第七部 第二章
「しかし、良いんですかね。すでにドラゴンの背中とは思えないんですけど……」
そう健が巨大な農園と鶏舎を見て呟いた。
「チョロ熊さんの話だと別に大丈夫だって言ってたよ。魔獣の中の魔獣の大陸ドラゴンはそんなの気にしないとか」
「どんなドラゴン何だか……」
天音の言葉に健が苦笑した。
「どちらかと言うと問題は背中を掻くために反転したりした時が怖いんだけどな」
「それも十年に一度あるかないかだって。もともと体の構造がひっくり返るのが無理な構造してるらしくて……」
「へー。となると後の問題は食事だけか……」
「そう、そろそろ一週間だよね」
「食事の時の降下でどうなるかな」
「それを考えて、チョロ熊さんと作ったから大丈夫だと思うよ」
そう天音が答えると親分とかも手伝ったらしくて、横で同意していた。
話が出来ないと意思疎通が大変だと言う天音の言葉から、何とチョロ熊さんが獣魔神ライ様に提言したらしくて、全員が魔獣の言葉を喋り理解できるようになっていた。
それで良いのかと思うが、女神エルティーナの与えた恩恵の付与にさらに合わせるように同様の恩恵の付与を与える形で出来るようになったとか。
もう、何でもありである。
その結果、智子とかは子猫達と話せるようになって凄く喜んでいたが。
「でさ。交渉の方は良いの? 」
「お前が言うか……」
天音の一言に陸が絶句した。
「いや、その為にこんなとこに来たのに……」
「まあ、情報収集と人脈というか獣脈を拡げてる段階だな。とにかく、人族は敵対意識が凄いけど、恐ろしい事に魔獣側はあまり気にしていないよな。正直。聞いた話だとキングオーガとはジェイド王国はガンガン戦争やってるらしいけど」
「何か、また集落が攻撃されて子供達が攫われたから、報復するらしいって聞きましたけど」
陸の話に智子が自分の聞いた話を披露した。
飲み屋の店員をやってるようなものだから、会話が出来るようになったことで、魔獣の客との会話からいろんな情報を得れるようになった。
「ジェイド王国だけが敵視してる感じですね。人族の他所の国は距離を置いてなるべく関わらないようにしているとか言う話だけど」
健も聞いた話を披露した。
「チョロ熊さんの話だと、あの国の人間だけが性格に難ありらしいけど」
天音もそう話す。
「被害者面してる方が実は加害者って凄く根が深いよね。正直……」
「キングオーガもキングオークも同盟はあるけど、共同作戦とか殆どしないから、キングオーガが単体で攻めるだろうって聞いたけど。相当なオーガの数を今集めてるとか聞いたけど」
「帰るとこなくなっちゃうかもなぁ」
そう陸が途方に暮れて呟いた。




