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13 防具作り

 以前に肉屋のカインさんが地竜を倒したときに自由にしていいと言われていた地竜の鱗。


 当初肉屋の裏に乱雑に放置されていたがそれは俺が拾ってきれいにして工房の倉庫に保管している。


 貴重なものだし、村人以外の価値がわかる人が目にすることがあれば騒ぎになるかもしれないということで俺が預かっている。


 俺がひらめいたこと。


 それは地竜の鱗を素材にした防具を作るということだ。


 地竜は竜種では下位であるとはいえ竜は竜。


 その鱗は固く防具として有用性が高いとされている。


 もっともこの村には防具を作ってくれそうな職人はいない。


 革細工やちょっとした小物であれば作る人もいるようだが、本格的な盾や鎧を作ることは難しいそうだ。

 だからといって他の街の武具工房にこの鱗を持ち込めばいろいろと騒ぎになるだろう。



「ということで自分でやってみよう」



 俺は学院の錬金科を卒業しているし身分的には錬金術師だがこれまでに俺が師匠から習ったことはなにも錬金術だけというわけではない。


 俺の師匠は、ときどき武具や魔道具作りもしていて、それを俺も近くで見てきているしそれだけではなくある程度基本的なことも教えてもらっている。


 師匠レベルになるとよほど特殊ではない限りは本職と遜色ないものを作れるらしい。当の師匠は「長生きしていれば大抵のことはできるようになるものよ」とか言っていた。


 しかし、この話を学院時代にルークやエレンにしたところ「そんなわけないだろ(でしょっ)」と盛大に突っ込まれた。


 そのとき師匠の年齢の話になったこともあるが師匠に引き取られ弟子にもなった俺ですら師匠の本当の年齢としは知らない。


 子供の時分に聞いてみようとしたことがあったが「女性レディーの年齢を聞くもんじゃないよ」としこたま教育されたのはいい思い出……ではないな。今思い出しても身体が震える。数ある師匠からの教育せっかんの中でもあのときのが一番痛かったんじゃないだろうか。


 それはさておき、一から作るのは今の俺では無理だし、そもそも時間も足りない。


 既製品の防具を加工して作るのがいいところだろう。


 俺は以前、自警団の倉庫から使ってもいい武具を借りたことがあった。その倉庫には古くなってもう使わない防具がゴロゴロしていてカインさんに聞くと「いらないから欲しければ好きな物を持っていってもいいぞ。お前が使わないのなら暇なときにでも処分しておいてくれ」と言われていたので、それを今回ベースにして加工してみようと思う。



 俺は工房に戻る前に自警団の倉庫へ寄った。


 まずは簡単そうな盾から作っていくことにする。


 革や鉄製の盾のうち、持ち手がまだしっかりしているものを使用する。


 表面が傷んでいる分は問題ない。

 表面を取り外せるものは取り外して、できなければできないでその上に地竜の鱗を張り付けていけばいいだろう。

 俺は取り敢えず条件に合うものを工房へと持ち帰る。


 工房に戻ると鱗を貼り付けるための接着剤を錬金術で作るための準備を始めた。


 接着剤は錬金術で自分で作る。俺には師匠直伝の強力接着剤のレシピがある。


 これを作るための素材は手元に揃っているので下準備をしたら直ぐに作り始めることができるだろう。

 本来、革の盾をベースにする場合は丈夫な針と糸とで鱗を縫い付けたいところだが、地竜の鱗がそんじょそこらの針で通るかは疑問だし、今回は時間がないのでどちらをベースにする場合も接着剤で張り付けて加工することにしよう。


 俺は直ぐに錬金術で接着剤を作り始める。その作業と並行して持ち帰った盾の加工の下準備をする。


 取り敢えず革の盾をベースにして痛んでいる部分は剥ぎ取り使える部分だけを残す。


 接着剤は直ぐに完成しいよいよ盾の試作を始める。


 とはいえ下処理をした既存の盾に地竜の鱗を接着剤でくっつければいいだけだからそんなに難しいことではない。



「できた」



 こうして試作品第1号が完成した。

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