表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セキトリ!〜満員電車 Sit or Dead〜  作者: 伊波氷筍
座った席から見えるもの
39/52

いつもの自動販売機

 座太郎は見知らぬ男に押さえ込まれホーム上に倒れていた。


「何を考えているんですか?ダメですよ、そんなことしちゃ!」 

 その若い男は息を切らしながら座太郎を押さえつけ、怒りとも哀れみとも言えない眼で見つめていた。


「ちが・・・おれは・・・」


 周囲を見渡す。人だかりができている。だが、アイツだけがいない。すぐに状況は理解できた。自分がフラフラと電車の近づく線路に近づいていった。そして、この男に救われたのだ。


「違うんだ・・・本当に・・・でも、ありがとう・・・」



「・・・そうですか」男は手の力を緩め、そして座太郎の腕を引きゆっくりと立たせてくれた。「もし勘違いだったらすみません。でもいいこともあるはずです。健康なだけでも、十分幸せだと思いませんか?」

「ああ・・・確かに・・・」

 座太郎は自分より明らかに若い青年を見た。

 エリと同い年くらいか、それよりも若いかもしれない。


「じゃあ僕は仕事があるんでこれで」

「あ、ああ、ありがとう・・・」


 青年は周囲の人ごみをサッと避け、座太郎がいつもコーヒーを買う自動販売機に飲み物の補充を始めた。おそらく仕事の途中で座太郎の異変に気がつき、とっさに駆け出してくれたのだろう。


 仕事に勤しむその後ろ姿に申し訳がなく、座太郎は逃げるように駅のホームをあとにした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ