目覚めてから1
ー目が覚めたらアチコチ痛かった。
えみりから聞いたところ、
1週間近く寝込んでいたらしい。
確かに寝ている間に、
お母さんや恭平様の声が聞こえた気がする。
そして、恭平様が謝ってくれる都合の良い夢を見た。
「なんか、すごく有り得ない夢を見た気がするわ。
…恭平様が私の部屋に来てくれた夢」
「昨日ご主人様が来られましたよ。
すごく心配されていました。」
ー恭平様が?夢ではなくて本当に??
『私は解放してほしいなんて思っていない。』
そう言っていたのは夢じゃないのかな?
思わず嬉しくなったが、
『俺は君を好きになることはない。
これからは、必要以上に話し掛けないでくれ』
と言われたことを思い出した。
ー好きじゃなくても、
熱で1週間も寝込んでいたら心配してくれるよね。
私は勘違いしそうだった気持ちを改め、
離縁届けがくるまで、恭平様に必要以上に関わらないようにしようと決めた。
ー元気になったことも伝わるだろうし、
食欲は出てきたため朝食は恭平様と取ろう。
えみりに朝食の件を伝えてもらい、
いつもの席に着くと、恭平様は既に席に座っていて、すごく暖かい表情をしていた。
「元気になったのか」
「おかげさまで…ご心配かけたようですみませんでした。」
正直恭平様が心配していたなんて信じられないが、えみりに言われたので伝えておいた。
「いや、大丈夫だ。
それよりも…今まで悪かった。冷たくして」
私は目を見開き、びっくりした。
夢と同じようなことを言っている…
「あとスープもケーキも美味しかった。
ありがとう。またスープを飲みたいんだが」
ーそうか。
大輝さんとケーキを作ったことがわかって誤解が解けたんだろう。
そしてスープを私が作ったこともわかったから、優しくしてくれたんだな。
…私のこと自身は好きな訳じゃなくても、
料理は気に入ってくれたみたいで良かった。
「良かったです。
今度料理人の方々にレシピを渡しておきますね」
「…そうか」
となぜだか恭平様は少し不服そうな顔をしているように見えた。




