表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
87/130

第86話 作るよね!? 作ってくれるよね!??

こちらはカクヨムに掲載された修正版です。

原文ともによろしくおねがいします(*^^*)

「おおぉ~~~~~~~~っ!!」「にゃん」「みゃあ」


 3月も過ぎたころ。

 雪も落ち着いて、なんとなく春の息吹が聞こえてきそう。

 種を仕込んだ麦畑。

 雪を掘り起こしてみれば、中からじっと冷たさに耐える麦の新芽が。


「すごいわねぇ~~ちゃんと育ってくれてるねぇ~~~~」

「んにゃんにゃ」「んみゃんみゃ」


 健気に成長してくれている命にほっこり感動してしまう弥生。

 ルル、ロロの二人も涙を流して喜んでいる。

 他の畑でいろいろ冬の野菜は採れているが、穀物となればその重要性は格段に上がってくる。


「麦さえ無事に出来てくれれば、いよいよウチたち亜人の食料事情も安定するってもんだにゃあ~~♡」

「うむ。しかしいまでも充分に食べさせてもらっておるので拙者としては不満などなにも有りはしないがな、みゃあ」

「ばぁ~~か、それでも麦は保存できるからにゃ。いつでも食べられるエネルギー源としてめっちゃ重要だし、栄養価も他の野菜や肉、魚に比べてものすごいんだにゃ~~~~っ!!」

「え……えいようか? ルルはいつからそんな難しい言葉を使うようになったでござるかみゃあ?」

「ふふん。ウチはこれでも彭侯ほうこう先生の一番弟子にゃあ。普段から食についての勉強には余念がにゃいのだにゃあ。ね、弥生様?」

「え? あ、あ~~~~……そ、そうね、うんうん」


 ルルたちが彭侯の授業を受けているあいだ、弥生は半分寝ている。

 料理を作り始めてから起きて活動するのだ(試食係)。


「こ、小麦ができたらいよいよピザが食べられるわね。あとハンバーガーとかグラタンとか……とにかくレシピが劇的に増えるわよ。あ~~~~楽しみ~~」

「ウチはクッキーって言うものを作りたいにゃあ。甘くてカリカリで熱くなくて、猫でも食べやすいと彭侯先生が言ってたにゃあ」

「クッキー? 拙者たちは小麦などそのまま食べるしか知らなかったし、そんなに美味しいものとは思わなかったでござる。腹が膨れるから重宝はしたみゃあが」

「うん……たしかに。魔獣に怯える日々が続いていままで料理なんてろくにできなかったにゃあな。こうしてまた新芽を見ることができたのも、すべて弥生様のおかげにゃあ」

「うむ!! まっこと感謝してもしきれないでございみゃす!!」

「こぉ~~~~ら。だから、かたっ苦しい感謝はやめってっての。そいういのかえってしんどいんだから。こういうのは年に一度くらい、みんなで感謝し合うくらいがちょうどいいのよ?」

「ははぁ~~~~」


 言ってる側から平伏しているロロ。

 まぁこの子はこれが平常運転みたいだから、あまり気にしないようにする。


「でも私はあれだなぁ~~。麦って言えばやっぱりビールだなぁ~~……」

「ビール。でございみゃすか?」

「うん。大麦から作るお酒なんだけど、のどごしキリッと芳醇な香りで、どんな料理にも合うのよ。特に揚げ物には最強ねっ!!」

「そ、それは一度飲んでみたいでありますみゃあ」


 亜人たちは人間と同じくお酒も飲めるし、ちゃんと酔うこともできる。

 水陸両用のカワウソ人は特に強い。


「なんだけどね。ホップっていう香草?がないと作れないのよ」

「ははあ……ホップでございますか……? 聞いたことのない植物でございみゃす」

彭侯ほうこう先生ならきっと知ってるはずにゃあ?」

「だと思うんだけどね。どうするつもりなんだろう。……まさかビールは作らないなんてこと……ないよね?」


 そう考えると俄然心配になってきた。

 弥生は立ち上がると、思惑を確かめに宿舎へと歩いていくのだった。





「ええ。ちゃんと考えておりますよ?」

「そうなの……ホッ。 で、どうするの!?」


 子供たちに読み書きの授業をしていた彭侯先生。

 休み時間を見計らってとっ捕まえ、話を聞いた。

 栽培するにしても種を準備している気配もないし畑だって区切っていない。


「栽培はしませんよ? いまからじゃとうてい間に合いませんからね」

「はぁ!? じゃあどうするの!?? まさかやっぱりビールは……」


 いまにも泣きそうな顔をする弥生。

 彭侯は慌てて首をふり、状況を説明した。


「細かい説明は省きますが、ホップというのは苗の定植から十分な収量を確保できるまでに3年はかかります。 弥生様の恩恵のある土地で私が能力ちからを込めれば初年度からの収穫も可能でしょうが、それですと亜人たちの自立を邪魔することにもなりますので過度な力添えはなるべく控えたいと考えております」

「うんうん、で、で、で、で、で、で??」


 結局どうなんだと圧をかけてくる弥生。

 ビールは作れるのか? 作れないのか?? それだけが知りたい。


「作ります作ります、そこはご安心ください!! いま使いの者を向かわせておりますので」

「使いの者?」

「犬人のレレ。あとポチとシロです」

「ポチとシロ……ああ~~あの柴犬とチワワの子?」


 たしかレレの部下だった子たちだ。

 以前一緒に収穫に行って、象豚にこてんぱんにやられてた。

 そのあと武器を作ってあげて、いまは結構な戦力になっているはずだ。


「はい。彼らにちょっと大阪の方まで商談に行ってもらっています」

「大阪!?? 商談????」

「ええ、大阪はいまの時代でも大きな街がありまして。そこならばたしかホップを取り扱っている店もあったと思います。出回るのは夏頃ですが、まとまった数が必要ですのでいまのうちに予約しに行ってもらってるのです」


「あ~~~~仕入れるのね?」

「ええ、その方が手っ取り早いですし。他との交流も覚えていかねばなりません」

「なぁ~~んだ、そっかぁ。そういうことならわかった、安心した。……でも大丈夫なの? レレたちだけに行かせて」


「危ないと感じたらすぐに逃げてきて良いと命じてあります。弥生様の作られた武器もありますし、きっと大丈夫でしょう」

「そ、そぉかぁ~~~~……そうよね、うんうん……」


 なんて彭侯は言うが、なんとなく嫌な胸騒ぎがする弥生であった。

お読み頂きありがとう御座いました。(*^^*)

連載状況の方はツイッターでもお知らせしておりますので、そちらも合わせてお願い申し上げます。

https://twitter.com/t8XlRA1fFbmAm86


                                         盛り塩

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ