第96話 襲撃
こちらはカクヨムに掲載された修正版です。
原文ともによろしくおねがいします(*^^*)
「うがぁああぁぁぁぁぁぁ……どうか……どうかお許しくださいヨド様あぁああぁあぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぐもがあああっががっ!!????」
胴体がすべて石に変わり、口も半分ほど石化したところで止まった。
モコウは目から涙をボロボロと流し、細い息を吸っている。
蛇がシロの方へ向いた。
『お前たちは何者じゃ? この街の下級ではないようじゃが?』
「わ、私たちは孝ノ村からやってきた龍神様の眷属キャンッ!! レレになにしたの!! 元に戻しなさいよっ!!」
『……ほう、なるほどのう。その身の程知らずが騒ぎの原因とみた。で、あれば貴様の罪は上級の顔に泥を塗ったということだけになるのう?』
再び蛇はモコウに向き直る。
『本当ならば、貴様はこのまま砂にしてやるところじゃが……』
ガクガクとモコウが震える。
石になった体がピシピシと欠け、下半身の亀裂から臭い液体が流れてきた。
『一度だけ名誉挽回の機会を与えてやろう』
するともう一度、塔の上の美女が光り、
「……え? あ……や、やめろぉぉぉおおぉぉぉおぉぉぉぉぉぉワ……」
「ポチィッ!!」
今度はポチが石にされてしまった。
そして代わりにモコウの石化が解かれてゆく。
「がはぁっ!!!! ……はぁはぁはぁはぁっ……!!!!」
『小奴らを皆殺しにするのは容易い。しかしそれでは我らに楯突いた代償としていささか生ぬるい。なので貴様?』
「は、ははっ!!!! げほ、がほぉつ!!!!」
呼ばれたモコウはまだ息が整っていなかったが、そんなことはどうでもいいと地面に張り付く、そして蛇の言葉を待った。
『小奴らの村に攻め込み、皆殺しにしてまいれ。そして龍神とやらを生け捕って妾の前に引きずってくるのじゃ』
「――――はっ!! 承知いたしましたっ!!!!」
「な、なんですってっ!!!! そ、そんなことさせないキャンっ!!!! お前たちどうしてそんなひどいことするキャン!!!! ウチらがなにしたって言うのキャンっ!!!! ――――ギャッ!!!!」
信じられない話を聞いて喚き散らすシロ。
モコウは彼女をその大きな手で押しつぶすと、すぐに吊り上げて言った。
「下級はなぁぁぁぁぁぁ上級様の肥やしになるのが正しいありかたなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!! 対等に言葉ぁ使った時点でぇぇぇぇ死刑だっつったよなぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!! それを理解しねぇてめえらはお終いだって有り難いお話だぁごらぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「……そう言えばさあ?」
「なんでしょう弥生様」
いつもの給食室にて。
ヨーグルト作りに挑戦しているルルたちを眺めながら弥生はつぶやいた。
「レレたちってまだ帰ってこないのかな?」
「村を出て一週間ですね……。商談に手こずっているのか、それとも単純に迷子になっているのか……。なんにせよ苦労するのも勉強です。もう少し待ちましょう」
「大阪って上級亜人がいるんだにゃあ? ……大丈夫かにゃあ……。あいつら私たち下級亜人をゴミクズぐらいにしか思ってにゃいから……虐められてにゃいかにゃあ」
心配そうに空を見上げるルル。
窓越しに見える空はどんよりと曇っていて、よけい気持ちを不安にさせた。
「いざとなったら引き返してきなさいと指示してありますから大丈夫でしょう。彼らの逃げ足の速さは弥生様がよく知ってらっしゃるでしょう?」
「うん……まぁそうなんだけどね」
しかし反面、命令にはとことん忠実で不器用なのも知っている。
自分にビールを飲ませようと無理していないか、どうしても心配してしまう。
そのとき―――――ガラララララッ!! 「ほ、彭侯先生っ!!」
自警団の犬人が血相を変えて給食室に入ってきた。
「何事ですか騒々しい。ここは給食係以外立ち入り禁止です。ホコリが入るじゃありませんか?」
「も、申し訳ありませんっバフ!! し、しかし一大事なのでありバフ!!」
「一大事!?」
その慌てように、弥生たちは顔を見合わせ眉をひそめる。
またヒュドラークラスの魔獣でも襲ってきたと言うのだろうか?
「む、村の外にと、と、と、虎人の集団が現れましたバフ!! いまカワウソ人のロロ殿が相手をしておりますバフ!!」
「虎人? 相手って!?」
初めて聞く種族の名前。
弥生は彭侯に説明を求めた。
「……旧関西周辺に生息する《《上級》》亜人の一種です。彼らの目的はなんですか? まさか一食一晩の宿を要求しているわけではないでしょう?」
「はいっ!! あ……あの…………バフ」
かしこまるとその犬人は弥生を見て言葉をつまらせた。
「いいから言ってっ!!」
「…………は、虎人のリーダーは『モコウ』と名乗っており、その……や、弥生様を引き渡せと……」
「私を!?」
なんで? と困惑する弥生。
対して彭侯はスッ――と冷たい表情になり、
「…………わかりました、私が対応しましょう。あなたは村の反対側を警戒してください」
「了解バフッ!!」
敬礼すると、ボルドー・マスティフの犬人は急いで宿舎から出ていった。
「ねえ、避難ってなに!? なにが始まるの!!??」
立ち上がる彭侯の裾をつかむ弥生。
彼は珍しく激しい後悔の表情を浮かべ、謝った。
「…………申し訳ありません。どうやら私の考えが甘すぎたようです」
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