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駐屯地強襲 その2

目の前に敵。俺を薙ぎ払おうとするドロイドの足を避ける。銃弾を撃ち込む。

排莢。排莢するときの「ジャキッ」という音が、さっきから耳にこびりついて離れない。

背後に敵。

振り返って撃つ。

かがんでパイルを回避。

危なかった。


時々サバルの機関銃による援護射撃が飛んでくる。

狙いは正確だ。敵をどんどん倒してる。

新しい敵が三体。

こっちへ来る。いちいち排莢してたら死ぬ。

一発撃って、ショットガンで敵を殴りつける。

ドロイドの足の下にグラップリング。

手榴弾のピンを抜きながら接近。鋭い足の攻撃を避け、体の下へ。

手榴弾を捨てて転がりながら出る。

敵が吹き飛んだ。

まだまだ。


撃つ。撃つ。撃つ。ひるがえって撃つ。

避けて、走って、また撃つ。

二回の実戦と、日々の訓練で体に染み込んだ動きは一切の無駄なく敵を葬って行く。

どのタイミングで撃ち、どのタイミングで避けるかは脳が覚えてる。

グラップリングフックを引っ掛け、フルスロットルで叩きつけ、ブーストで避ける。

弾が切れれば一発一発装填してまた戻る。

繰り返す。


気分が高揚している。戦場の支配者になった気分だ。戦場では誰しもに死の恐怖が与えられる。男も女も、新兵も熟練兵も皆平等に命令で突撃して死ぬ。


昔、戦場で生き残れるのは運の良いやつか強いやつだとアカデミーの教官に言われたことがある。

そういう意味なら、俺は運が良いやつかもしれないし、初陣のときは俺が運の良いやつであることを精一杯祈った。


でも、努力と経験次第で生き残る確率は上がると今になって思う。実際、今の俺がそうだ。

運良く生き残るのではなく、自力で強いやつになって生き残る方がいい。

努力って素晴らしい。

俺は学生時代は努力が何より嫌いだったが、今は毎日努力してる。

大きな進歩だ。


俺の周囲はバックショット弾の薬莢でいっぱいだ。

酷使された筋肉が悲鳴を上げている。

HUDの敵の反応はまだ無数にある。どれだけの規模で奇襲しにきたのか検討もつかない。

上空ではいつの間にか飛び始めたウォーバードが滞空し、地面に向かって銃弾の雨を降らせている。


最後の手榴弾を目の前に投げる。弾薬盒に手を突っ込み、バックショット弾を掴む。

残弾数は八発。SPAS12の弾倉は今空だ。


ここに来て攻撃手段が無くなりかけている。

機械化装甲歩兵が最終的に頼りにするのは俺が取り外してしまった榴弾砲だ。

装備の変更が許されているとは言え、これを外す兵士は中々いない。何とかなるだろうと思っていた自分を恨んだ。


連射力は皆無だが威力は強く、歩兵が携帯出来る兵器の中では最大級の威力を持っていた。

俺はSPAS12があれば十分だったし、グラップリングフックがつけられないからと、取り外してしまった。

兵装を取り外すと言うことは、その分戦術や攻撃手段も減ると言うことだ。

だがまあ、そんなことを言っていても仕方ない。

ここは戦場だ。どうこう喚いたところで状況は良くなってはくれない。


息を吸う。吐く。弾丸を装填。

レーダーに表示されている点を見て、どいつを仕留めようか考える。

決めた。あいつにしよう。


そう思って駆け出そうとすると上空で大きな音が響いた。

上を見れば、さっきまでありったけ銃弾を撃っていたウォーバードの左翼から黒煙が上がっていた。可動翼のローター部分をパイルに撃たれたようだ。

そのまま徐々に高度を落としていく。こっちに向かって落ちてきているように見える。

いや、見えるんじゃなく、本当にこっちへ墜落してきている。


「おいおいおい、マジかよ···」


そう呟き、俺は墜落してくるウォーバードから逃げるように走り出す。

勢いよくブーストし、横に脱出。ウォーバードは轟音とともに墜落し、辺り一面に土埃が舞う。

つい咳き込んでしまう。


そう言えばサバルは?


さっきまで後ろの方で機関銃を撃っていたはずだ。

後ろにいたということは、ウォーバードがそこに墜落したということだ。

さっきまでレーダーにあったサバルのスーツの反応が無い。

俺の脳裏に最悪の事態が思い浮かんだ。


急いでウォーバードの残骸に駆け寄る。


「おいサバル!無事か!?」


そう叫ぶも返事がない。

残骸をどけようと手を伸ばす。

その瞬間、右腕をこぶし大の物体がかすめる。

金属同士が当たる甲高い音。右腕の装甲が一瞬にして半壊した。パイルだ。


レーダーを見れば背後に敵の群れ。

モタモタしてる暇はなかった。


二十話目です。

感想、ブックマーク待ってます。

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