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エゴイズム ~それをいったら戦争です!~  作者: パラサイト
【第1章】迷子の迷子の桃華ちゃん、あなたの未来はどれいですか♪
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【???】蠱毒

 ここは地獄のような場所だった。


 ううん、正しくは地獄と化しただ。


 血飛沫ちしぶきが舞い、断末魔がとどろき、肉が燃上もえあり、阿鼻叫喚あびきょうかんの絵図が現在進行形で行われている。


 私もその仲間に入るのはそう遠くないのは分かっている。


 この地獄絵図を作り出した張本人が私を見逃すわけがない。


 彼女の標的が私なことを含めると、私自身もこの地獄を具現化した元凶ともいえるのかもしれない。



 助けてください! 死ぬのは嫌だ! と救助たすけを求める声が耳に届く。



 ごめんなさい。

 私にはそんな力はないの。



 なにが救いの女神だ! なにがジャンヌダルクの写し身だ! と怨嗟に満ちた声が耳に響く。



 ごめんなさい。

 私にはそんな力はなかったの。



 もう嫌だ! もとの暮らしに戻してくれ! と回帰を心から望む声が耳に入る。



 ごめんなさい。

 私にその力があればよかったのに。



 一人、また一人と襲撃者の手によって命が絶たれていく。


「こいつの命が欲しいんだろ! こいつを殺したら俺たちは見逃してくれよ!」


 男性が私の腕をつかみ、うなだれてた体を無理やり立たせると、襲撃者の前へドンと私を突き出した。


 抵抗する力もない私は長い間、求め焦がれた襲撃者の前へ無防備に身をさらす。


 ああ、これで楽になれると頭の片隅で思いながら。


 だが、次の瞬間に響いた叫び声は私のものではなかった。


 なんで? と、私を突き出した男性の言葉が背後から届く。


 私もなんで? と思い、痛む体を後方に向ける。


 襲撃者は返り血で汚れ、鉄錆てつさびのような血臭をまとう体を気にすることもなく、うれしそうに私にささやいた。


「私の大切なあの方を殺したあなたは最後のデザートだよ。あなたを苛めたこいつらはゴミだから掃除してあげるよ。静謐せいひつが満ちたときにあなたを食べてあげる」


 グリムリーパーと呼ばれた鋭い鎌を手に襲撃者は縦横無尽じゅうおうむじん殺戮さつりくを行う。


 蠱毒こどくの中にいるようなこの惨劇は襲撃者である彼女が独り、読んで字のごとく孤独にならない限り終幕することはないだろう。




 なんでこうなってしまったのか。

 涙は流れ嗚咽は途絶えることなくただ、私は回顧していた――。

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