浦 島太郎
「浦 島太郎」
役者リスト
↓
浦 島太郎
亀岡
亀岡を虐めてた不良1
亀岡を虐めてた不良2
オトフィーメ
オトフィーメのボディーガード
オトフィーメの側近
オトフィーメの弟子
オトフィーメの娘
オトフィーメのファン
ナレーション
とりあえず11人で進めます。全員フルに使うなら不良を追加するつもりです。
古風で威厳あるBGM。
ナレ「2019年月日(劇をやる日)、宇宙の天の川銀河の太陽系の地球という星の日本という国の(作者の高校)の敷地内に、とあるホームレスが住んでおりました」
それっぽい姿の浦、面倒臭そうに登場。
ナレ「その名も浦 島太郎。彼は今年16歳になるのですが、中二の時に彼女に振られ、何故か父親に勘当され、何故か母親は実家に帰り、何故か姉にはビンタされ、何故か突然家を失いました。そして彼は寝床を探し、行き着いたのがこの高校というわけです。彼は今までこの(この劇をしてる部屋の名前)を拠点にしていたのでした」
浦「ここは便利やなぁ! エアコンもある、トイレもある、食料やって生徒の弁当から調達できる! 駅も近くにあるし、スーパーも、BOOKOFFもある! 正に天国や! はっはー!」
ナレ「うふふ、最低のゴミクズ野郎ですね。はよバイトなり何なり探せや」
浦「お? なんやあれ」
古風BGMストップ。のほほんとしたBGM。
亀岡を囲んで罵倒しながら不良たちが歩いてくる。
ナレ「ある日、浦 島太郎は何となく高校を徘徊していると、この高校でも有名な不良二人組が、なんか変なやつを罵倒しながら歩いてくるのが見えました。浦 島太郎は……」
浦「おい、お前ら! 何やっとんねん!」
不良1「あ? なんやお前変な格好しとんなぁ! まさかこの高校住み着いとる噂の島太郎ちゃうか?」
不良2「邪魔するならあんたもこんなんにしたるで!」
浦「あっすみませんごめんなさい申し訳ございませんでした」
ナレ「……正義感の強いわけのない浦 島太郎は、あっさりと不良たちに屈してしまったのです」
不良1「へっへっへ、亀を虐めるのは楽しいなぁ!」
不良2「ほらほら、命乞いでもしてみぃ!」
亀岡「あぁ……助けて。あぁ、ちょっとそこの島太郎さん」
浦「お? なんやワイを知っとんのか」
亀岡「噂はかねがね聞いております。私は()高校、浦 島太郎部の部長、亀岡と言います」
浦「怖ぁ! そんな部活あったか!? ワイ知らんでそんなん!」
亀岡「島太郎さんならばこんな不良の一人や二人、ちょいとデコピンしてやれば倒せるでしょう」
ナレ「おやおや、浦 島太郎はなんと浦 島太郎部の部長亀岡さんに助けを求められてしまいました。しかしゴミクズ野郎の浦 島太郎はそんな安直なSOSを絶対に良しとしません」
浦「おいおい、ワイが何の見返りもなく……あー亀岡ゆうたか? 亀岡を助けるわけないやろが」
亀岡「えぇ、そんなぁ!」
不良2「はは、これで亀を助けるやつは結局現れませんでしたーと!」
不良1「この後は散々しばき倒して縄でくくりつけて……そや! デコピン大会とかどや!」
不良2「はっはーそりゃええな!」
ナレ「亀岡さんピーンチ! さぁ、浦 島太郎はというと……?」
浦「ほなワイ関係ないんで(帰ろうとする)」
亀岡「ひ、酷い! どうして助けてくれないのです! 私は浦 島太郎部の部長なのですよ!」
浦「いや、だって亀岡は浦 島太郎部の部長なだけやろ? やったらワイ関係ないやんか。ワイそんな部活入っとらんし、そもそもここの生徒ちゃうし。てかそれどんな部活やねん。どうせろくでもない活動しとるに決まっとるわ。おとぎ話やないんやし、人がそうそう親切や思ったらあかんで」
亀岡「そこをなんとか! 私このままだと散々しばき倒されて縄でくくりつられてデコピン大会されちゃいます!」
浦「ほーデコピン大会な……せや! 名案を思い付いたで!」
亀岡「あぁありがとうございます島太郎さん!」
浦「ワイも混ぜてもらってええか?」
亀岡「Nooooooo!」
不良1「なんや? 自分も亀虐めたなったんかいな」
浦「そう言えば最近ストレス発散できてへんねんよ。もう9月やってのにあっついしな、丁度苛ついとんねん」
不良2「はっ! 見直したで浦 島太郎! ほなこいつ生物実験室まで運んでくれんか? そこでしこたまデコピンタイムや!」
ナレ「えっマジ? ほんまにそんな展開アリなんですか? ちゅーかこんなお話この学校の生徒とかご両親に見せるならまだしも、小さいお子さんとかに見せたらガチでトラウマなるかもなぁ……あーもう知らん。私関係ないし。……そして浦 島太郎は亀岡さんを移動させようとします」
不良1「おい亀、自分で立てや!」
不良2「オラオラァ!」
浦「おらおらぁ!(シャドーボクシングする)」
亀岡「ぎゃああああ!」
浦と不良は亀岡の手を引っ張って立たせようとする。
しかし浦は勢い余って不良2を攻撃してしまう。
不良2「ぎ、ぎゃああああ!」
浦「……あ」
不良2は悲鳴を上げて倒れ、動かなくなる。
しばらく沈黙。
不良1「えっ」
全員「ええええええええええええ!?」
ナレ「ちょっと浦さん、台本にないことしでかさないで貰えます!? 私も仕事でナレーションやってんですよ! いちいち劇をかき乱されても困るんですけど!」
浦「あ、あー……許してヒヤシンス、ぺろ」
不良1「て、てめぇよくも不良2に手を出したなぁ!」
亀岡「え、不良2って台本上の呼び方じゃなかったんですか!?」
ナレ「あーもうやめて! メタいこと言わないで! 私が納めないといけないじゃないですか!」
浦「うおっ、ナレーションの声が聞こえる!」
亀岡「というかなんでこんなナレーションが雑いんですか!? こんなの昔話じゃないですよ!」
浦「いや、昔話もなにも、現代の話やからな」
亀岡「冷静に突っ込まないで下さい! 空気読め島太郎!」
浦「めんごめんごー」
不良1「さっきから黙って見とったらふざけおって……!」
亀岡「ほら、不良1を刺激してしまいましたよ!」
不良1「ウチの彼女をどないしてくれんねん!!」
亀岡「今明かされる衝撃の事実!」
不良1「うらああああああ!!」
不良1は浦に殴りかかる。
しかし小銭を見つけてしゃがんだ浦にかわされる。
浦「おっ、こんなとこに十円落ちとる」
不良1「な、なにぃ!?」
亀岡「どんなとこで強運使ってるんですか!」
浦「おおっ、あっちに百円も落ちとるやん! はよ取らな!」
不良1「ぐあああっ!」
百円を早く取ろうとした浦の拳が不良1に直撃。
不良1は呻きながら倒れ、動かなくなる。
のほほんとしたBGMストップ。
浦「あっ……」
亀岡「あっ……」
しばらく沈黙。
ナレ「いやどんなミラクルですか。どういうわけか、亀岡さんを苛めようとしていた浦 島太郎は、亀岡さんを苛めていた不良1と2をやっつけてしまいました。これも物語の宿命なのでしょうか、とっても怖いですね。もうこの劇のナレーション辞めたいっす」
亀岡はおもむろに立ち上がり、浦の手を握る。
亀岡はさっきとは様子が急変。
古風BGMスタート。
亀岡「お助け頂き有難い! お礼に貴方をりゅうぐーじょー(発音がおかしい)に連れていって差し上げましょう!」
浦「……いや、こんなんたまたま偶然やし、な? てかどうした急に改まって。いやな、ワイこう見えて暇ちゃうんよ。やからこの手をはなしてもらえると、んっ、助ける、んっ、かなっ!」
浦がどんなに頑張っても手を話さない亀岡。
亀岡「ふふふふふ……ふははははは!」
浦「ひっ! なんや怖いなぁ!」
亀岡「ははは、貴方をりゅうぐーしょーに連行する! さぁ着いてきて貰うぞ!」
浦「はぁ!? や、やめてって! 痛い痛い痛い痛い! 手! 爪が刺さってる! 肉抉れるからやめって!!」
亀岡「知るかぁ!」
浦「ぎゃあああああ!!」
浦は袖まで悲鳴をあげながら連行される。
古風BGMストップ。
ナレ「そうして元ネタと同じく、浦 島太郎は亀と一緒に、仲良く楽しく元気よく、竜宮城へと向かっていったのです」
再び現れた浦と亀岡、顔と服が濡れている(霧吹きで水をかける)。
向かいにはオリフィーメが笑顔でスタンバっている。
浦「なぁ亀岡、ちょっと聞いてええか?」
亀岡「はい、何でしょうか」
浦「ほんまに些細で素朴な疑問やねんけど、ええ?」
亀岡「はい、何でしょうか」
浦「海の中を亀に乗って竜宮城に来たみたいな演出するためにな、わざわざ学校のプールに潜ってからここに戻ってくることはないやんか」
亀岡、しばらく沈黙の後ににっこり笑顔。
浦「なんか言えや!」
亀岡「あいうえお!!」
浦「そういう意味でゆうとるんちゃうねん! この高校な! プール壊れてて何年も使われてへんねんよ!! なぁ! わかる!? プランクトンで緑色やねん! そんでこの部屋よ! さっきと全く同じ場所やないか! あの時計も、この黒板も、全部見覚えあるわ! わかる!?」
亀岡「……わかる♪」
浦「じゃなんで!? なぁ、寒いねんけど! さっき暑くてイライラしてるとは確かにゆうたけどな、ここまでしろってわけちゃうねんよ!」
亀岡「ほら、島太郎さんがうだうだぐだぐだ言ってる間に出番を待ちきれなくなったのか、オトフィーメさんがスタンバってますよ!」
浦「誰やねんオトフィーメって。普通乙姫やろ」
ナレ「……紆余曲折あって、浦 島太郎と亀岡さんは無事にりゅうぐーじょーにたどり着きました。そこには何とも凄い雰囲気と迫力を持っているオトフィーメがいて、ニコニコして浦 島太郎と亀岡さんの漫才を眺めています」
浦「漫才ちゃうわボケ!」
亀岡「いいえ漫才です!」
浦「お前は無駄に対抗して場をややこしくすな!」
オトフィーメ「お待ちしていましたよ。りゅうぐーじょーにようこそ」
オトフィーメ、一気に強者っぽい風格になる。
オトフィーメ「テメェが島太郎とかいうホームレス野郎やな」
浦「この劇でやっとまともなん出たと思ったら結局関西弁やんか!」
亀岡「私は最初からまともですよ!」
浦「なんでやねん! どこが!? ゆうてみーさ! なんならナレーションが一番まともじゃ!」
ナレ「うふふ」
亀岡「うふふじゃない! まともなのは私だぁ!」
オトフィーメ「うるせぇええええ!!」
オトフィーメは床を思いっきり踏みつける。
浦・亀岡「さーせんした」
オトフィーメ「テメェらはこれ使ってその水浸しの顔拭いとけや!」
オトフィーメは浦と亀岡にタオルを投げつける。
オトフィーメ「お顔ふきふきしながらよー聞き! おいゴラ島太郎! 無視すんなや!」
浦「あーはいはい」
オトフィーメ「島太郎! この亀岡をよーわからん不良どもから助けてくれたそうやな。恩に着る!」
オトフィーメはタオルを二人から回収し一旦裏へ。
浦「なぁ、亀岡とオトフィーメ? ってどんな関係なん?」
亀岡「私はオトフィーメさんの息子です」
浦「母親やのにさん付け!? じゃああれなん、オトフィーメってフルネームで亀岡オトフィーメゆうの!? ダサない!?」
亀岡「亀岡ってこれ名前です」
浦「はぁ!?」
オトフィーメ再登場。
オトフィーメ「ほんでや、亀岡を助けてくれた島太郎にはウチからしたれる最大限の感謝をしたい思とる」
オトフィーメは膝をついて感謝する。
浦は亀岡を引っ張ってこそこそ話す。
浦「なぁ亀岡、この流れってやっぱこの後さ、美味しい料理とか素敵な踊りとか、めっちゃもてなされる感じちゃうの」
亀岡「な、なんですかその自信満々な確信は……?」
浦「……亀岡って浦島太郎知らんの?」
亀岡「……?」
亀岡は不思議そうに首を傾げ、浦を指差す。
浦「ワイちゃうわ! ワイのことちゃうわ! ワイの元ネタになった、日本で二番目くらいに有名な! あの童話を知らんかゆうとんねん!」
亀岡「……?」
亀岡はまた首を傾げ、浦を指差す。
浦「ちゃうゆうとんねん!」
オトフィーメ「おいごら無視すんなや、お? お?」
オトフィーメは浦の胸ぐらを掴む。浦は両手を上げて降参のポーズ。
オトフィーメ「ちゅうわけでや、その恩返しゆうたらあれやけど」
浦「ほらやっぱ来たでお約束の流れ」
オトフィーメ「ウチの親愛なる部下を紹介したるわ」
浦「なんでそうなんねん!」
オトフィーメ「ほらみんな、こっちきぃ! 恩人の島太郎やでー!」
浦「恩人ゆうとんのに何で呼び捨てやねん!」
オトフィーメの部下たち、ぞろぞろと入ってくる。
浦「いや多いなぁ! 何人おんの!?」
オトフィーメ「ほら端から自己紹介、始め!」
側近「私はオトフィーメの側近」
弟子「私はオトフィーメの弟子」
ボディーガード「私はオトフィーメのボディーガード」
ファン「私はオトフィーメのファン」
娘「私はオトフィーメの娘」
浦「構成謎過ぎやろ! なんやそのメンツは! ていうか部下って括りにファンとか娘入れたらアカンやろ!」
浦はぎょっとして後ずさる。
部下たちはオトフィーメを見る。
ボディーガード「オトフィーメには誰の指一本も触れさせん。それが私の使命」
ファン「オトフィーメ素敵! あぁ今日も可愛らしい!」
弟子「武道ならマスターした! 次は何を覚えればいい?」
娘「お母さんチョコボール買ってー」
側近「オトフィーメ、本日の夕食はタピオカミルクティーとなっております」
浦「か、亀岡……」
亀岡「はい、1番目からボディーガード、弟子、娘、ファン、側近の順番です!」
オトフィーメ「ざーんねん弟子とファンの順番が逆や!」
浦「いやどうでもええがな! 亀岡はどっちかと言えば頑張った方やろ!」
オトフィーメ「せや、そう言えばこいつら紹介しただけやと何の恩返しにもなってへんやんか」
浦「え、今さら?」
オトフィーメ「おいボディーガード! 何かせぇ!」
ボディーガード「イエスオトフィーメ!」
浦「え、めっちゃ無茶振りやけど大丈夫なん……?」
ボディーガード、前に来る。
ボディーガード「アイハブアペーン、アイハブアアッポー」
浦「一昔前やなぁ! やるにしてもまだなんかあるやろ! お客さん引いとるで!」
ボディーガード「ダンソンッ、フィーザキー」
浦「懐っ! そういや流行ったな!」
ボディーガード「ラッスンゴーレライ、フォーッ!」
浦「いや数年ぶりくらいに聞いたわ!」
ボディーガード「……」
ボディーガード、ちょっと溜めてから、
ボディーガード「ほん、のーじーのーへんっ!」
浦「もうええわ!!」
オトフィーメ「あーもう、じゃあ弟子! 何かせぇ!」
弟子「おっしゃ任せとけ! 忍法、人呼び出しの術! ドロン!」
指を構えて唱えると、不良二人が登場。
亀岡「あ、あの人たちは、私を苛めてた不良1と不良2!」
浦「あいつら出番終わってへんかったんや……」
弟子「ほら、お前ら、後ろ来い!」
不良1「うっす」
不良2「仰せのままに」
亀岡「すごい従順になってるんですけど」
浦「気にしたら負けやな」
不良二人を後ろに並ばせた弟子、チュウチュウトレインをする。
「choo choo train」のサビを流す。
三人でメロディーをラララで歌う。
浦「飲み会とかでよく見るやつやん! 亀岡、この曲名なんやったっけ?」
亀岡「確か…………そう、キスキス電車!」
浦「choo choo trainやろが! 少ないセリフ振ったってんからちゃんと答えとったらよかったものを!」
三人チュウチュウトレイン止める。
不良ははける。
オトフィーメ「アカンアカン、全然恩返しになってへん! ほんなら側近と娘! 何かせぇ!」
側近「かしこまりました」
娘「はーい」
浦「さっきからよくもまぁこんな雑な振りに乗っかるもんやな……」
娘「じゃあね、私お歌歌うね!」
側近「承知しました。では私は楽器になりましょう」
娘「助かる(無邪気っぽく)」
側近は娘の前に横たわる。
娘は側近を叩きながら高校の校歌を歌う。
叩く強さはだんだん大きくする。
娘「♪~」
浦「何でここで()高校校歌なん!? 選曲謎過ぎやろ!」
娘「♪~」
側近「ぐ、ぐあっ、あああ、痛! 痛い痛い、あぁー!」
浦「もう止めたって! 側近の苦しみが半端なさそうやねん! とてもやないけど見てられへんわ!」
亀岡「あぁ……あの子は昔から全然変わらないんですよ……」
浦「そういやお前もオトフィーメの息子ゆうとったな……」
亀岡「あ、あれ嘘です」
浦「あぁーもうややこいなぁ!! お願いやからこれ以上突っ込ませんといて! 喉潰れて死にそうやねんよ!」
オトフィーメ「最後や、ファン! トリ飾らしたるから何かせぇ!」
ファン「わかりました! 頑張りますね!」
ファンを前に出てくる。真剣な表情。
ファン「……」
浦「……」
亀岡「……」
オトフィーメ「……」
部下たち「……」
ファン、一発ギャグ(寒いの)。
浦「……」
亀岡「……」
オトフィーメ「……」
部下たち「……」
沈黙が駆け巡る。
ファンは一発ギャグの最後の姿勢を保ったまま空気になる(なき存在として扱われる)。
オトフィーメ「今回はほんまにおーきに。これ、お土産やから」
浦「おっ、どーも。ほら亀岡、浦島太郎では有名なこれが玉手箱やで」
亀岡「これがですか……なんか作りショボいですね」
オトフィーメ「そこ突っ込んだらアカンわ。1年3組の手作りやで! ほら、テメェの分もあるからさっさと()高校へ島太郎を連れてったり」
浦「いや、()高校ここやからな? さっきから何も場所変わってへんからな?」
亀岡はファンを見る。それにつられて全員がファンを見つめる。
オトフィーメはおもむろにファンに近づきひっぱたく。
オトフィーメ「いつまでそこにおんねん! 邪魔や!」
ファン「うわあああああんごめんなさいいいいい!」
ファンは号泣して崩れ落ちる。
オトフィーメ「おし、そろそろ時間や。お前ら、アレ準備しぃ!」
側近「イエスオトフィーメ」
ボディーガード「イエスオトフィーメ」
弟子「イエスオトフィーメ」
娘「イエスお母さん」
四人は「イエス~」と言った順に中二病的な決めポーズ。
浦「何のポーズやねん! あとイエスお母さんは普通に無理あるわ!」
側近、ボディーガード、弟子、娘は霧吹きを取ってくる。
娘は二つ持ってくる。
娘はファンの肩を叩いて霧吹きを渡す。ファンは涙を拭う仕草をして立ち上がる。
五人はテンポよく色んな角度から浦と亀岡に霧吹きを突きつける(カッコつけて)。亀岡は震えて首を横に振っている。
オトフィーメ「ほなお元気で」
浦「嫌です」
オトフィーメ「ほなお元気で」
浦「嫌です!」
オトフィーメ「ほなお元気で」
浦「嫌だぁー! 死にたくないぃぃー!」
オトフィーメ「ファイヤー!!」
オトフィーメの掛け声を合図に一斉に二人に向かって霧吹き噴射。五人は「はぁー!」とか「やー!」とか言う。浦と亀岡は悲鳴を上げる。
一旦暗くなる。暗くなって5秒くらいまでは噴射、声は止めない。
明るくなる。浦は一人で倒れている。
浦はがばっと立ち上がる。
浦「いやどんな帰し方やねん! ……って、あれ。亀岡は?」
浦はキョロキョロ。
浦「オトフィーメとかもおらんし、普通の(演じている部屋の名前)に戻ってきたみたいやな…………お」
浦、落ちている玉手箱に気づく。
お客さんに語りかける。
浦「……これ開けたらワイおじいちゃんになるんかな?」
浦、「あー……」みたいな顔をして、
浦「やっぱ開けんとこ、おじいちゃんには別になりたないわ」
裏にいる役者たち「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
浦「あーもうわかった開けるって! ノルマやろ! みんなの期待やろ! わかっとる! わかっとるからそんなとこから抗議の声あげんなや!」
ナレ「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
浦「タイミング遅いわ! てかさっきまでバリバリ仕事放棄しとったやろ!」
ナレ「てへ、休んじゃった」
浦「可愛いないわ!」
浦、しぶしぶ玉手箱を開けにかかる。
浦「あーもう、しゃーないなぁ……いくで? よー見とれよお前ら…………それっ!」
浦は目を瞑って手をギリギリまで伸ばして勢いよく玉手箱を開ける。
浦「……なんや、これ」
浦は玉手箱を捨て、中身のタオルを取り出す。
浦「…………」
タオルを広げて水浸しの顔を拭く。
浦「これでさっきの出来事の記憶も綺麗さっぱり拭き取れるってか、冗談ちゃうわっ!!」
ナレ「ちゃんちゃん」
END