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放課後スカイステージ ~伝説は、この屋上から生まれた~  作者: 右上梓
第二章 やり残した宿題より、大切なもの。
32/53

第1話「伝説の部活、再び」

音楽室 ――現在

未碧の言葉が静かに締めくくられると、音楽室には一瞬、音が消えたような沈黙が訪れた。


誰もが口をつぐみ、思い思いに――けれど同じ情景を思い描いていた。

あの屋上。風の音。夕暮れの光。音楽と、笑い声と。

それはもう、全員の中で、揺るぎない“共通の過去”になっていた。


そして、未碧が話した「その先」のこと。


少しだけ揺れるカーテンの音が、ようやく時を進めたとき――

静寂を破るように、東雲先生が口を開いた。


「……つまりね。もし、あなたたちが“部活動”として正式に認められれば――」


言葉の切れ間に、全員の視線が一斉に先生に向けられる。


「学校から活動費が支給されるわ。衣装の材料費も、その中に組み込めるはずよ」


「部として……認められたら……!」


そらが目を輝かせ、身を乗り出す。


「でも、それって……どうやったら認めてもらえるんですか?」


雫の声には、抑えきれない期待と緊張が混じっていた。


東雲先生は、軽く頷いてから説明を続けた。


「部活動の設立には、顧問・活動計画・部員五名以上が必要。申請書類を提出して、職員会議を経て承認されるのが基本ね。もちろん、申請が通らないこともあるけど……」


「じゃあ、私たちってもう……!」


雫が顔を上げ、周りを見渡す。

――そら、照、雫、月音、海。一年生だけで、すでに五人。そこに未碧も加われば、六人目。


「……私はもちろん、参加するよ。思い出の場所が復活するなんて、こんなに嬉しいことはないからね」


未碧の言葉に、自然と空気がひとつにまとまっていく。


東雲先生も穏やかに頷いた。


「よし。それじゃあ、申請の準備はあなたたちに任せるとして……」


そう言いながら、ふと未碧を見やる。


「書類上は、私が顧問を引き受けるわ。でも、吹奏楽部と兼任になるから、どうしてもこっちが手薄になっちゃうの。……だから、未碧。その役割をあなたに一任しようと思って。“顧問代理”ってことで、どう?……非公式だけどね」


「……えぇっ!? ちょ、ちょっと待って、それって……」


思わず立ちかけた未碧が、バランスを崩して椅子に座り直す。


「押し付けられた感……」


ぼそっとそう言って、不服そうに口を膨らませる未碧。

そらと雫がくすりと笑った。

照も月音も、海も、どこか安心したような顔をしている。


「違うの、これは……そう、信頼の証」

東雲先生は、冗談めかして肩をすくめる。


未碧は困ったように小さくため息をついて――それでも、

「はいはい……やりますよ、仕方ないな」

と笑った。

それは、この場の誰もが疑うこともないくらいの、満面の笑みだった。


音楽室に満ちた笑い声の中、

あの日失われた“部活”が、今、もう一度動き出そうとしていた。

星野 そら(ほしの そら)

高校1年生。ボーカル&ダンサー。

内気で自信がなかったが、アイドルへの強い憧れを胸に、仲間と出会いステージに立つ決意をする。この物語の始まりの輝き。


翠谷みどりや しずく

高校1年生。そらのクラスメイト。作詞&ボーカル&ダンサー。

クールな佇まいの裏に、ユニークな感性と創作への葛藤を秘めている。彼女の言葉が、グループの歌になる。


伏見ふしみ 月音つきね

高校1年生。作詞&ボーカル&ダンサー。

物静かでミステリアスだが、内に激しいメタル魂を秘めた「きつねちゃん」。彼女の詩が、グループの新たな可能性の扉を開く。


朝日あさひ 未碧みあお

高校3年生。「みゃお先輩」。作曲&ピアノ&顧問代理。

かつて伝説となった「舞台芸術部」の中心にいた天才作曲家。スランプを乗り越え、再び“みんなのための歌”を創り始める。


黒瀬くろせ てる

高校1年生。部長兼プロデューサー。

そらの才能を見出し、ステージへと導いた仕掛け人。自らは光にならず、仲間たちを「照らす」ことを選んだ、グループの頼れる司令塔。


大須おおす かい

高校1年生。照のクラスメイト。衣装デザイン&制作。

「好き」を隠していたが、グループの音楽に触発され、その世界観を形にする情熱的なクリエイター。


東雲しののめ あまね

音楽教師。吹奏楽部顧問。『二代目舞台芸術部(仮)』の正式な顧問。

生徒たちの活動を温かく見守る理解者。しかし、その過去にはゴリゴリのメタルバンドでギターを奏でていたという、謎の一面も……。

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