畑へ一緒に2
ー今日は恭平様がもう帰る日だった。
本当は朝食のあと、
観光に連れていこうと思っていた。
しかし、恭平様のリクエストで、
私たちの思い出(恭平様は私のことに気づいていないはずだが)の畑に行くことになった。
ーもしかして、恭平様は私のこと気付いていたりして。
いや、あのときはショートカットで、
今は髪を伸ばしているし、
名前も変えているから気付かないはず。
私は勝手にどぎまぎしながら、
恭平様を畑に連れていった。
畑へ着くと、幼馴染みの悠人もいた。
「おお、久しぶりだな美優」
「悠人も久しぶり。
恭平様こちら幼馴染みの悠人です」
「き、君が…。
いや失礼、初めまして。
美優の『夫』の恭平です。
いつも美優がお世話になっています。」
ー私の勘違いかもしれないが、
夫という言葉が強調されている気がした。
「初めまして。
美優から話は聞いています。
これからも美優のこと宜しくお願いします。」
「美優からもう話聞いているんですね…
はい。もちろんです。」
ー悠人には恭平様に片思いしているときから話していたので、そのことだろう。
思わず恥ずかしくなったが、恭平様をみると真顔むしろ不機嫌そうにみえた。
「じゃあ、お二人でごゆっくり」
悠人は意味ありげにニヤニヤしながら、
私の頭をポンポンして、畑から出ていった。
私は思わず赤くなってしまったが、
恭平様は更に険しい顔をしていて、私も顔を引き締めようとした。
「彼とは仲がいいんだな…」
「はい。幼馴染みで、小さいときから仲良くしてもらってます」
「そうか…」
そういうと、恭平様はだまりこんでしまった。
「あ、あの…」
ー急に恭平様が黙ってしまったため、
声を掛けた方がいいかなと思ったが、
何を喋ればいいのかわからない…
「ちょっと私の話を聞いてもらってもいいか?」
すると、恭平様から話し掛けてくれた。
「はい」
「実は小さいときここの畑にも来たことがあったんだ。」
「そ、そうなんですね。」
「ああ。とっても楽しかった。
幸せな記憶だ。」
ーそう思ってくれてたんだ。
私が実は優美だと伝えるべき?
「あ、あの」
「でも過去は過去だ。
実は少し前までこの思い出を引きずってしまっていた。
これからは今を大事にしようと思っている」
恭平様の真意はわからない。
ただ私にとっては大事な思い出が、
恭平様にとっては既に過去のものになってしまったようだ。
「だから君も… いや、まだ早いな。
なんでもない。」
恭平様が何かを話していたが、よく聞こえなかった。
私はショックを受けて、
どうやって恭平と帰ったのか、あまり覚えていなかった。




