第九部 第三章
大陸ドラゴンの燃え盛る炎の中で、陸が光りだしている。
「え? 」
迷い人が相変わらず表情の見えない影の中で、それを獣魔神ライの見せる映像で見て唖然とした。
「まさか、せっかくの和平交渉の話をこんな馬鹿な事で駄目にしてしまうとはな」
獣魔神ライはその陸の変化に気が付いていなかった。
それよりも、自らの面子をも破壊した、この馬鹿げた行為に本気で困惑していた。
その陸の光は獣魔神ライには見えていないようだ。
「……では、これはやはり神代家に関わるものにしか見えないものか。<原種>の光だと? 」
迷い人が激しく動揺した。
「間違いない。まだ遥かに弱いが<導きの光>だ……。どうして? 失敗作だったはず」
あらゆる人間を魅了し洗脳し為すがままに導く光。
それは虫が光に抗えず飛んでいくようなもので、人に対して抗えないものを放ち、誰もが従わざるを得なくするもの。
フェロモンなどの上位に当たるもの。
覚醒の初期の力だけでも、あらゆる女性を惚れさせて自由に操れるほどのものだ。
そして、伝承ならば、雄のシャーマンはその力を使って、同じように人を<導きの光>で抗えないようにさせて指導する女性のシャーマン達を従えて全ての人類を導くと。
……あれ?
そこまで考えて、迷い人が心の中で呻く。
今、あいつ……人間じゃ無いよね……。
迷い人に脂汗が出る。
「ええええええええええええ? 」
迷い人がそこまで考えて唸る。
「ど、どうした? なぁに、心配するな。あそこにはスタガルド・クレイルライド・ベヘモスと旗下のイーグルベアたちがいる。お前の気にしている陸達は守るからな」
獣魔神ライが燃える大陸ドラゴンの背中でパニックになっている陸達を見て安心するように迷い人に話す。
だが、迷い人は別の事を考えていた。
今、陸は亜人である。
どちらかと言うと魔獣なのだ。
人族では無い。
もし、この<導きの光>が人族では無く魔獣に向けられると厄介な事になる。
というか、神代家の悲願がパーである。
「な、何をしてんの? 」
獣魔神ライが気が付かない事を幼馴染の天音が気が付いた。
陸が尋常でない異様な変化を起こしているのに。
光ってるのは分からなかったが、何かが起きているのは分かった。
陸はそれに答えなかった。
そして、陸が手を前に出した。
「え? 」
そこで獣魔神ライが陸の異常に初めて気が付いた。
陸が女神エルティーナや獣魔神ライの与えていたクラスを勝手に自分で書き換え始めた。
それは神にしか出来ない事であった。
陸は自ら<魔獣を使役するもの>と言うクラスに変わった。
獣魔神ライがその書き換えた事を驚いた後に、陸は無詠唱の形で手を大陸ドラゴンに差し出したまま次々と同じスキルを使った。
それは<使役>だった。
陸は大陸ドラゴンを操ろうとしていたのだ。




