お別れのとき
ー畑から帰った後、
また豪華なお昼ごはんをみんなで食べて、
あっという間に帰る時間になってしまった。
恭平様にとっては、
少しの間のお別れと思っているかもしれない。
ただ私にとっては、
もう会えないかもしれないと思っている。
ーもう離縁届けは恭平様の家にとどいているはず。
えみりに手紙は渡してあるし、準備万端なはず。
もしかすると恭平様は驚くかもしれない。
ただ手紙の内容を見ればわかる通り、
契約はそのまま続くし、恭平様にとって悪くない内容だと思う。
ー契約が続くなら、
私と結婚し続ける意味がないしね…。
私が畑から帰ってから、ずっと暗い顔をしているため、
「本当に体調悪くないのか?」
と何度も恭平様が聞いてくれた。
「大丈夫です」
私が今できる精一杯の笑顔を浮かべると、
納得はしていないようだったが、
それ以上は聞いてこなかった。
帰る馬車の準備ができ、
私は恭平様を見送りに行った。
「君が帰ってきたら、この前言っていた別荘に行こう。
…なるべく早く帰ってきてくれると助かる」
恭平様から言われて、なんと答えていいかわからなかった。
ー本当はこのまま結婚していたい。
でも相手から女性として見られていないのに、近くにいるのは辛い。
私が何も返答しないことに、
恭平様は不思議そうな顔をしていたが、
時間が来たので、馬車はそのまま出発してしまった。
「さようなら」
私はそう呟いて見送った。




