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7話 エメラルドの契約

※今回は7000文字程度と長編になっています。

時間に十分な余裕を持ってお読みください。

ギルバートの苦労が絶えない様子を見て、ふとレミリオは思った。

「深い意味はないんだが、ギルバートはこの屋敷の使用人を辞めたいと思ったことはないのか。」


レミリオの言葉にギルバートは当然と言う様に即答した。

「ありませんよ。私が居なくなったら旦那様はまともに生活できないでしょうし、何より血の契約を交わした間柄ですから。」


それを聞いたローレンスは不満げに小さく頬を膨らませて反論するものの、あっさりと言い返されてしまう。

「えー、それでは私が何もできないただの戦闘狂みたいに聞こえるじゃないか。」

「事実でしょう。私が数日屋敷を空けた時なんて、掃除も洗濯もやりきれずに暗い廊下の真ん中で空腹で倒れていたではありませんか。私は忘れていませんからね。」

「お、思い出させないでくれよ、恥ずかしいな…。」


あっさりと敗北を認めたローレンスは頭を抱えると、そんな彼とは逆にギルバートは勝ち誇った顔をする。

そんな二人を見てレミリオは察した。


彼らは主と使用人という関係以前に、共に生活する家族という関係があるのだろう。

見る限りではギルバートが母親といったところか。


レミリオは二人のやり取りを微笑ましく思った。

しかし、それと同時に気になることがある。

「血の契約、そんなものがあるのか。」


呟きにも似た彼の言葉にローレンスとギルバートはいつもの雰囲気に戻った。

そしてギルバートは口を開く。






ギルバートには幼い頃からとある悩みがあった。


彼の本来の種族は死神(グリム・リーパー)

両親も同種族でその血を引き継いだのである。

しかしギルバートには両親とは違うところがあった。


二人の先祖のうちの誰かが虫の魔物だったのだろう。

目の縁を埋め尽くす様に無数の目玉がついていた。

それらは一つ一つが別のものを見ている。


それに気付いた両親は、彼を決して愛していないわけではなかったがそれでも気味悪がった。

何を見ているのか、何処を見ているのか。

彼以外はわからないのである。


両親はギルバートが生まれてから、彼を一歩も家の外に出すことはなかった。

周りの者の目が気になったのだろう。

両親には愛しているから外へは出したくないのだと教えられたが、歳を重ねるにつれて好奇心が増していく。


そしてギルバートはついに働けるほどの年齢になり、両親が家を留守にしている間にこっそりと家を抜け出したのだ。

それが間違いだった。


初めは普通に街を歩いて出店に立ち寄ったりしていたギルバートだったが、暫くして周りの者が自身を避ける様に道の端へ寄っていることに気付いた。

彼らは此方を見ながら何やら話している。


そしてギルバートはその場に立ち止まった。

性格の悪い貴族の夫人がわざわざ聞こえるように言った言葉を聞いてしまったのだ。


「あの目、虫の様で気味が悪いわ。あんなものを晒して出歩くなんて、恥ずかしくないのかしら。」

「あの身なり、鏡を買うお金すら無いんじゃないかしら。可哀想に。」


クスクスと嘲笑う声が聞こえる。

ギルバートの無数の目は、彼らの恐れる様な顔を映した。

埋め尽くされていく、嘲笑と恐怖に。


気付いた時には既に走り出し、来た道を引き返していた。

外に出なかったせいで体力不足だったが、そんなものは関係ない。

この目が映し出す全てから逃げたかった。


家に帰ると両親はリビングにおり、ギルバートがいないことを心配している様だった。

ギルバートは呼吸の治まらぬうちに問う。


「父さん、母さん、僕の目は気味が悪いのか。今まで外に出るなと言ったのは、こんな恥ずかしい姿を晒させないためだったのか。」


それを聞いた両親は驚いた様に顔を見合わせ、先に答えたのは母の方だった。

「…そうよ、貴方をこんな姿にしてしまったのは私達の責任だわ。私、子供なんて産まなければよかったのね…。」

「何を言っているんだ、母さん!ギルは俺達の宝だ。そんなことを言わないでくれ!」

「そうよね、ごめんなさい。…ギル、貴方を愛しているのは本当よ。だからこそ外には出てほしくなかったの。きっとその目のことを知ったら、傷付いてしまうから。」


両親の気持ちは尤もであり、こういう愛のカタチもある。

しかしこの時のギルバートには受け入れ難いことだった。

ずっと普通だと思っていたこの目は、自分しか持ち得ない醜い目だったのだ。


俯いたギルバートは小さく呟いた。

「っ……もう、わかったよ。僕がこの家にいたら父さんも母さんも苦労するだけだ。二人を困らせるくらいなら、僕は…!」


その言葉を最後にギルバートは家を飛び出した。

背後から母の泣き声と、父の引き止めようとする声が聞こえる。

それでも夢中になって人混みを掻き分ける様に走った先の森の中へと入った。


彼に魔獣出没の注意を促す看板は見えていない。

誰もいない、王都と違って薄暗い森の中。

ギルバートは独り、膝を抱えて泣いていた。


ひたすら泣いていたギルバートだったが、辺りの様子がおかしなことに気付いた。

やけに静まり返った森の中。

何かが低く唸る様な声と、草を踏みしめる複数の足音が彼を取り囲む。


聞き慣れない音に神経を研ぎ澄ましたその時だった。

暗闇の中で何かが赤く光ったと思った瞬間、影に紛れる様な黒いハウンドの群れが襲いかかってきた。

慌てて立ち上がり、運動に慣れていない身体で必死に抵抗する。


誰もいない場所に行きたいと思ったが、こんな目を持っていても両親は大切に育ててくれた。

死にたくない、まだ死ぬわけにはいかない。


腕や脚に喰らい付いてくるハウンドを必死に振り払う。

しかしこのままではいずれ噛み殺されてしまうだろう。


誰か、誰か……誰か助けて!!


群れの中で一際大きなハウンドが飛び上がり此方に迫ってくる。

ギルバートの脳内を走馬灯が駆け巡る。


嗚呼(ああ)、僕はここで死ぬのか。

父さんと母さんにまだ何も言えていないのに。

こんな別れ方になると知っていたなら____。



死を悟ったギルバートがぐっと強く目を瞑った瞬間、生温かくドロドロとした液体が全身にかかる感触に驚いてすぐさま目を開ける。

視線の先では目の前に迫っていたハウンドが縦に真っ二つに斬られた状態で地面に倒れ伏していた。


仲間の死に怯んだハウンド達は、獲物を諦めると森の中へと消えて行った。

目を閉じた一瞬で何が起こったのか理解が追いつかず唖然として真っ二つになったハウンドを見詰めていると、視界に誰かの足元が映った。


「すまない、遅くなってしまった。かなり傷を負ってしまったようだが、貴方が無事で本当によかった。」


冷たさの中に優しい人柄を思わせるその声を追う様に、ギルバートは目の前の男に顔を向けた。

すると男は驚いた様に目を見開いて此方をじっと見詰めた。

きっと、この目のせいだ。


すぐに原因がわかったギルバートは、それを隠す様にぱっと目を伏せた。

「ありがとう、御座います…。こんな傷はすぐ治るので、この気味の悪い目が見たくなければ早く僕から離れた方がいいですよ。」


先程のこともあってか、ギルバートは無愛想にそう言って男に背を向けた。

男はそれを聞いて何やら思案する様に黙っていたが、突然変なことを言い出した。


「そうだね、貴方のその目は気味が悪いほどエメラルドの様に美しい。いつその宝石を狙って魔獣が襲いに来るかわからないから、ひとまずついておいで。」


そう言って男はギルバートに歩み寄るとその手を引いて森の外へと連れ出した。

一方ギルバートはといえば、両親にすら言われたことのない言葉に驚いて放心状態になってしまった。


手を引かれるまま森を抜けると、いつの間にか青い月が出る時刻になっていた。

月明かりに照らされた男は、よく見ると鎧を身に纏っている。

真っ黒な髪とその鎧をハウンドの血で染め、此方を振り返った彼の瞳はルビーを嵌め込んだかのようだ。


不気味なほどに整った顔立ちの彼は、ギルバートの傷口に手をあてた。

すると全身が淡い光を帯び、先程まで痛んでいた傷口がみるみると塞がっていく。


初めて目にした魔法にギルバートは驚いて身体中の傷があった部分を見回し、顔を上げるとローレンスに視線を向けた。

「傷が、治った…。今のはどうやったんですか。薬も何も使わなかったのに。」


その言葉に普段から魔法を使い慣れている男もまた驚いたような、それでいてきょとんとした顔をした。

「今のは回復魔法だよ。庶民はあまり見ないかもしれないけれど、存在くらいは知っているものでは……。…とにかく、貴方のその目は生まれつきなのかな。」


身長や振る舞いからして恐らく同い年か歳下であろう彼は、興味深そうに此方の顔を覗き込んでくる。

ギルバートは街で向けられた視線がトラウマになってしまい、反射的にぎゅっと目を閉じた。


「離れていても何処からでも自分の知っている場所なら見える。僕はそれが普通だと思って今日まで過ごしてきた。でも、違ったんだ。みんな僕の目を見て怖がって…。」


ギルバートは思わず両手で自身の目を覆った。

こんなもの、無くなってしまえばいいのに。


「へぇ、面白いじゃないか。その力、私の為に使ってはくれないか。そうしていれば、きっと貴方はいつかその目を誇りに思えるはずだよ。」


後になって思えば、彼のセリフはまるで純粋な青年の力を利用しようとする悪役の様だ。

けれどそんな彼の言葉を何の躊躇いもなく信用できたのは、此方を見詰める宝石が優しい輝きを帯びていたからかもしれない。

ギルバートは彼の提案に迷うことなく頷いた。



ギルバートが屋敷に来た時、そこにはローレンスしか住んでいなかったせいか真っ暗でもの寂しげな場所だった。


二人で生活するようになってわかったことは、ローレンスはこの魔界の騎士団の中で最強とされる第一騎士団の団長であること。

そしてその第一騎士団の団長様ともあろう方が、生活能力が最弱であったということ。


生活感のない屋敷の中にはキッチンも洗濯場もなく、聞けば全て職人に任せていたのだと言う。

呆れたギルバートは家で母の家事を手伝っていた経験を活かし、屋敷から出ることなく家事のサポートをしていた。


ギルバートが自身の家を出てから一週間。

屋敷での暮らしに慣れた頃、ローレンスからプレゼントだと言われて黒縁の眼鏡を渡された。


視力に困っていないギルバートはどう扱えばいいかわからなかったが、せっかく贈られたのでかけることにした。

何の変哲もないただの眼鏡。

かけても視力が更に良くなった様子もない。


ローレンスの意図がわからず戸惑っていると、彼は何故かニヤニヤとしながらギルバートの手を引いた。

「ギル、外に出よう!買い物をしよう!散歩をしよう!」


まるで少年の様に誘う彼であったが、ギルバートは気が気ではなかった。

またあの日を繰り返してしまうかもしれない。

「い、嫌です!またあんな目を向けられるのは、絶対に嫌なんです!!」


ギルバートの不安をよそにローレンスの力は強く、半ば引っ張り出される様にして街まで連れられてしまった。

そこまで目を閉じて手を引かれるままに進んでいたが、突然手を離されてしまった。


支えを失ったギルバートは思わず目を開いた。

一週間前と同じことが起こることを恐れたが、不思議なことに街の者達は誰もギルバートに注目しない。

誰と目を合わせても怯えた顔も、嘲笑もしない。


何が起こっているのかわからずその場に立ち尽くし、徐ろにローレンスに声をかけた。

「ラリー、これはどういうことなんですか。私の目を見ても、もう誰も…。」


すると彼はギルバートを振り向いて歩み寄ると、自身の目元を指して答えた。

「その眼鏡はただの眼鏡に見えるけど、私の特注で職人に作ってもらった貴方専用の魔道具なんだ。それをかけていれば、いくらでも好きなものを見ていいんだよ。」


いくらでも好きなものを見ていい。

その言葉は魔法の様にギルバートの胸の中に柔らかく溶けていった。

涙が出そうになるのを必死に堪え、今度はしっかりと前を見てローレンスの隣を歩いた。


好きなものを見ていいと言うのなら、一つだけどうしても見たいものがあった。

ローレンスにそれを伝えると、まるでそれを予想していたかの様に快く了承してくれた。



二人が向かったのは、ギルバートの家だった。

ギルバートが扉を軽く叩くと、現れたのは父だった。

眼鏡をかけて複眼を隠した彼を見て一瞬は誰かわからない様子だったが、正体に気付いた途端に目を見開いた。


「ギル…ギル、なのか。」

「僕だよ、父さん。一週間離れただけで自分の息子の顔も忘れたのか。」

「忘れるわけがない!生きていたんだな、良かった…本当に心配したんだぞ。」


父は嬉しさのあまり、客人の存在に気付かず涙を流した。

二人の会話を聞きつけてリビングから顔を出した母も、初めは信じられない様子だったが、やがてぼろぼろと涙を流しながら駆け寄ってくると愛する息子を抱き締めた。


「嗚呼、私のギル…無事でよかった!あれから帰って来ないし、街の中を探し回ってもいなくて…。」

「ごめんなさい、母さん。僕は無事だし元気だよ。」


すっかり存在を忘れられたローレンスであったが、家族の感動の再会を邪魔するわけにはいかないと少し後ろの方から三人の様子を微笑ましげに、しかしどこか寂しげに瞳を揺らして見守っていた。


暫く再会を喜び合っていたが、容姿の変わったギルバートを不思議に思った母がじっと彼の目を見詰める。

「そういえば、その眼鏡はどうしたの。それに普通の目になって…まさか、その眼鏡は魔道具…。それに、服も出て行った時より高価な物になってるじゃない。こんなものを一体どうやって…。」


まさか盗みを(はたら)いたのではないかと予想した母であったが、ギルバートは自身の後ろで見えなくなっているローレンスの姿を見せるよう立ち位置を変える。


するとローレンスの姿を見た両親は驚きと恐怖で絶句した。

母は何かあれば息子を守れるようにと、彼の肩を抱いた。

冷たい雰囲気を纏い眼帯で左目を隠している彼は、冷酷非道の呪われた騎士と噂されているからだ。


ローレンスは引き締まった顔になり、丁寧な所作で二人に騎士流の礼をし、厳格な雰囲気を身に纏い挨拶をした。

「お初にお目にかかります。私は第一騎士団長、ローレンス・ブラッドレーと申します。彼が森の中で魔獣に襲われていたところを見かけ、傷の手当ても含めて魔道具の製作期間の一週間、息子さんを我が屋敷にて預かっておりました。」


両親は街に出ていたこともありローレンスの噂はよく耳にしていたが、ギルバートはそれを知らない。

「そ、そうでしたか。息子がお世話になりました。」

二人の恐怖心を感じ取ったギルバートは、母の手を離れるとローレンスの隣に立った。


「父さん、母さん、ラリーはこんな見た目だけど、とても強くて優しい人なんだ。僕の目を見ても気味が悪いだなんて一言も言わなかったんだよ。傷の手当てと魔道具の恩を返したい。僕は彼に仕えるよ。」

だって彼は自分が居ないと家事の一つもできやしないではないか。


ギルバートの言葉に両親は驚き、ローレンスですら面食らってしまった。

ローレンスとしては彼が救われるなら見返りはいらないと思っていたのだが、ギルバートの瞳は既に決意の色を宿していた。


悪い噂の絶えない騎士に息子が仕えると言うのだから、親としてはそう簡単に許可を出せない。

しかし、一週間の間、誰よりも近くでローレンスを見てきたギルバートの言葉だ。

それに彼はもう働ける年齢でもある。


判断に困っていた両親にローレンスは口添えをした。

「では、こういった条件ではいかがでしょうか。彼が私に仕えるのなら、その見返りとして他の職業より高い賃金を支払い、そして彼の身の安全の保証と衣食住の提供も約束します。我が名において、この約束を(たが)わぬことを誓いましょう。」


彼の提示した条件は確かにギルバートを今よりも幸せな生活へ導く条件だ。

加えてギルバートの強い思いに圧され、両親は渋々といった様子で了承してくれた。



それから二人は同居人ではなく、新たな関係としてギルバートはローレンスの記念すべき一人目の使用人となった。

ギルバートは魔法に興味を持ち、休憩の間はいつも魔法書を読み漁っていた。


そんなある日、ローレンスが休憩をしている最中にギルバートは衝撃の一言を放つ。

「私の忠義をお伝えすべく、血の契約を行いたいのです。そういうわけですので、これを飲んでください。」


そう言ってローレンスの前に差し出したのは、高価とされている魔法水と自身の血液を混ぜた薄い桃色の液体が入った小瓶だった。


ローレンスはギルバートの言葉と、いつ手に入れたかもわからない魔法水の存在に顔を引き攣らせた。

「ギル、これってまだ貴方の給料では買えないものでは……さては経費で落としたな。…そんなことはいいとして、血の契約は駄目だ。貴方の両親に身の安全を約束している。血の契約なんてどこで学んだんだ、まったく。」


ギルバートが給料で買い集めてくる魔法書の中に、契約の項目が記されていた。

血の契約とは、契約によって縛りを受ける対象の血と魔力を含んだ水、魔法水を体内に取り込むことで、自身が死んだ場合に対象を殺すという、元は呪詛の様なものだった。

しかし悪い効果だけを(もたら)すのではなく、不慮の事故などで対象が先に死んだ場合、蘇りし者(レヴナント)として蘇らせることができる。


ローレンスは不機嫌そうに眉間に皺を寄せたが、ギルバートが引く様子はない。

「貴方は騎士です。いつ戦場で死ぬかわからない。私の主は最強なのであまり心配はしていませんが、もしその身が危険に及んだ時、私の命を人質にして生きてください。私は常に御身(おんみ)と共に。」


ギルバートはローレンスの前に片膝をつき、改めて小瓶を差し出した。

ローレンスは困惑した様に溜め息をついたが、彼の忠義と自分の身を案じる気持ちは本物だ。


暫く小瓶を見詰めていたローレンスは、覚悟を決めた様にそれを受け取ると中の液体を飲み干し詠唱した。

「その忠義を承認する。我より(のち)に死することを許さず、我より先に死することを許さず。その魂を我に捧げることを命ずる。」


するとギルバートは自身の心臓部に何かが絡みついた様な感覚に襲われ、一瞬の鈍い痛みに胸元を押さえ思わず表情を歪ませた。

しかしこれでよかったのだ。


埋め尽くされていく。

無数のエメラルドが見るものは彼一人。

彼の居ない世界で、生きていたいとは思わない。






しかし若いローレンスは予想もしなかった。

自身の命の価値は徐々に重くなり、その重みによって最強である自分が(のち)に狂わされることを。

最後まで閲覧、ありがとう御座いました。

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