第七部 第六章
「戦線を拡大しない方が良いと思うんだけど? 」
そう慎也がたまりかねて話した。
それを聞いてエゼルレッド王が凄い顔をした。
「はあ? 人類が絶滅するかもしれない戦いなのよ? 」
「だからこそ、拡大しない方が良いと思う。状況を良く把握して戦うべきとこで戦うべきだ。今なら魔獣の問題も全魔獣対人族にならないと思う。個別対応でキングオーガだけ相対する形でやっていくべきだ」
慎也が持論を話した。
「いやいや、そんな状況では無いでしょう。キングオークとキングオーガは同盟を結んでいるんですよ」
クレバリー公爵が慌てて突っ込んで来た。
「でも、現状はまだ個別の案件でしょう。これが拡大するとキングオークも出てきてしまう」
「敵なんだから、やられたらやり返すのが当たり前じゃない! 相手は魔獣なんだからっ! 」
御門凛が叫んだ。
「いやいや、今のところはまだキングオーガのみしか出て来てないでしょう。恐らく、キングオーガの面子か何かがあるんだと思うんです。ならば相手はオーガのみで終わるようにするべきだ」
「何を生ぬるい事をっ! 」
エゼルレッド王より御門凛がブチ切れる。
「魔獣の連携が見られるようになれば終わらない破滅的な戦いになる。それよりも個別で各個撃破するべきだ。だから拡大よりもまずは縮小に持っていくべきだと思う」
大悟も横から突っ込んだ。
「何、それ? そういや、あんた達の仲間の馬鹿が交渉に行くとか言って大陸ドラゴンの背中で料理作ってんだって? とんだ情けない仲間よね。魔獣にすり寄ってんだからっ! 」
御門凛が陸達を嘲笑った。
「はあああああ? ああやって、交渉の為に人脈じゃない獣脈を作ってんじゃないっ! それで交渉するんでしょうがっ! 戦いばかりしか能がないあんたと違うのよっ! 」
「はあ? 魔獣に媚びうって料理を作ってるののどこ獣脈なのよっ! 馬鹿じゃないのっ? 」
茜と凛が睨み合う。
「まあまあ……」
英明が仕方ないと言うように間に入る。
「魔獣のトップクラスを饗応する事で、魔獣の中にコネクションを作ってるんじゃない! 」
「あ、馬鹿……」
「ああ」
かっとなった茜の言葉で真っ暗な顔に大悟と慎也がなった。
余計な一言だったからだ。
「そう言う事だったのか……」
いきなり、エゼルレッド王の背後に女神エルティーナが現れた。
どうやら、その事の深刻さを理解してしまったようであった。
大悟と慎也が苦虫を潰したような顔になった。




