第九部 第一章
「どうすんの? 」
天音が陸に突っ込んで来た。
「いや、これくらいしかする事無いだろ」
布を追加で持って来て貰って追加で智子に<人族に有利で対等な交渉が成立。連絡を>と書いてもらって、いくつか見えるように木と木の間につけた。
チョロ熊さんが仕方ないから無理だと思うけど行ってくると、布を持って魔法使いたちが来たら飛んで見せる準備してる。
魔法使い達が近づいて来たら、部下のイーグルベアとともに拡げて飛んで見せてくれるそうな。
「漢字が読めないって無いよね」
「ひらがなで書きましょうか? 」
天音の突っ込みに智子がさらに冷やかに答えた。
チョロ熊さん達が馬鹿馬鹿騒ぐので、自然と皆が馬鹿のように扱うようになっていた。
「ヨルスズメから連絡です。もうすぐ来ますよ。良かった。今の明るさならこの布の文字も見えますね」
そうチョロ熊さんの配下のイーグルベアさんがほっとした顔をした。
付き合い慣れて来ると魔獣とはいえ、その思っている表情が分かるのが面白い。
すでに夕方近くで、景色は落ちていく陽のせいで赤くなっていた。
だいぶ先の空にゴマ粒のように見える二つの飛行物体が見えるが、それが騎士鳥に乗る魔法使いの凜とヘンリー騎士団長らしい。
「では、行くぞ」
そうチョロ熊さんが言うと、部下のイーグルベアさんと<人族に有利で対等な交渉が成立。連絡を>と書かれた布を持って飛んで向かう。
そしたら、ゴマ粒がご飯粒の大きさになるあたりでいきなり火の玉が飛んできて、チョロ熊さんと部下のイーグルベアとが火に包まれる。
それをチョロ熊さんと部下のイーグルベアは回避したようだが、布は一瞬にして燃えて灰になった。
「うっそ! この距離で攻撃して来た! 」
「遠距離攻撃できるんだからって威張ってそうで怖いですね」
天音の叫びを冷静にすっかり馬鹿にしている智子が答える。
「この距離で焼かれてしまったら! あの布に書かれた文字が読めるかっ? 」
陸が叫ぶ。
「無理ですよ」
健も苦笑している。
「意味が無いじゃん」
天音もあきれ果てた声を出した。
そして、攻撃はそれだけでは無かった。
陸達は本当に躊躇もせず、全く何も考えずにすると言う人間が存在することに驚いた。
ファイアーホールのような火の玉が次々と陸達のいる大陸ドラゴンの背中に着弾する。
せっかく作った風力発電も、LEDで明るくしている棚も、全部燃え始めた。
大陸ドラゴンの背中の木に燃えやすい木もあるせいで、激しく大陸ドラゴンの背中が燃え出した。
それは燃え広がりだして、天音達も悲鳴をあげる。




