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第八部 第三章

「とにかく、向こうに知らせないと無駄な血が流れることになります。思い切って、交渉成立と大きな布か何かに書いてこちらのお店に飾って見ては? 」


 智子が冷静にそう話す。


 女神エルティーナは交渉と言う言葉を知っていたから、恐らくは向こうの言葉でも分かるのでは無いかと。


 そして、それがあれば苦境に陥っているはずのジェイド王国にとっても大事な事なので、こちらに何らかのアクションを取って来るのではと続けて話す。


「それならば、人族に好条件で交渉成立と教えた方が良いかも、自分らが不利になる話なら無視するでしょうし」


 元々、Aクラスに居て、陸を尊敬して仲良くしてたせいで一緒に番外組に回されただけで、智子も健も凄く優秀だった。


「なるほど、利で誘うって事か」


「その方が良いかもね。どう見ても人族の方が理知的で無いと言うか、感情的だと言うか、しかも偏見に基づく見方だしね」


 陸と天音が納得した。


「では、急ぎましょう。昨日の飲みに来た魔獣さんの話では、相当な数のキングオーガが集結しつつあるとの事だし」


 そもそも、魔獣ってのは集まって都市を作ったりって事はしない性質でバラバラで先祖代々から住んでいる場所で部族だけで集落を作って暮らしているって話だった。


 だが、キングオーガはこのままでは集落ごとに各個撃破される事を危惧し、自分のオーガの中で最大の部族の集落の威圧を使って、全ての集落に集結するように集めてるらしい。


 どうやら、キングオーガは魔獣の中では頭が良いようだ。


 実際に、それは一部で魔獣族なのに人族みたいな事をするのだなと魔獣達に失笑されている部分もあるらしい。


 魔獣は自らの戦闘力に誇りを持ち、集まらないと戦えない人族を一格下の者として見ていた。


 だからこそ、文化を真似するのは忌避されてきたと言っていい。


 だが迷い人が食糧問題の解決や住みやすくなる方法などの利を見せたために、それに従う魔獣が増えた。


 その矢先にそれを理解しつつある魔獣を集めて集結して本格的な戦争に持ち込もうとしているのがキングオーガだという事だ。


 ぶっちゃけ、人族の戦い方が冒険者対魔獣ならば個人の戦いで終わるはずだったのが、騎士団を正面に出して戦って来て、さらに人族の文化の良さを迷い人が教えることで、一気に彼らの戦い方や考え方が変わる過渡期に入っていると言っていい。


「少し前だったら、魔獣が集まって軍団化して人族のように戦うなどはあり得ない話だったからな。うちのイーグルベア族だけはそれを獣魔神ライ様の特別な命令により近衛としてやっていたが、あまり魔獣達からは良い目で見られていなかったが、これも時代だな」


「戦いは数だよ兄貴」


「それを言うなよっ! 」


 チョロ熊さんのぼやきに天音がくだらない突っ込みをしたので陸が突っ込んだ。

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