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第九部 第五章

 大陸ドラゴンがその巨体でグルグルと旋回を続けていた。


「馬鹿な! 何が起こっているんだ? 」

 

 獣魔神ライが映像を見ながら呻く。


 大陸ドラゴンはそんな動きをしたことが無いのだ。


 決まった数万キロメートルのコースを大きく延々と回って飛ぶだけ。


 それが大陸ドラゴンの飛行方法だった。


 その場でグルグル回るなどした事無いのだ。


 それほどの巨体がグルグルと旋回し続ける。


 それは凄まじい風を起こした。


 それによって、すでにあらかたの燃えている木と燃えそうな木をイーグルベアによって斬り払われていたので、火はあっという間に鎮火した。


 炭化して燻っている木もイーグルベアが蹴とばして旋回の間に放り捨てていた。


 異常事態に、知恵を借りようと必死に知恵者である迷い人をちらちらと獣魔神ライが見るが、迷い人は口をあんぐり開けて途方に暮れていた。


 全ての人間をコントロールするはずの神代家の三千年の悲願の<原種>の男のシャーマンが開花しそうな動きを初めて見せたのだ。


 喜ぶべきはずが、人を導きコントロールするはずが魔獣の亜人にになっていた為に、人でなく魔獣を導きコントロールしてしまっていた。


 神代の間違った方向の悲願の達成を目の前にして、どう言って良いのか分からない状態になっていた。


 そして、人族でも魔獣でもあり得ない、神の力を書き換えた陸を見て、これまた獣魔神ライもさらに動揺していた。


「ど、どうしたのよっ! 陸っ! 」


 幼馴染ゆえに気が付いた天音も動揺していた。


 そして、グルグル回っていた大陸ドラゴンが初めて、光を口元に収束し始めていた。


 それは見た事も無い様な途方もない光とエネルギーの収束で、口から放出されて発射されて地上に着弾して核爆弾のようにキノコ雲を伴うような爆発を起こす。

 

 それは凜たちに対してではなく、ジェイド王国とは関係ない、別の人族の国と魔獣の住む世界の国境付近に着弾した。


 そのあまりの爆発力を見た凜と英明とヘンリー騎士団長は恐怖あまり動揺していた。


 そして、陸の異様な雰囲気と天音の叫びを見て智子達も親分達寄生魔獣の猫達も動揺していた。


 無言だった陸が顔をあげて、静かにため息をついた。


「駄目だ。この大陸ドラゴンさん。ボケていらっしゃる」


 そう言う陸も動揺しまくっていた。


 何しろ、異様な旋回と口にエネルギーを貯めて発射が止まらなかった。


 そして、ようやくたどり着いて、鷹のような鳥から大悟達も遠目でその惨状を見て、これまた動揺していた。

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