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第29話 魔獣とは

こちらはカクヨムに掲載された修正版です。

原文ともによろしくおねがいします(*^^*)

「うおぉぉぉぉぉぉぉ人参げっとぉっ!! 玉ねぎげっとぉっ!! 長ネギげ~~~~~~~~っとぅっ!!」


 翌日、北の樹海にて。

 弥生と彭侯ほうこうの二人は今日も食材探しを続けていた。

 やはり森は平地と違って実りが多い。

 すでに新たなじゃがいもの群生地とゴボウを見つけていた。


「やりましたね。じゃがいも、人参、玉ねぎは三種の神器ですから。これでまた料理の幅がぐっと広がりますよ。とりあえず豚肉の肉じゃがでも作りましょうか?」

「まじでーーーーーーっ!! やったぁ~~~~~~~~っ!!!!」


 わんぱくボウズの弥生は肉じゃがと聞いて大はしゃぎ。

 さっそく袋いっぱいに詰めはじめた。


「でも、あれじゃん? 魔獣の住処っていっても全然襲われないね? 本当にここそんな物騒な森なの??」

「みんな黄龍やよい様の気配に怯えて隠れているのかもしれませんね」

「ところで、聞きそびれてたんだけど。魔獣ってなんなの普通の動物と違うの?」


 あらためて聞かれ、少し考える彭侯。


 いろいろ区別はある。

 あるのだが、それは今の時代の人族ひとぞく(亜人)が勝手に決めたことで、彭侯的にはあまり興味がないことだったので実はあまり詳しく知らない。

 ただ今の時代に生きる便宜上わけたほうがいいと思ってそう言っているだけ。


「大雑把に言うと、旧人類滅亡以降に突然変異した種を魔獣と言います。……ただ、一般的にはその中でも凶暴で人族にとっての脅威になるものを魔獣と表現していますね」

「へ~~~~~え、だったらあれとかは魔獣なんだけど、一般的にはただの動物って感覚?」


 言って弥生が指差すのは、木陰に隠れこちらを警戒する可愛いモコモコ。

 サソリの尻尾を持った『狸モドキ』

 目覚めてからしばらく主食として腹を満たしてくれたありがたい小動物である。


「そうですね。あれも魔獣ですが魔獣と呼ぶものはいません。たんなる動物です」

「じゃああれは?」


 今度は枝の上でどんぐりをコリコリやっているリス的なモコモコ。

 背中にコウモリの羽根が生えている。


「コウモリスですね。あれはよくペットとしても可愛がられているようです。もちろん動物呼びされてますよ」

「ふ~~~~~ん。ま、ようするに危険なものは魔獣。そうでなければ動物ね」

「ですね」


 そう言い切ってしまうと弥生にとってはこの世界に魔獣などいないということになってしまうが、それは目線が高すぎる。

 あくまで人族基準での判断だ。

 なかには魔法や特殊スキルを持つものもいるが、それでも黄龍にとっては小動物と大差ない。


「あと魔獣は――――」

「じゃあ、あいつは?」


 話を続けようとした彭侯。

 それにかぶせるように弥生が指差す新しい影。


 ――――ぐるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる。


 物騒な唸り声をあげているのは巨大な熊。

 全身に針のような硬質の毛を逆立たせた、見るからに凶悪そうなモンスター。

 彭侯はため息ひとつ。


「……あと、やはり魔獣はそいつのように〝身の程知らず〟が多いです」





「……こいつ、食べられるのかなあ?」


 土の壁に無数の針が刺さっている。

 何事もなかったかのように死骸をつま先で突っつく弥生。

 その体には汗一つ浮かんでいなかった。


 針ヒグマ。体長5メートルぐらい。

 ヒグマとハリセンボンが合体した魔獣。

 鋼鉄並みに硬くした体毛を無差別に射出し敵を攻撃する。

 筋力もすごく、腕の一撃で大木をもなぎ倒す。

 しかし黄龍の相手にはならない。


「匂いが強く、味にクセがありますが、味噌や生姜で調理すれば美味しく食べられますよ」


 針避けに出現させた土壁の向こうから彭侯が教えてくれた。

 周囲の木々も針だらけになって、流れ弾に当たってしまった小動物や鳥たちが一面に転がっていた。

 その惨劇を起こした本人は例によって岩の槍で串刺しにされている。

 鎧代わりにもなるはずの針毛だったが、その気になればダイヤクラスに硬くできる槍の前にはただのモフ毛同然だった。


「……まぁ、一石二鳥というか三鳥というか……。でも魔獣ってさ、なんでどいつもこいつも大きいわけ?」

「それは……単純に大きい方が強いですからね。弥生様も元のお姿は大きいでしょう?」

「う……ま、まぁそれはそうか……」

「とはいえ小さくても強い魔獣もごくたまにおりますからご注意ください」

「じゃあ私、龍の姿でいたほうが舐められないでいいのかなぁ? そうする?」

「……やめといたほうがいいと思います。先程も申したとおり魔獣は見境のないものが多いですからね。目立てばそれだけ群がってきますよ?」

ちまたの不良みたいね……」

「ああそう、そんな感じですね。関わらないほうが賢明です。見つかったら火の粉を払う感じでお願いします」


 小動物たちを回収し、針ヒグマをかかえた弥生。

 今日はもう充分でしょうと龍に変身して飛び立った。

 針ヒグマの肉は良いところだけ切り分け保存して、残りはまた亜人たちの村に爆撃してあげた。




お読み頂きありがとう御座いました。(*^^*)

連載状況の方はツイッターでもお知らせしておりますので、そちらも合わせてお願い申し上げます。

https://twitter.com/t8XlRA1fFbmAm86


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