意できていないかもしれない。


 そうなるとこの村で最後の補給をしてもらうことになるだろう。


 元々引き合いが強くなっている中でのことなのでますます儲かることはありがたい限りだが、こうも忙しいと全てを自分一人だけでやるというのはなかなか難しくなってくる。


 だからといってこの工房には俺しかいないので、閃光弾を作り終わったら今度はポーションを作るため錬金釜を回す。


「ぐ~るぐる、ぐーるぐる」


 同じポーションでも俺は自分の店で売るものと外に卸すものとで若干作り方を変えている。


 外に出すのは一般的なごく普通のポーションで特に上乗せ効果のないものにしている。

 一般的に普及しているごく普通のレシピを使い、最近は魔力節約のため大魔草を使って大量にパパッと作ることが多い。


 その一方でこの村というかうちの工房の店頭で売るものには補助効果を付けていて同じポーションであっても多少のバリエーションがある。

 最初は俺をこの村に呼んでくれたこの村の人たちにはその心意気に応えてできるだけ細かい需要を満たす良い商品を提供していきたいということで始めたことだ。

 単に金儲けのためだけなら汎用ポーションを大量に作って捌けばいいのかもしれないが俺にも職人というか錬金術師としてのこだわりというものがある。


 そんなわけでうちの工房は元々客の数とは見合わない忙しさがあったりするのだ。


 それに加えて今度は外からのお客様も来るかもしれないということで俺もより一層気合を入れて準備を進めていった。

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