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放課後スカイステージ ~伝説は、この屋上から生まれた~  作者: 右上梓
第二章 やり残した宿題より、大切なもの。
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第15話「Upper Right!」

そろそろ、涼しいところで休憩を――

そんな空気が漂いはじめた頃。

会場の雑踏の中に、どこか落ち着いた声が紛れ込んだ。


「――あら、ちゃんとたどり着けてたのね。偉い偉い」


「先生!」


そらが手を振ると、東雲先生は手のひらを小さくひらひらと返しながら合流してきた。

夏の日差しを避けるように大きな帽子をかぶり、肩には薄手のストール。

まるでリゾート帰りのような、軽やかな装いだった。


「さすが先生……いいタイミングで現れる」


照がぽつりとつぶやくと、先生は悪びれもせずに微笑んだ。


「空気、読んでるのよ。私なりに」


その一言に、みんなの口元が自然とほころぶ。


日陰に移動して、それぞれ冷たいものを手に、ひとしきり談笑したあと。


「さて……行きましょうか。そろそろ、始まる時間じゃない?」


先生の視線の先には、ビルの屋上に設けられた、あのステージ。


――空に、いちばん近い場所。


タイムテーブルを見て、そらがそっと声を漏らす。


「……もうすぐ始まる、UPPER RIGHT……」


昨年のデビューから瞬く間に階段を駆け上がり、

いまや全国からファンが集まる実力派ダンス&ボーカルグループ。


空のステージに、いちばんふさわしい存在――

そのライブが、まもなく始まる。


「……急ごっか」


未碧が声をかけると、全員がそれぞれの想いを胸に、入り口へと歩き出す。


高く、高く、空に向かって。

この目で、確かめるために。


そらは小さく息を吸い、ぎゅっとリストバンドを握りしめた。


――屋上ステージ


二曲目が終わり、響いていた音がゆっくりと引いていく。

照り返す陽射しの中、歓声が風とともに揺れた。


整列したメンバーたちが、両手でマイクを持ち、笑顔で口を開く。


「――こんにちは、UPPER RIGHTです!」


「今日は、この“空に一番近いステージ”に立てて、本当に嬉しいです」


「ずっと憧れてた場所だから……夢が叶った、って思ってます」


客席からの拍手に、メンバーがそれぞれ軽く頭を下げる。


「暑い中、来てくれてありがとう。たくさんのステージがある中で、ここを選んでくれたこと、本当にうれしいです」


そして――

センターに立つボーカルの少女の視線が、ふと客席の奥へと向けられた。


会場後方、陽の光の中でひときわ目立つ、つばの広い帽子。

その隣には、ツインテールの小柄な少女――未碧が立っていた。


「先生――!」


その一言に、観客の視線が一斉に後方へ向く。


「……あそこにいるのは、私たちの原点。高校の、舞台芸術部という部活から生まれた私たちを、最初に信じてくれた恩師です」


「そして、その隣にいる彼女は――私たちの大切な“仲間”」


ざわめきが広がる中、彼女は少し間を置いて、静かに続けた。


「いまはまだ、現役高校生だけど、私たちはずっと、彼女のことを“メンバー”だと思っています」


「次にお届けするのは、その彼女が……いえ、“未碧”が、この夏、初めてこの場所に立つ私たちのために書き下ろしてくれた新曲です」


客席がざわつく。


照れたような笑みを浮かべる未碧の横で、そらたちはぽかんとしたような顔をしていた。


「迷ったり、悩んだり――たぶんその全部を越えて、まっすぐ前を向こうって思える。そんな曲です」


「この空の下で届けたい、私たちの“再出発”の一曲」


「新しい“始まり”と、“これから”のすべてを込めて」


「聴いてください――『Upper Right!』」


イントロが流れた瞬間――

スケッチ帳を静かに閉じた海の眉が、わずかに上がった。


その曲は、彼女たちのデビュー曲『青春の影、私の光』とは、まるで別物だった。


疾走感のあるバンドサウンド。

大空へ広がるようなギターの音。

そのすべてが、まさに「今の未碧」を物語っていた。


照が思わず口元をほころばせる。

あの場所で、あの時間の中で積み重ねてきたすべてが、ここにある。


そらは息を呑んだまま、自然と拳を握りしめていた。

未碧の音が、言葉が、まっすぐに届いてくる――

それはまるで、背中をそっと押してくれる風のようだった。


月音は、帽子のつばで視界を覆い、じっと聴き入っていた。


まるで“上昇気流”に乗るように、ステージの空気が加速していく。


雫の目が、はっきりと見開かれる。


(……これが、今のみゃお先輩)


あの場所で、仲間と過ごし、自分を取り戻した時間。

それが、未碧というアーティストの“再始動”を生んだ。


“UPPER RIGHT”――

その名前に込められた意味は、彼女と、彼女たちにしか分からない。

※YouTubeチャンネル「@AozoraDrop」で劇中歌を公開していますので是非お聴き下さい♪

【劇中歌プレイリスト】

https://youtube.com/playlist?list=PLXQVDdlnX86cDoXjk4TfuBJ8d58lJ8Baj


「Upper Right!/ UPPER RIGHT」


いつだって迷いながら

選んできたこの道を

振り返れば遠いけど

まだ Almost there じゃない


限界なんて決めないで

もっと上に行けるから

自分を信じたその瞬間

未来が輝き出す


高く掲げた手のひら

夢がすぐそこにある

感じてる、その光

私たちのステージへ


Upper Right! どこまでも行けるよ

Upper Right! 輝き続ける

未来を掴むまで、この手を離さない

信じて、進むよ Right up high!


Upper Right! 高く羽ばたいて

Upper Right! 風を感じて

限界超えるたび、もっと強くなるよ

We will shine, 未来は Right above!


あの空に手を伸ばして

届かないって思っても

少しずつ近づいて

見えてくるよ、希望の形


いつだって心の中に

小さな勇気があれば

どんな困難だって乗り越えられる

きっと一緒に行ける


踏み出す一歩が未来を

描き出すその瞬間

感じてる、その鼓動

私たちのストーリーが始まる


Upper Right! どこまでも行けるよ

Upper Right! 輝き続ける

未来を掴むまで、この手を離さない

信じて、進むよ Right up high!


Upper Right! 高く羽ばたいて

Upper Right! 風を感じて

限界超えるたび、もっと強くなるよ

We will shine, 未来は Right above!


向かい風も追い風に変えて

全てが今、輝く瞬間

止まらない、この気持ち

もっと高く、遥か遠くへ!


Upper Right! どこまでも行けるよ

Upper Right! 輝き続ける

未来を掴むまで、この手を離さない

信じて、進むよ Right up high!


Upper Right! 高く羽ばたいて

Upper Right! 風を感じて

限界超えるたび、もっと強くなるよ

We will shine, 未来は Right above!


Right above, Right above...

未来は、Right above!

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