第十八話 ヒーローの世界へ!
「……!!」
勇子ちゃんは、真っ暗な空間で目を覚ましました。
「ここ……どこ……?」
確か自分は、いつも通りお風呂に入って、ベッドで寝たはず。電気を消しているだけかと思いましたが、ベッドの質感もありません。というかこの空間、何もありません。勇子ちゃん以外、誰もいません。
「勇子……勇子……」
その時でした。勇子ちゃんの目の前の空間が光り、黒いボンテージに身を包み、仮面を被っているという、衝撃的すぎる女性が現れたのです。
「やっとあなたに、私の声が届きましたね」
勇子ちゃんが話し掛けるべきかどうか迷っていると、女性の方から勝手に話し始めました。
「私はツッコミの女神、テアーラ・ツ・コミ。今日はあなたにお会いしたく、参上しました」
「はあ、ツッコミの女神……」
「その通りです」
「すいません女神様」
勇子ちゃんは一度テアーラさんに謝り、
「テメーの存在がツッコミ所の塊なんだよ!!」
「げばっ!!」
ハリセンを出現させて、テアーラさんの顔面を殴りました。
「み、見事なツッコミです。今までいろいろな方にツッコミされてきましたが、存在そのものに対してツッコミされたのは初めてですよ」
テアーラは口の端から流れる血を片手で拭いながら、少し興奮しています。
「……まさかツッコミを入れるだけじゃなくて、ツッコミをされる変態の女神でもある、なんて言うわけじゃないですよね?」
「オフコース♪」
「何で嬉しそうなんだよ!!」
「ごぼはっ!!」
再びツッコミを入れられて、テアーラさんは吐血しました。ようするにテアーラさんは、ツッコミだけでなくボケを司る女神でもあるわけですね。
「はぁ、はぁ……ふふふ、なかなかの威力とキレのあるツッコミですね。さすが、そのハリセンの持ち主なだけあります」
「えっ? このハリセンの事、知ってるんですか?」
一度使った時からただのハリセンではないと思っていましたが、ツッコミの女神が指摘した以上、やはりただのハリセンではないようです。
「はい。そのハリセンは持ち主に力を与え、どんな場所、どんな状況、どんな状態、どんな相手でもツッコミを入れられるようにする、スーパーハリセンという神器なのです」
「効果はすごいのに名前がダサすぎる!!」
勇子ちゃんはハリセンの名前に対してツッコミました。
「ちなみに私はそのハリセンの化身でもあります」
「先に言え!!」
「ぶ!!」
勇子ちゃんはスーパーハリセンを、テアーラさんの顔面に投げつけます。
同時に、名前にツッコミどころがある理由を理解します。テアーラさんがこのハリセンの化身なのですから。
「これがこのハリセンの化身とか気色悪っ!!」
「まぁまぁ、そう邪険に扱わないで下さい」
「だったらせめてその変なカッコやめてよ!!」
「嫌ですよ。やめたら突っ込んでもらえないじゃないですか」
「そのこだわりは何なんだよ!!?」
勇子ちゃんは息継ぎします。このままでは突っ込んでばかりで、話が全く進みません。
「もういいわ。それで? 女神様が私に一体何の用?」
嫌な予感が止まりませんが、勇子ちゃんはテアーラさんに訊ねました。
「私はあなたを自分の主にしようと思うのです」
「お断りします」
「ダメです。もう決まりました。私の加護によって、スーパーハリセンは一生あなたから離れません」
「加護じゃなくて呪いじゃねぇか!!」
スーパーパワーと一緒に痴女をあげるって言われたら、作者も断ります。しかし、勇子ちゃんはもう最初に使った時にテアーラさんに魅入られていたので、手遅れでした。
「でも私の力がないと、お友達の暴走は止められませんよ?」
「う……」
それに対しては、言い返せませんでした。愛奈ちゃんの暴走を止めるのに、スーパーハリセンの力が必要になるのは、事実だからです。
「とにかく、私はそれを言う為だけに来ました。スーパーハリセンをどのように使うかは、あなた次第です。ではさようなら」
「ちょ、ちょっと!?」
勇子ちゃんはテアーラさんを呼び止めようとしましたが、
「……」
目を覚ましました。どうやら、夢を見ていたようです。しかし、これまでの経験からすれば、ただの夢ではない事は明白でした。
「……はぁ……やだなぁ……」
さっきまで寝ていたのに、どっと疲れる勇子ちゃん。そのくせに目だけはしゃっきりしていて、また寝る気にはなりません。
「……まだ、時間あるわよね?」
時計を見ると、いつもより二十分早く起きている事に気付きます。
勇子ちゃんの部屋にはテレビがあって、DVDレコーダーが繋いであります。勇子ちゃんはラックにしまってあるDVDの一枚を取り出すと、それを、ぎゅっ、と抱き締めてから、中身を取り出し、レコーダーに挿入しました。
「オープニングだけでいいから、見よっと」
テレビを点けて、DVDを再生すると、聖神帝レイジンという特撮番組が始まります。
「はぁ……好かれるならあんな変態の女神じゃなくて、輪路さんがよかったな……」
白銀のライオンを模した鎧を纏った男の人が、曲に合わせて刀で怪物を、バッタバッタと倒していく映像を見ながら、勇子ちゃんは溜め息を吐きました。
◇◇◇◇
笑特小。
「いさちん、なんだかゴキゲンだね!」
機嫌が良さそうにしている勇子ちゃんを見て、愛奈ちゃんは言いました。
「何かあったのか?」
「勇子は聖神帝レイジンを見てきたの」
「ちょっと友香!」
友香ちゃんからネタばらしをされて、勇子ちゃんは顔を赤くして友香ちゃんを止めに入りました。
聖神帝レイジンとは、日曜日の朝七時からやっている、特撮番組です。内容は、主人公が変身して、怪物化した怨霊達を相手に戦っていくという、典型的なヒーローもの。かなり人気な作品で、これを見る為に早起きする子供もいます。
勇子ちゃんはこの番組の主人公、廻藤輪路の大ファンで、毎週欠かさず視聴し、録画しています。
「いさちんがゴキゲンな時って、必ずレイジンを見た後だもんね!」
「……だって……」
愛奈ちゃんに指摘された勇子ちゃんは、
「輪路さん、かっこいいんだもん……」
顔を赤らめ、目を潤ませて答えました。勇子ちゃんの表情に、愛奈ちゃんも友香ちゃんも、勝希ちゃんまでもが、どきりとしてしまいます。それぐらい、可愛らしかったのです。完全に、恋する乙女の顔でした。
「握手会とかサイン会とか行きたかったけど、うち貧乏だから行けないし。じゃあ録画して毎日見ようって決めて、今まで一日も欠かさずに見てきたの」
「本当に好きなんだな」
勝希は感心しています。自分や愛奈ちゃん以外で、ここまで一つの事に打ち込める同年代の子を、初めて見ました。
「じゃあさ、明日いさちんの家でレイジンの観賞会しようよ!」
「えっ!?」
愛奈ちゃんの提案に、勇子ちゃんはぎょっとしました。明日は土曜日で、勇子ちゃんには何も予定がないのですが、それでも家で観賞会というのは驚きます。
「勝希ちゃんにも見て欲しいし!」
「私は別にいい」
「え~? 何で~?」
「そういう俗なものは見ん」
勝希ちゃんは拒否しました。まぁ、愛奈ちゃん達とは環境が違いますからね。
「絶対面白いよ? あたしだって見てるし」
「そんなものを見るくらいなら修行する」
「勝希ちゃんってさ、人生楽しんでないでしょ?」
「貴様に私の人生の何がわかる。行かんと言ったら行かん」
愛奈ちゃんは勝希ちゃんの背中に抱き着いて、喉や胸や顔をなで回しながら、しつこくねちっこく誘います。勝希ちゃんはひたすら拒否し続けています。
「私は行く。久々に見たい」
友香ちゃんも毎週見ていますが、勇子ちゃんのように録画して保管してはいないので、一度見たらそれっきりです。だから見たくなった時、勇子ちゃんのような友達がいると助かります。
「……しょうがないわね」
本当は一人で見たかった勇子ちゃんですが、みんなで見るのも楽しいだろうと思い、許可しました。
嫌な夢の事も、完全に忘れられると思ってましたし。
◇◇◇◇
そして、翌日。
「いさちんおはよ~!」
愛奈ちゃんと友香ちゃんは、勇子ちゃんの家を訪れました。
「おはよう……って何してんのあんた!?」
勇子ちゃんは、愛奈ちゃんを見た瞬間に、びっくりしました。
なぜなら、愛奈ちゃんが気絶してロープでぐるぐる巻きにされた勝希ちゃんを、右肩に担いで来たからです。
「あんまり嫌がるから、腹パンして気絶させたんだよ」
「どんだけ見せたかったのよ!? 家の人は止めなかったの!? 叔父さんとか執事さんとかは!?」
「オールオッケーて言われたよ」
「うっそぉ!?」
勝希ちゃんの家の人達は、勝希ちゃんにもっと愛奈ちゃん達と仲良くなってもらいたくて、愛奈ちゃんの奇行を許可したのです。
「さ、早く見よっ! 今日一日で出来る限りいっぱい見なきゃ!」
「う、うん……」
勇子ちゃんは愛奈ちゃんの勢いに気圧されて、三人を部屋に招きました。
レコーダーにはもう、今日見るディスクが入れてあるので、あとは再生するだけです。勇子ちゃんはリモコンを操作して、再生しました。
「勝希ちゃん。レイジンが始まるよ!」
「き、貴様!!」
愛奈ちゃんは勝希ちゃんを起こし、勝希ちゃんは暴れてロープを引きちぎります。
「もう勘弁ならん!! 私の暗黒闘気で、今度こそ貴様を倒してやる!!」
「またやるの? 学習能力ないなぁ……!!」
起こった勝希ちゃんが暗黒闘気をみなぎらせ、愛奈ちゃんがそれに応える形で、全身から闘気を放出しました。
「ちょっとあんた達!! こんな所でやめてよ!!」
「安心しろ。今回はこれでやってやる」
止めようとする勇子ちゃんに、勝希ちゃんは自分の暗黒闘気を込めた右拳を見せました。愛奈ちゃんも自分の右拳に、闘気を込めます。
「どっちにしてもダメよ!!」
「行くぞ、高崎愛奈!!」
「はああああああああああ!!」
殴り掛かる二人。このままではまずいと思って、友香ちゃんも止める為に念力を放ちます。
「やめろっつってんだろーがぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そこへ怒りを抑えきれなかった勇子ちゃんが、さらにスーパーハリセンを叩き込みます。
四つの強大な力が激突した瞬間、四人の姿は部屋から消えました。
「……え?」
ついでに自宅で仕事をしていた浩美先生も消えました。
◇◇◇◇
ある街の中を、サイドカー付きのバイクが走っていました。運転しているのは男性で、サイドカーには女性が乗っています。
「ごめんなさい。私の買い出しにお付き合いさせちゃって」
「別に。今日は暇だったからな」
女性は男性に謝り、男性は前を向いたままです。
「修行の方は?」
「それをやった上でだ。しかし、こうも毎日毎日修行ばっかりだと、さすがに気が滅入るぜ。気分転換に、何か面白い事でも起きねぇかな?」
男性がそう言った時でした。
男性のすぐ前に座る形で愛奈ちゃんが現れ、女性の前に座る形で浩美先生が現れたのです。
「あ゛!?」
「えっ!?」
「なっ!?」
「きゃっ!」
男性も愛奈ちゃんも、浩美先生も女性も、それはもう驚いて、男性はハンドル操作を誤りそうになりましたが、どうにかコントロールを取り戻し、路肩にバイクを停めました。
「な、何だお前!? とりあえず降りろ!」
「は、はいっ!」
「すみません退きます!」
「ごめんなさいっ!」
男性は愛奈ちゃんを降ろしてからバイクから降り、浩美先生と女性は互いに謝っています。
「あれ、浩美先生?」
「愛奈さん。どうやら私達、また面倒な事に巻き込まれちゃったみたいですね……」
愛奈ちゃんは浩美先生の存在に気付き、浩美先生もまた愛奈ちゃんの存在に気付いて、苦笑しています。
と、愛奈ちゃんはさらに気付きました。
目の前にいるこの二人、どこかで見た覚えがあると。
そして、思い出しました。
「あなた達、もしかして聖神帝レイジンの、廻藤輪路さんと、篠原美由紀さん!?」
そうです。この二人はレイジンの主人公輪路さんと、ヒロインの美由紀さんにとてもよく似ていたのです。
「あ、ああ。俺は輪路だが、何で俺の名前知ってんだ?」
「びっくりです。私の名前やレイジンの事まで……!!」
輪路さんに似た人と、美由紀さんに似た人も、愛奈ちゃんの反応に驚いていました。
レイジンの事は時々雑誌やテレビなどで取り上げられるので、浩美先生も存在自体は知っています。そして二人の反応を見るからに、コスプレをしてなりきっているわけでも、嘘をついているわけでもなさそうです。
「もしかして私達、聖神帝レイジンの世界に来ちゃったって事ですか!?」
「ええ~~!?」
浩美先生の言葉に、愛奈ちゃんはさらに驚きました。
そうです。二人は、聖神帝レイジンの世界に来ており、この二人は本物の輪路さんと美由紀さんなのです。
二人の反応を見て、輪路さんと美由紀さんは困惑していましたが、
「なんだか私達の事を知ってるみたいですし、それならたぶん、私の店の事も知ってるはずです。詳しい話はそこでしませんか?」
美由紀さんはいち早く、この場で取るべき最善の行動を提案しました。
「じゃ、じゃあ、そうしましょうか」
「すっごい! あたし達、あのヒーリングタイムに行けるんだ!!」
「マジでヒーリングタイムの事知ってやがった……」
輪路さんは若干引きながらも、二人を連れて、ヒーリングタイムに案内しました。
◇◇◇◇
ヒーリングタイム。ここは美由紀さんのお父さん、篠原佐久真さんが経営している喫茶店です。
輪路さん達は愛奈ちゃん達を連れて帰ってきました。
「ただいま戻りました!」
「マスター。いきなりで悪いが、アメリカンを一杯くれ。それと、この二人に水を」
「あらお帰り二人とも。ちょうどいいところに来てくれたわねぇ」
オカマ口調で迎えたのが、店長の佐久真さん。
「愛奈! 浩美先生まで!」
「あっ! いさちんに友香!」
「何だ。この二人知り合いか?」
「うん! あたしの友達!」
なんと、ここには勇子ちゃんと友香ちゃんがいました。どうやら二人は、ここに飛ばされたようです。
「んじゃ、飲みながら話すか。お前ら何モンだ? 何で俺達の事を知ってる?」
輪路さんはカウンター席に座り、愛奈ちゃんが浩美先生の手を引いてその隣に座りました。
それから、今までに起きた事を話します。といっても、自分達がなぜここにいるのか、愛奈ちゃん達もわかっていないのですが。
「なるほど。お前らはここと違う世界の人間で、その世界じゃ俺達の世界は、テレビの子供番組として存在してるってわけだ。向こうじゃ俺はチビッ子どもの人気者か……嬉しくねぇ」
「輪路さんったら……」
「子供相手でも容赦ないわねぇ」
輪路さん、小学生相手にもズバズバ言います。美由紀さんと佐久真さんは、その大人気なさに呆れていました。
「子供だけじゃなくて、大人にも人気ですよ。週刊誌とかバラエティとか、よく俳優さんが出ますし」
「そりゃどーも。もっとも俺は俳優じゃなくて本人だけどな」
浩美先生からフォローをされて、輪路さんはアメリカンを一口飲みます。
「あたしコーヒーって苦手。砂糖とミルクを何杯も入れないと飲めないもん」
「お前は小学生だろ? じゃあ仕方ねぇ。こいつをブラックで飲めるようになりゃ、大人になった証だ」
愛奈ちゃんには、まだちょっと早い味です。
「私もブラックじゃ飲めませんけどね」
「……個人差はあるさ」
苦笑しながら答える美由紀さんに、輪路さんはフォローを入れました。
「お願いがあります」
「何だ」
「サインを下さい」
「!?」
機械のような無機質な声で、友香ちゃんは輪路さんにお願いします。
「は? サイン?」
「私じゃなくて勇子に。勇子は輪路さんの大ファンだから」
「と、友香!?」
本当は勇子ちゃんがサインをお願いしたかったのですが、本物の輪路さんに会えるなんて思っていなかったので緊張してしまい、なかなかお願い出来ませんでした。
だから、それを察した友香ちゃんが、代わりにお願いしたのです。
「……別にいいけどよ、どこにサインすりゃいいんだ?」
「じゃ、じゃあ、これにお願いします!」
そう言って勇子ちゃんが取り出したのは、レイジンの写真が撮されたシールでした。お菓子とかに付いている、アレです。
勇子ちゃんは前に、レイジンチョコというお菓子を一つだけ買って、偶然レイジンの写真が当たったので、それ以来肌身離さず持ち歩いているのです。
「サインの練習とかしてねぇから、字、汚ねぇぞ」
「構いません! お願いします!」
ここまで強く頼まれては断れず、輪路さんは佐久真さんからペンを借りて、シールにサインを書きました。
「!!!」
勇子ちゃんは嬉しくて、サインが書かれたシールを抱き締めます。
「マジで俺のファンなんだな。こんな小さいファンが出来るとは、人生何が起こるかわかんねーわ」
佐久真さんにペンを返し、輪路さんはまたアメリカンを飲みました。
「マスター。そういやソルフィの姿が見えねぇな? 俺らが出る前までいたはずだが」
「ああ、何か急用が入ったとかで、さっき出ていったわよ?」
「急用?」
輪路さんはいぶかしみながらも、また一口アメリカンを飲みます。
「……なんだか、あんまり驚いてないんですね。私達が別の世界から来たって事も、信じて下さってるみたいですし」
浩美先生は気になった事を訊きました。確かに、ちょっと落ち着きすぎている気がします。ですが、それには理由がありました。
「前に別の世界に行った事があるからな。向こうから来る事だってあるだろ」
「そ、それ、セフィロトの樹の悪魔の話ですよね!? み、見てました!!」
「……それも放送されてたのか」
以前勇者として異世界に召喚された事があり、輪路さんは異世界の存在を知っているのです。だから、慌てていません。勇子ちゃん、興奮してます。
「すいません、遅くなりました」
そこへ、一人の女性が入店します。先程佐久真さんが言っていた、ソルフィさんです。
が、二人お客さんを連れていました。
「わあ! ソルフィさんだ!」
「翔さん……!!」
愛奈ちゃんは驚き、勇子ちゃんは感動します。輪路さんの仲間の、青羽翔さんです。
そして、
「勝希」
友香ちゃんは二人目のお客さんの名前を呼びました。
「翔か。こっちはもう事情を知ってるぜ。そのガキは……」
「ああ。別の世界から来たそうだ。協会の、俺の部屋に現れた」
輪路さんの言葉に、翔さんは返しました。
というわけで、今回から聖神帝レイジンとのコラボ編が始まります。時系列は、話すと現在の輪路の強さがネタバレになってしまうので、ナイショです。




