プロローグ
主人公が入学した4月から始まり、やがて事件が起きてから終息するまでの作品予定です。読みやすく、軽いノリを心がけました。
始めての投稿作品なので試行錯誤中ですが、星杜学園の世界を楽しんで頂ければと思っています。
薄紅色の桜の花弁が儚げな風情で散って行く光景の一方で、朝の短い時間をバタバタと過ごし慌てて登校していく学生たち……というような普通な状況では始まらないのが、私が進学を決めたここ『星杜学園』である。
私の名前は、波原小春、15歳。一応女子で、身長が168㎝で体重が60㎏。自分で言うのもなんだけど、恵まれた体型を持つ私は、その辺のこじんまりとしている?男子生徒には、いろんな意味で負けない自信がある。
けど、もちろんそんな事は普段の生活ではおくびにも出さない。
晴れて合格した私を、生徒の一人として迎えてくれたこの星杜学園は、例え校舎の隣に自宅があろうとも、一年生だけは全員が全寮制の学園である。しかも「寮は校舎内にある」と言って、理解して貰えるものかどうか。
なので、少しだけ星杜学園の校舎について説明しておくと、ここの校舎はいわゆる横長の直方体の校舎(三階建て)が五つ、☆型状に配置されていて、その中央部分は五角形の廊下で繋がっている。横長直方体の一つは生徒校舎、一つは実習室や実験棟、職員室や職員準備室が集まる校舎、一つは部活関係やその他諸々の教室がある校舎。残る二つのうちの一棟は老朽化が激しいために今現在は閉鎖されている。
そして最後に残った一棟が、なんと一年生の寮なのだ。この寮棟のみは4階建てとなっている。
(あぁ!こんな幸せがこの世にあるなんて! )
朝はてんで弱く、いつも遅刻ギリギリの私。
寮と校舎が繋がってる。
(それって朝8時までの睡眠を約束されてるって事じゃない!?)
で、最初の登校シーンに戻ると、『家の玄関を慌てて出て、食パンをくわえたまま4月の桜の花びらが舞い散る中、駅まで走る』なんて光景(食パンをくわえたままと言うのはオーバーだけど)の代わりに、『長い廊下を走る生徒たちの姿でいっぱい』という光景になるわけなのです。
まぁどんなに学校が近くても、遅刻ぎりぎりの生徒は多いってことよね。