第4話 子犬
俺はしばらく太陽の光を浴びながらぐったりとしていると、地下室近くから遠い離れた場所にいることのに気づいた。
けれど俺はのたうち回っている時に血も流していたので血痕を辿っていけば家に帰れると思ったのでひとまず安心した。
真っ直ぐ歩けずにフラフラしながら帰っていると、出血していて瀕死の茶色っぽい子犬を見つけた。
何故か俺はその犬を見過ごしてはいけないなと思って、俺は力を振り絞って拾い上げてみたら、気のせいか少し安心しているように見えた。
俺は帰っている途中、5匹の狼に襲われた。狼は灰色で1メートルくらいの大きさがあった。
俺は子犬を下ろすことも出来なかったので片手で戦うことになり苦戦すると思ったが、1番下っ端らしい狼が俺めがけて飛びかかってきた。
しかし狼はとても遅いスピードで移動してきたので簡単に叩き切る事ができた。
縦に切りつけたので大量の血を流して、その狼は地面に叩きつけられ、少し苦しんだ後に絶命した。
そして俺はすぐに刀を鞘にしまい拳銃を取り出した。
それを見て動揺していた狼を2匹、拳銃で撃ち抜いて、残りの狼は2匹となっており、圧倒的な数的有利は失っていたのだった。
それを見て2匹の狼は直ぐに右と左に分かれて俺を挟み撃ちしようとしていたので俺は拳銃を落とし、居合で2匹の狼を切ったつもりだった。しかし右の狼は切ったものの、左側の周りより一回り大きい狼は俺の足に噛み付いていた。
「舐めるなな、この狼が」
そう言って俺はすぐに狼に刀を突き立てて殺そうとしたが後少しというところで逃げられてしまった。
幸いにも肉は持っていかれずにも噛まれただけだったので痛みを感じる程度で済んだが、素早く移動ができず戦闘に支障をきたしていた。
「ガルルル」
そう狼は低い声を出して威嚇している。俺も狼に向かって目線を逸らさずに刀を構えていた。
「カサッ」
今狼が動き始めたのだ。俺はその微かな音を逃さずに集中するために目を瞑った。そうしたら狼の場所と距離が明確に判明して、飛びかかってくる軌道が見えた。
そこへ向かって刀を振ってみると、鈍い感覚が俺の腕を伝った。確認してみると狼は刀に刺さっており、虫の息であった。
これを確認した俺は急いで地下室へ帰って言ったのだ。
地下室に帰ってすぐにおれは子犬の手当てを開始した。お腹に大きな傷口があったので、水で流して布で包んだ。
俺はダメ元で陰陽術を使い、水属性で子犬の傷口を清めようとし治癒できないか試してみたが出来なかった。
その後に俺も自分で手当てをした。そして一晩を明かした。
「ワンッ」
俺は手にくすぐったさを感じて目が覚めた。そして子犬の傷が消えて元気に尻尾を振ってヘッヘッヘとしていたのだった。
「おはよう、お前数はもう大丈夫なのか?」
「ワンッ」
そう大きな声で返事をしたのだった。大丈夫らしい。俺もいつもの食べ物を撮りに行こうとしたら不思議なことに、足の痛みを感じなかった。
そして俺が食べているとその子犬もクゥーンと羨ましそうな目で俺を見てきたので、少しあげてみたら案外美味しそうに食べていた。
食事が終わった後に俺たちは川へ行って体を洗おうとした。感覚も鋭くなった今、索敵もバッチリの為安心して水浴びができた。そして久しぶりの水浴びはスッキリとして気持ち良かった。
水浴びも終わって子犬の方を見てみると、汚れが落ちて真っ白な美しい毛並みの子犬が佇んでいたのだった。
その日はそのまま周囲を探索してみたが特に変わりは無かったので日が落ちる前に家へ帰った。その探索している間はずっと付いて回ってきたのでそのまま飼うことにした。
そして子犬の名前は白を音読みしてハクと名付けて呼んでみたら、尻尾を振っていた。
そしてその晩眠っていたら、俺はまた道真公に呼び出された。
(おい、辰明、起きよ高天原へ参るぞ)
「何でそんな急にそんなとこへ向かうんだ」
(天界で1番偉い人が呼んでいるからだ、取り敢えずついて来い)
「ついてこいって言ったって、意識の中だから無理だろ」
(取り敢えず大丈夫だ、理屈は置いといて私について来れば着くから、疑問を持たずに行くんだ)
と焦っていたので俺は黙って従ってみたら、本当に道真公について行くことができたのだった。