第十部 第一章
「光ってるってどういう事? 」
天音が不思議そうに聞いた。
「胡散臭いな……。知ってるくせに」
そう大悟が天音に苦笑する。
天音と言っても、寄生魔獣の猫の姿に近い亜人だが……。
「いやいや、知らないわよ」
「嘘つけ、あの俺達の幼馴染自体がいろんな思惑で作られたものだろうに」
「は? 」
陸が凄い顔をした。
「どこだ? 国内の勢力だとすると天音の背景は宮内省か公安のはず。国外だとすればアメリカならCIAか? 」
大悟が畳み込んだ。
天音が困惑して陸は動揺して、ともに凄い顔をしていた。
「ちょっと! ええ? 大悟ってそっちなの? 」
「ええ、驚きました。私も実はムーを未だに買って読んでますよ」
慎也と健が目を輝かせた。
「いや、待て。何の話だ? 」
「まさか、イルミナティとか言わないよね」
「フリーメーソン? 」
キラキラした目で慎也と健が大悟を見る。
「いやいや、待て。マジなんだ。マジ話なんだよ」
「えええ? 」
「何ですと? 」
そう大悟が言うと、慎也と健がもう感動して止まらない。
「……いや、お前ら……その手だったのか……」
「何をおっしゃいますやら、同志ではありませんか」
健が眼鏡を直してキラリとさせた。
「いや、違うんだがな……」
大悟が呻くが慎也のキラキラの目も止まらない。
それを見ていたチョロ熊さんの肩にヨルスズメのようなものが止まる。
偵察をしているはずなのに金色の鳥でスズメと言うより鷹に似ている。
「ヨルスズメ? 」
「いや、これは獣魔神ライ様の直属の伝令係だ。流石にこんな目立つのは偵察に使えない」
そうチョロ熊さんが苦笑した。
「獣魔神ライ様より、お言葉がある。此度の無礼は貴公らの詫びを考慮しよう。近いうちにこちらより使者を女神エルティーナとエゼルレッド王に遣わす。それで和平交渉を行うとしよう。但し、この度の無礼はそちらに対して交渉で配慮して貰いたいものだがなとの事だ」
「分かりました」
そう大悟がさっきまで話していた話をやめて、金色のヨルスズメに跪いて礼をした。
慎也と茜もそれに続いた。
でも、慎也のキラキラの目は大悟に向けられたままだった。
「あの、少し、仲間達と話しても宜しいですか」
健も獣魔神ライにお願いする。
同じ世界の昔のクラスメイトに対してと言うより、完全に話がしたい方向性は違うのが丸わかりであったが。




