スープ
ーそれから毎日、
ご飯のときは畑の話をした。
相変わらず普段は話し掛けても、
あまり話してくれないが、
畑のことだけは話してくれた。
「今日は雨が降るみたいなので、気を付けてくださいね」
「…ああ。」
これくらいの話はしてくれるようになった。
他の使用人たちに対しても、
最低限しか喋らないようだったので、元々無口なのかもしれない。
ーどうすればもっと仲良くなれるだろう?
自分で料理を作ってみようかな?
私は榊様にお願いし料理室に入らせてもらい、
夕飯に向けてスープを作らせてもらった。
「できた!このスープを一緒に夕飯に出させてもらってもいいですか?」
「もちろんですよ。美優様が作ったこと伝えて宜しいでしょうか?」
「それは秘密にしてもらえると、ありがたいです。
飲んでもらえなくなると、悲しいので…
もし飲んでもらえたら自分から伝えます。」
榊様は笑いながら、
「そんなこと有り得ないと思いますよ。
ただ秘密にすることは、承知しました。」
と言ってくれた。
いつもの豪華な食事とともに、
私の質素なスープが運ばれてきた。
飲む前に料理人が作ったものではないと指摘されてしまったらどうしようと思ったが、
恭平様は気付いていないようだった。
恭平様はスープを飲んだとき、
何も言わなかったが、無言でごくごくのみ、
いつもはしない、おかわりをした。
私は嬉しくなり、
「そのスープ、そんなにおいしいですか?」と聞いた。
恭平様は私の発言を勘違いされたようで、
「君みたいな貴族には口に合わないかもしれないな」と言われ席を立ってしまった。
ーせっかく仲良くなってきたのに。
余計なこと言った。
そう思いながらも、恭平様が綺麗に飲んだスープのお皿を見て、嬉しくなった。




