プロポーズは突然に
あーあー。ご説明しますご説明します。惚気ではありません。
ある日、飲み会に呼ばれた。
なんの前触れもなく突然呼ばれた飲み会だった。友人と行ってみたところ、ぶんぶんと音が鳴るほど一生懸命に幹事をやっている女の子がいた。
正直なところ俺は人嫌いだし、女性も苦手だ。どうしても敬遠してしまう。だから俺は隅っこに座ろうとしたが、そこは幹事の女の子の席だった。
世間話もできない俺は、目の前に出てくる料理の話しかできなかった。だが、その子も俺と似たような性格だったらしい。気が付けばその子と普通に話ができていた。
途中で邪魔が入った。他の人の会話を2人ともウンウンと頷いて聞いているだけになった。結局、突っ込んだ話をすることができないままお開きの時間がやってきた。
終了直前にメールアドレスを交換した。その子の目はハートマークになっていたのだが何か勘違いされている可能性が高いのであまり期待はしていなかった。
メールアドレスを交換したのならこちらから送らなければ失礼だ。そういう考えでメールを送ったら、どこかへ遊びに行こうというメールが返ってきた。
正直なところ女の子とデートなんてまっぴらごめんだと思っていた俺は気のない返事を繰り返した。後から考えれば、これで火を付けていたようだ。
毎日のように届くメール。しかし俺は気のないメールを返す。それが続いたある日、メールが途切れた。俺は気になってメールの返信をし、何かあったのではないかと心配になって食事の約束をした。
その食事の日に、俺は最近増えた仕事の量で疲れていた。いつもなら酔わないはずの量の酒でかなり酔ってしまった。
帰り際に、付き合うなら真面目に、結婚を前提として付き合おうと言った。よく思い返せば酔った勢いでその子と付き合いたいという本音を言ったんだろう。
ただし俺は真面目に付き合いたかった。何故なら今まで女性と付き合うたびにひどい目に遭っていたからだ。それは思い返せば震えが来るほどのひどい事態だ。だから真面目に付き合える人を望んでいた。
翌日から、なぜかその子から結婚式の相談のメールが入ってきた。つまり前日のそれはプロポーズということになって勘違いされていた。
付き合う前にプロポーズってどうなんだ。ひどい勘違いだ。だが、今の俺には幸せな勘違いだったように思う。
突如結婚する。そんな夢物語がまだ、この日本に存在していたとは驚きだった。
勘違いから始まる恋愛は実在する。ジッチャンのナニ賭けて。