第52話 レレたちの実力
こちらはカクヨムに掲載された修正版です。
原文ともによろしくおねがいします(*^^*)
「よしよし、里芋はこれで充分かしらね? ……あとはキノコだけど……」
弥生とレレは芋掘り。
レレの部下二人はキノコ探しに行っている。
あまり遠くへ行ってはダメですよと忠告はしておいたが、気付けば二人の気配は側になかった。
「ありゃりゃ? もしかして遠くに行っちゃった??」
「ワフ~~。奥からキノコの匂いがしてくるワフ。きっとそっちに向かったワフ」
鼻をヒクヒクさせながら、樹海の奥を嗅ぐレレ。
部下の二人はポチとシロ。犬種は柴とチワワだった。
いちおう自警団の一員で亜人の中では強い方らしい。
なので多少の魔獣には対処できると聞いていたが……。
「大丈夫かな?」
「少しくらいなら大丈夫だと思いますワフ。二人も弥生様にいいところを見せようと張り切っているワフ」
「……だったらいいんだけどね」
なんとなく嫌な予感がする弥生。
すると、
「きゃいーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!!!」
案の定、奥の方から犬の悲鳴が聞こえた。
「あ。やっぱりダメだった?」
顔を見合わせる弥生とレレ。
しばらくして――――どどどどどどどどどどどどどどどどどどっ!!!!
獣がたてる激しい足音と、
『ぶるるるるるるるるるるるるるるるるるるっ!!!!』
聞いたことのある豚の鳴き声が響いてきた。
あ~~~~この声はアレだなと思ったところでバキバキと木がなぎ倒され、二人の犬人と一匹の大きな象豚が飛び出してきた。
犬人たちは涙目になって必死の形相。
「も、申し訳ありませんワン、魔獣に見つかってしまったワンッ!!」
「レレ、これどうすればいいキャンッ!? 逃げるキャンッ!?? 逃げるしかないキャンっ!!」
「馬鹿者ぉ~~栄えある自警団の一員がなにを情けないことを言ってるワフ。そのくらいの魔獣、お前たちだけで退治して見せるワフ~~」
「無理キャンッ!! 自分だっていっつも敵わなくて逃げ回ってたキャンッ!? 自警団になったからって急に強くはなれないキャンッ!!」
「ひと噛みしてみたけど、分厚い皮にまったく歯が立たなかったワン!!」
それはそう。
つい先日まで、この魔獣にもいいように餌を取られまくっていたのだ。
弥生様や彭侯に仕えるようになってもそうすぐに変われるわけではない。
「しょうがない。じゃあ私がちょちょいと」
やっつけてやりますか。
ポキポキ指を鳴らす弥生だが、そこにレレが前に出て、
「いいえ、彭侯先生からの言いつけもありますワフ。ここは僕たちだけでなんとかしてみせますワフ」
などと勇敢なことを言ってみせる。
象豚は二人を追いかけるのを止めて急に立ち止まった。
弥生の絶対的強者オーラに反応したのだ。
そこをレレ、ポチ、シロの三人が取り囲んだ。
『ぶるるるるるるるるるるるるるるるるるるっ!!!!』
「「「……ぐるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっ!!!!」」」
にらみ合う一頭と三人。
弥生は腰が引けているポチとシロに向けて激を飛ばす。
「はいはい、ここで勝ったら後でお腹ナデナデしてあげるから頑張んなさいよ~~」
「「「――――っ!?」」」
なんですと!?
龍神様からのお腹ナデナデ!??
これ以上ない名誉で魅力的なご褒美!!
さっきまでの及び腰はどこへやら、二人は尻尾をピン立てし俄然戦闘態勢に入る。
「や、や、弥生様、ぼ、ぼ、僕は僕はっ!?? ワフッ!??」
チンチンのポーズで興奮しているレレ。
二人ばっかりズルいと、こっちも別の意味で涙目になっていた。
「……もちろんあんたもワシャワシャしてあげるから、その顔止めなさい」
「聞いたワフな二人とも?」
「おう……こいつは負けられねぇワン……」
「ナデナデ、ワシャワシャ、ナデナデ、ワシャワシャ……ペロペロ、キャン」
「ペロペロはダメよぉ~~~~」
『ぶるるるるるるるるるるるるるるるるるるっ!!!!』
雰囲気が変わった犬人たち。
象豚はそれを敏感に察知して威嚇を強めてきた。
「我ら犬人の本気の力……いまこそ見せてやるワフよ!!」
「ワンッ!!」「キャンッ!!!!」
闘志に燃えるレレ。
それに力強く応えるポチにシロ。
三人はジリジリと間合いを詰めて――ピヨ――小鳥が鳴いた瞬間、
――――ダッ!!!! 一斉に飛びかかったっ!!!!
先頭がレレ、その影にポチとシロが隠れるっ!!
「おおっ!?」
なにやら技っぽいフォーメーション。
手に汗を握る弥生。
頭を低くし、それを迎え撃つ象豚。
大型魔獣と下級亜人。
二種の譲れない縄張り争いがいま始まった。
――――開始後一分……。
「キャイィィィィ~~~~~~ン……」
『ドロゥロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロッ!!!!』
ドンドコ、ドンドコ、ドンドコ、ドコドコッ!!!!
勝負は一瞬でついてしまった。
象豚の圧勝。
三匹は勇敢に飛びかかっていったが、そもそもいくら噛んでも皮膚を破れない。
その上、圧倒的体重差の体当たり&足蹴りを食らってしまい、それで終わり。
象豚は勝利の雄叫びと、なんの仕草か地面をドンドコ踏み荒らしている。
技などなかった。
ただ闇雲に突っ込んだだけである。
「……ちょっと……大丈夫かねチミたち?」
打ち倒され、ボロ雑巾のように転がっている三匹。
木の鎧もバキバキに割れてしまっている。
小枝でちょんちょん突いてくる弥生に、レレは涙目で返事した。
「うぅぅぅぅぅ……な……情けないワフ……。あんなやつ……牙さえ通用すれば負けやしないのにワフ……」
「牙ねぇ……」
『ぶるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっ!!!!』
象豚は弥生を警戒しつつもその場から離れていかない。
その獲物を狩ったのは自分なのだ。食う権利は自分にあると主張しているようだ。
「バカねぇ。そこは欲を出さずに逃げとけばいいものを」
勝負は下駄を履くまでわからないものよ?
そうつぶやいて、弥生は能力を使った。
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