表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/133

13 結果発表

 副団長の撤収指示を受けて討伐したオークを村へと運んでいく。


 自警団のメンバーたちだけではなく手伝いに来てくれた村人たちみんなで作業をした。


 勿論、馬車や荷車も使ったが、それに載せたり下ろしたりはなかなか大変な重労働だった。


 こうしてみんなと一緒に作業をしていると俺もこの村の一員になったんだということを改めて実感する。


 俺たちの手によって運ばれたオークたちは村の入口のすぐ外に設けられた臨時の解体場に下ろされ、そこに山の様に積まれていった。


 ここでカインさんを始めとする面々が次から次へとオークを捌いていくのだ。


 まずは捨てるものと使うものとに分けて、捨てるものは村から離れた場所へと捨てるそうだ。


 置いておくと他の魔物や魔獣が食べにきて、直ぐに綺麗さっぱりなくなるとか。


 使うものは主に食用オーク肉と加工品の素材や原料になるものとに分けられる。


 さらに捌かれた食用オーク肉は今後の村の備蓄用に回るものと今日のお祭りで使う用とに分けられるそうだ。


 戦闘や運搬のため服がかなり汚れてしまったし、汗や埃を落としたかったので俺は一度自宅に戻って水を浴び、着替えてから村の中心部にあるお祭り会場となっている広場へと向かう。


 今日の戦闘ではシロも活躍したので一緒に連れていった。


 広場にはちょっとしたステージが設けられていた。


 夕方になっていよいよオーク祭りのセレモニーというか本番だ。


「それでは今日の結果を発表するぞ」


 団長のカインさんは相変わらずオーク肉の処理に忙しいみたいなので司会進行は副団長がするようだ。


「それでは第五位」


 誰が何体倒したのかは運搬係の人が記録していたようだ。


 確かに倒されたオークに何か印をつけていたが、あれは誰が倒したオークかという印でもあったのだろう。


 順に名前が呼ばれ一人一人ステージに呼ばれ、上がっていく。


 名前が呼ばれる度にどよめきや拍手が起こった。


 こうしてみるとやはり自警団の中でも20歳前後の若く体力のある年齢と経験のバランスがいい人たちが主に活躍したようだ。




「では本日の優勝者、第一位の発表だ!」


 広場に集まっていた老若男女が固唾を飲んで発表を待つ。


 まあ、俺は別にどうでもいいのでぼんやりとステージ上に視線を向けているとふと壇上の副団長と目が合った。


 その瞬間、副団長の口元が三日月形に歪む。



「今年の栄えある優勝者は今年この村にやってきたばかりの錬金術師、ブランだー!」



「「「「「うおぉぉぉぉーーー――!!!!!」」」」」



 よくわからないが村人たちが大声を張り上げた。


 凄いテンションに俺はついていけそうもない。


 というか思いがけず名前を呼ばれた俺は「え゛っ?」って感じで茫然としてしまった。


「さあ、今日の英雄の登場だ。みんな道を開けろ」


 俺とステージとを結ぶ直線を引くように人垣が海が割れたかのようにバっと割れた。


「キャンキャン」


 シロが俺の服の裾を引っ張るように進むので仕方なく俺はステージへと向かった。



「今日、ブランが倒したオークの数は18体。ここ最近ではなかなかお目に掛かれない数だ」


 ステージ上で副団長がそう俺の功績を称えてくれた。


 いや、そのうちのほとんどはシロが倒したもので俺が倒したのは実質2体なんですけど。


 小声で副団長にそう進言したのだが「飼い犬の手柄は飼い主の手柄だろ」と言われて取り合ってもらえなかった。


 なるほど。


 まあ、魔物を使役して戦うテイマーという人もいるそうだからそうなるのか。


 そうなるのか?


「ということで商品の授与だ」


 優勝賞品としてオーク肉1年分。


 副賞としてこの村が持っていて管理しているらしい村の外にある宿泊施設コテージの無料宿泊権を貰った。


 ちなみに今日俺たちが狩ったオーク肉は全量を村が強制的に安く買い取る形になっている。


 そのため肉自体を貰えることも優勝賞品として価値があるものだったりする。


 これでシロの餌問題も当面は大丈夫だろう。


 というかほとんどがシロの功績なので上手い具合に還元されることになって俺としてもちょうど良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ