第七部 第一章
自分達がしでかした事でジェイド王国のみならず、女神エルティーナをも動揺させていたにも関わらず、何も考えずに、毎日の献立に頭を悩ませている陸達であった。
すでに、<空飛ぶドラゴン亭>は繁盛しており、凄い量の金貨とかがたまっていた。
肉はチョロ熊であるスタガルド・クレイルライド・ベヘモスが次々と捕らえて持って来ていた。
天音の祖父母の家が農家で、その関係で薬草とか良く知っていたのだが、その関係で養鶏などもやっていた。
それをチョロ熊さんに言ったせいで、人族が食べると言う鶏によく似た飛ばない鳥を連れて来て、すでに養鶏みたいな事を始めていた。
陸はそれとなく気が付いていたが、天音は全く気が付いていなくて、ドンドン人族の文化の導入に突っ走って行っていた。
それは魔獣に食べるものを育てると言う畜産を教えているという事に他ならないのだが。
勿論、陸もその魔獣に対しての変化を即すことを期待してしていた訳ではなく、単純に天音が言っても聞かないからなだけだったが。
結果として、魔獣の中の魔獣の大陸ドラゴンはいつの間にか<空飛ぶドラゴン亭>なだけでなく、そこに供給する農産物や食肉すら生産する一大農場となりつつあった。
健はその農産物の生えている木の実を調べてソースとか付け合わせに使えそうなものを探して、智子は流石に魔獣の大物のイーグルベアに給仕をさせてばかりなのは恐れ多いと親分の提案で、猫の寄生魔獣が給仕をする事になり、その訓練を受け持っていた。
完全に最初の交渉とか忘れているような状況になっているけど、あまりに<空飛ぶドラゴン亭>の人気が凄すぎて、どうしょうも無くなっていた。
皮肉な事にそうなってすでに一週間がたった。
その間に恐ろしい事に、空飛ぶ魔獣の力を使う事で、キングオークまで<空飛ぶドラゴン亭>に食べに来てしまったと言う状況である。
特に陸達は誰が誰かの紹介を別に受けていないから、その時には誰が来ていたとか起こったとか全く陸達には分からなかった。
何しろ、オークと言っても良くファンタジーにあるブタの頭では無く、豚鼻のモンスターだったから、人族の揉めた話をヘンリー騎士団長から聞いていたが、それがキングオークか分からなかったのだ。
かくして知らないうちにキングオークとも仲良くなってしまった陸達だった。
勿論、それを遠目で監視していた女神エルティーナは心に相当なダメージを受けていた。
こうして、徐々に陸達に対して女神エルティーナとジェイド王国との間も敵対関係になっていくのであった。




