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第61話 なにそのトリ

こちらはカクヨムに掲載された修正版です。

原文ともによろしくおねがいします(*^^*)

 そしてとっとと樹海にやってきた弥生。

 レレたちに案内させて卵の場所までやってきた。

 そして弥生は無言で言葉を詰まらせた。


「………………た」

「た?」

「………………たま」

「たま?」

「………………たまごってアレのことかい?」


 汗だくだくで弥生が指差すその先。

 樹海の木々の真ん中にゴロンと無造作に転がっているそれは正しくニワトリの卵。

 ただし、大きさがおかしかった。


「……なにアレ? ワンボックスカーくらいあるんですケド?」

「ワン……ボックス、ワフ??」


 聞き慣れない言葉に首をかしげるレレ。

 弥生は目をこすりつつ、


「私の知ってる卵って……大体こんなものなのよ?」


 指で輪を作り、知っている鶏卵の大きさを説明した。

 だけどもレレとシロはお互いを見つめながら。


「いえ、ニワトリの卵と言ったら《《まずは》》いつもあのくらいの大きさワン?」

「そ……そうなの……?」


 でた。また魔獣お決まりの巨大化パターンだよ。

 卵であの大きさなら親鳥はきっと恐竜くらいのバケモノだろう。

 アルゼンチノサウルスとニワトリが合わさってチノトリとか言い出しそう。

 アクシデントとはつまりその親鳥に攻撃されて手が出せないとか、そういうことなんだろうな。弥生は推察するが。


「正確にはニワトリじゃなくて風船ニワトリと言いますワフ」


 意外と気の抜けた名前を持ち出してきたレレ。


「ふう……え、なに? なんて?? ふう??」

「風船ニワトリ、ワフ」

「意味がわからん」

「親鳥の大きさは実はこんなものワフ」


 前足で、地面よりちょっと上がったところを差すレレ。

 それは弥生の知っている、まさにニワトリの身長くらい。


「……うんそうね、ニワトリって大体そんなもんよ。……え? 待って、じゃあどうやってあの卵産んだわけ??」

「そこが名前の由来ワフ。親鳥は卵の成長に合わせてお腹がめちゃめちゃ膨らむんだワフ。生む直前にはアレにくちばしと足が足が生えたような感じになるんだワフ」

「…………………………………………くくっ!!」


 説明の通り想像してみたら笑ってしまいそうになる弥生。

 しかしまだまだ解せないことはある。


「そして生み終わったらまた元の大きさに戻ってどこかに消えるんだワフ」

「どこかって……え? 卵ほったらかし??」

「ワフ。 危険の多い野生で卵を守り切るのは至難の業でありワフから、そういう種族もいるんだワフ」

「じゃあなに? アクシデントって親鳥が攻撃してくるとか、そういうのじゃなかったの??」

「もちろんワフ。弥生様のおかげでパワーアップした我ら犬族。風船ニワトリなんぞに遅れなどとらないワフ!!」


 誇らしげに胸を張っているが、そりゃ膨らむだけの小動物に負けるわけない。


「じゃあなんなのよ一体……?」

「……単純に重くて運べなかっただけワン……」


 キュゥ~~~~ン……と申し訳無さそうに尻尾を下げるポチ。

 ガクッとズッコケル弥生。

 まぁ……たしかに……。

 あの大きさだったら10トンは下らないだろうし、転がすにしても木々が邪魔で無理そうだ。

 よく見ると巨大卵の側には壊れた大八車が転がっていた。

 シロたちなりに頑張ったのだろうが車の強度がもたなかったようだ。


「てか……そもそもなんでこんな大きいの??」

「生存確率を上げるためワフ。あれ一個からヒヨコが5万羽ほど生まれるワフ。生まれたら一斉にどこかへ逃げて、運の良いやつだけ生き残れるワフ」

「……マンボウか。まぁ……いいわ……」


 あまり細かいことを考えていてもしょうがない。

 さっさと龍の姿になって持ち帰ってあげよう。

 変身しようとする弥生だが、


「ちょ、ちょっと待ってほしいワフ!! そ、それだと弥生様に荷物運びをさせてしまうことになるワフ!! それはできないワフ!! 彭侯ほうこう先生にも怒られてしまいますワフ!!」

「え~~~~……? じゃあどうするの金属製の大八車でも作る?」


 しかしそれだと車自体の重さが相当なものになる。

 おまけに前回とは違い、ここは樹海のかなり奥。

 木の根っこやら倒木やら岩やら障害物が山ほどなうえに、そもそも道なんてものも存在しない。

 からならまだしも荷物を満載した大八車を引いて帰るのは無理そうだ。


「今後のことを考えると道を作っといたほうがいいのかしらね?」


 食料確保のため、樹海にはこれからもずっと通うことになるだろう。

 それを考えると今のうちに効率の良い運搬手段を確立しておくのは、村作りにとって重要なことと言えるだろう。


「とはいえ道ってのは大仕事だわね……」


 土を平らにならして石を敷き詰める。

 それを孝ノ村まで繋げるのは……まぁ、やれないこともないけども、そこまでする必要はない気もする……。


「ようは荷物を運べればいいわけだしね。それなら――――」


 何かをひらめき、能力を使う弥生。

 とたんに地面が蠢いて鉄が生み出され、無数の棒状に変化する。

 それが延々と繋がって二本の対になり、さらにその上に鉄製の車輪の付いた箱を乗っけると――――、


「……弥生様、これは何なんワフか??」


 はじめて見る奇っ怪な道具に首を傾げるレレ。

 弥生はやれやれと大きく息をつくと犬人たちに説明してあげた。


「これはねトロッコっていう、とっても便利な運搬器具よ」

お読み頂きありがとう御座いました。(*^^*)

連載状況の方はツイッターでもお知らせしておりますので、そちらも合わせてお願い申し上げます。

https://twitter.com/t8XlRA1fFbmAm86


                                         盛り塩

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